窮すれば変じ、変ずれば通ず(易経)
ふつうには「窮すれば通ず」で通用している。土壇場まで追い込まれると、案外、活路が開けるものだというのだが、これは易の原理からいえば、むしろ当然といっていい。易の陰と陽とは固定的なものではなく、たがいに転化し、消長交代するもの、衰微の極は隆盛への転機だからである。つまり、いかなる境遇もかならず打開されるときが来るので、その転機をとらえれば新しい道は開けるのだ。
だから、窮地におちいったからといって、まちがっても捨て鉢な気持ちを起こしてはならない。そんなことをすれば、せっかく転機がめぐってきても、みすみす逃すことになる。(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)