韓国餅『トッ』は米、小麦、ほか穀物を粉にし、シル(大型のセイロ)で蒸して食べたもので、古く農耕が始められた頃から韓国で広く愛食されてきました
韓国の食生活と最も密接な関係のある食べ物である『トッ』は季節の変わり目、お正月、お盆、誕生日、結婚式などには必ず登場し、『トッ』の種類は、日本でも焼肉屋さんで食べられるお馴染みの餅入りスープ「トックッ」、屋台で大人気のピリ辛炒め「トッポギ」などの料理メニューのほか、いろいろな餅菓子があります
韓国では料理用の白餅、お菓子の餅を区別せずに総称して『トッ』といいます

韓国のお正月に『トックッ』は欠かせません。『トックッ』の「トッ」は餅、「クッ」はスープのことで、つまり韓国のお雑煮です
韓国の「トッ」はもち米で作られる日本のお餅と違い、うるち米の粉を蒸してついたものです。それを直径2cmくらいの棒状(カレトッ)にのばし、一晩おいて大晦日に備えます。大晦日になると女性たちがみんな集まって、そのカレトッを厚さ3mmの斜め切りにします
お餅の用意が終わると次はスープ「クッ」の準備
牛のもも肉、またはすね肉を煮込んで出汁を作ります
上にのせるコミョン(飾るもの)は家や地方によって違いますが、溶き卵と刻みのりを入れたり、錦糸卵を入れたり、牛の串焼きを入れたりします
そうして、お正月用『トックッ』の残りに野菜とお肉をいれて炒めたものが『トッポギ』の始まりだそうです
『トックッ』がいつ頃から食べられていたのか不明ですが、縁起担ぎの意味などもあり、昔から親しまれてきた韓国のお雑煮『トックッ』、今は、お正月だけでなく、大衆的な韓国料理の一つとして一年中食べられる定番メニューになり、調理しても形くずれしにくく、どんな料理にも適応する魅力の持ち主であるトック餅は幅広く登場しています

ちなみに
日本の餅はコシが強く粘りがあるため、飲み込む力の低下した高齢者がのどに詰まらせる事故が毎年あり、正月三が日においては必ずこれを原因としたレスキュー車の出動があるといわれている(餅をのどから取り出すのはきわめて難しいため、救急車ではなくレスキュー隊が駆けつけるらしい)喉詰まりを起こした老人の口に掃除機のホースを突っ込んで吸い出したところ一命を取り留めたという事例があるが、この方法は衛生的ではないため、あくまでも最終手段として用いるべきだが、救命救急センターなどに搬送された事例等によると、ふぐや毒キノコよりも危険な食品であるとも言えるが、正月に食べるオメデタイ食べ物であることや、被害者の大部分が高齢者であるせいか、問題視されることは少ないようだ