既往は咎めず『論語』
「成事は説かず、遂事は諫めず」ということばが前につく。「既往」とは、すでにすんでしまったこと、「成事」「遂事」も同じ意味。過ぎ去った出来事について、とやかくとがめだてしても仕方がない、それよりは将来をつつしむことが肝要だ、というのである。
人間に失敗はつきものである以上、犯した失敗の責任をいつまでも執拗に追及してみたところで、どうなるものでもない。それよりは、失敗の原因をよく分析して同じ過ちを二度とくり返さないよう、将来の戒めとすることが大事なのだ。過ぎ去ったことはただ忘れろ、ということではない。(丹羽 隼兵著「中国古典の名言」より)