碓氷峠鉄道文化むら訪問記 2023年7月完全版

 

 

 

 2023年7月に、群馬県の碓氷峠鉄道文化むらへ行きました。

 

 行く前に高崎の代表的な焼肉屋さん「朝鮮飯店」でしっかりスタミナをつけました。

 

 「人間蒸気機関車」と言わぬばかりに元気になり、やる気がみなぎってきました。

 

 ご飯を済ませた後、信越線の横川行き普通列車で横川へと向かいました。

 

 

 碓氷峠鉄道文化むらの車両展示コーナーです。

 

 かつてここは横川機関区として扱われていました。

 

 かつてはここから長野県の軽井沢を山を超えてつないでいましたが、現在の北陸新幹線開業などの影響から横川ー軽井沢間は廃止され、信越線の一部はしなの鉄道に移管されたりするなどで、分断されました。

 

 横川機関区の跡地をテーマパークとして転用したのが碓氷峠鉄道文化むらです。

 

 「機関車の博物館を作る」というコンセプトから横川で活躍した車両以外にも北海道から九州、中には関係なさそうな国鉄の車両も集められ、全国的にも珍しい車両が屋外展示されているのが特徴です。

 

 全国でも珍しく信越線廃線跡を転用し、電気機関車の体験運転の実施やトロッコ列車の運転など、古いテーマパークでありながら一日で満喫できないほど充実しているのも魅力です。

 

 全部まわりきれないので、今回は個人的に気になる車両・展示をピックアップしました。

 

 

 

 園内を一周する小型蒸気機関車です。

 

 イギリス製の由緒正しき小型蒸気機関車で「グリーンブリーズ」と呼ばれているようです。

 

 この碓氷峠鉄道文化むらでは「あぷとくん」という名称で呼ばれているようです。

 

 ブリティッシュグリーンのカラーリングがおしゃれで素敵です。

 

 

 予備の車両でしょうか、ディーゼル機関車も控えていました。

 

 

 

 元機関区内に留置されるEF63型電気機関車です。

 

 信越線の横川ー軽井沢間、碓氷峠を突破するため、東京から来た急行電車や特急電車を牽引した機関車です。

 

 この機関車を2両つなげて特急「あさま」号などを牽引しました。

 

 言うまでもなくこの横川の地を最後まで離れることなく、生きながらえた車両です。

 

 この碓氷峠鉄道文化むらでは、複数のEF63が程度のいい状態で残されており、中には体験運転のために稼働可能状態にある車両もあるようです。

 

 

 こちらはEF62型電気機関車で、EF63の先輩格になります。

 

 このEF62の仕様を細かく変更したのがEF63になり、どちらも最後まで横川ー軽井沢間で活躍しました。

 

 この車両以外にも屋外に先行量産車が奇跡的に残されています。

 

 

 

 

 場所は変わって屋外で展示されているEF63です。

 

 屋外展示の車両もしっかり手入れはされており、比較的きれいです。

 

 とはいえ山奥の過酷な環境なので、今後の手入れがどうなるかが気になるところです。

 

 

 

 こちらはおそらく体験運転用などに使われる車両で、稼働可能な状態で留置されています。

 

 また架線のある線路に留置されており、他の保存車両とは違い、きれいでかつ稼働状態にあるのはうれしいですね。

 

 

 こちらはEF63の量産先行型の車両で、記念すべき第一号の機関車です。

 

 つい最近にぶどう色に変更され、渋いカラーリングになりました。

 

 これは結構かっこいいかなと個人的には感じています。

 

 量産先行型が残っているということもかなり希少なので、屋外展示とはいえ、末永く生きながらえてほしいです。

 

 

 EF63に牽引された特急「あさま」の電車です。

 

 関東から長野方面特急に使用され、一部電車は平成まで使用されました。

 

 EF63との連結に必要な装備もあり、まさにペアで山を登る電車として、長らく碓氷峠で活躍しました。

 

 

 こちらは同じ形の別カラーの車両です。

 

 さっきとの違いは色で、こちらは国鉄時代から続く特急の標準的なカラーリングです。

 

 国鉄のマークが復元されているのもポイントが高いです。

 

 中に入ることも可能です。

 

 

 

 碓氷峠に来たら絶対に一度は出会ったほうがいい歴史的遺産、アプト式電気機関車ED42 型です。

 

 アプト式は急勾配に強いラックとピニオンギアを使った動力方式で、横川ー軽井沢間開業最初期に用いられました。

 

 EF63などによる粘着運転方式への変更で役目を終え、現在は重要な遺産として大切に保管されています。

 

 なお、アプト式は大井川鐵道井川線でも採用されている他は、スイスなどでは現在でも使用されているとか。

 

 

 

 独特な台車と車輪、この機関車が難所の交通を支えていたと思うと感慨深いものを感じます。

 

 

 

 丁寧に国鉄時代から続いていると思われる看板までもきれいな状態で残されています。

 

 

 

 こちらは保線車両でしょうか。

 

 碓氷峠鉄道文化むらには経歴のわからない車両も多くなり、一日では満喫できないほどたくさんの車両に巡り会えます。

 

 

 屋外展示されている電気機関車です。

 

 ここにある車両は北海道から山陽・九州方面で活躍した車両など、全国でここでしか巡り会えない車両ばかりが集められています。

 

 写真は常磐線などで活躍したEF80型で直流区間・交流区間の両方で運用できる交直流電気機関車として開発されました。

 

 主に特急や貨物列車などで運用されたようです。

 

 

 こちらは九州方面の寝台列車「ブルートレイン」の牽引機などで使われたEF60型です。

 

 性能面でも非常に落ち着いた傑作車です。

 

 同型機が奇跡的にJR東日本で近年まで残っていたものの解体されました。

 

 

 こちらは戦前製造のEF15型です。

 

 戦前期から戦後期の国鉄電気機関車のスタンダードなデザインの車両です。

 

 この車両は勾配に強いためか奥羽線・上越線などに配属され、最後は工事列車からイベント列車と幅広く活躍したようです。

 

 

 私的には一番気になったのがEF53型でデッキが長く、ぶどう色のきれいで渋い車体に心を奪われました。

 

 重厚感ある戦前型の機関車が好きな自分にとってはこのために来たと言っても過言ではありません。

 

 この車両は後にEF59型に改造され、山陽本線の難所である瀬野ー八本松間「瀬野八」で大活躍しました。

 

 なお、この車両はEF59に改造された車両をきれいに復元した車両です。

 

 

 

 こちらはEF59型で全面に警戒色が塗られているのが特徴の車両です。

 

 勾配の多い激しい環境に耐えられるよう動力系統が更新されているのが特徴です。

 

 瀬野機関区の主として、長らく活躍していました。

 

 「東の横軽」・「西の瀬野八」の車両が丁寧に保存されているのは本当に感動です。

 

 

 名機EF58型です。

 

 国鉄の電気機関車を代表する傑作型で流線型のデザインは鉄道ファンをはじめ、多くの人々に愛された車両です。

 

 主に主要幹線で活躍し、一部車両はお召し列車の運用にも用いられたようです。

 

 

 

 個人的にこれも気になっていました。

 

 EF30型電気機関車は、九州方面で活躍して電気機関車で、銀色のステンレス車体が美しく魅力です。

 

 関門トンネルでの過酷な運用に耐えられるようステンレス車体になっており、製造からかなりの年数が経過した今日でも美しい状態を維持しています。

 

 

 電気機関車もありますが、ディーゼル機関車もちゃんとあります。

 

 DD51型は主要幹線向けのディーゼル機関車で、主に北海道の主要幹線に投入されました。

 

 新型の機関車の置き換えが進み、役目を終えつつありますが、一部車両は海外輸出されており、新天地での活躍に期待できそうです。

 

 

 こちらは除雪車と牽引用のディーゼル機関車DD53型です。

 

 ものすごく重厚な設計の車両で、除雪車は北海道の雪と相性が悪かったためか、沿線周辺に被害を出してしまったこともあったようです。

 

 最後は東北方面で活躍したとか。

 

 

 こちらは荷物用ディーゼル車両です。

 

 車内は広々設計になっており、各種荷物輸送に使用されたそうです。

 

 状態が悪くなっており、車体がボロボロなのが気になります。

 

 

 ローカル線用のディーゼル車まで展示されていました。

 

 このタイプのディーゼル車は各地のローカル線の近代化に貢献し、一部は地方鉄道の近代化にも貢献したようです。

 

 碓氷峠鉄道文化むらでは機関車に囚われないいろんな列車を展示しているようです。

 

 

 こちらは首都圏近辺の支線向けディーゼルカー、キハ35で、この車両はステンレス車体です。

 

 当初は房総半島で使用され、末期は八高線などで運用されたそうです。

 

 コルゲートが個性的なのもポイント高いです。

 

 

 碓氷峠鉄道文化むらで最も個性的な工事用車両まで展示されていました。

 

 主に橋梁工事などで使用された車両で、なんと自走運転も可能なようです。

 

 工事車両を展示するテーマパークや博物館は少ないので、珍しいです。

 

 

 こちらは全国でも大変めずらしい軽量型客車の10系客車系列です。

 

 非常に変わった出で立ちの車両が多いですが、軽量車体がネックになっているのか、保存されている車両はかなり限られています。

 

 10系客車系列は非常に多種多様な車両が多いため、詳細は割愛しますが、戦後の客車として各地で貢献したようです。

 

 

 機関車以外にも丁寧に客車も展示されており、本当にいつまでいても飽きないほど充実しています。

 

 来訪時、まだ整備中の車両もあったようです。

 

 

 12系客車のお座敷車両です。

 

 碓氷峠鉄道文化むらでは休憩所として開放されており、飲食も可能です。

 

 ちょっと状態がよくないので、整備に期待したいですね。

 

 

 蒸気機関車まで展示していました。

 

 日本の蒸気機関車のロングセラーD51「デゴイチ」です。

 

 砂箱と蒸気溜めの入ったドームが特徴で、「ナメクジ」と呼ばれることも。

 

 この日は999ヘッドマークを取り付けていました。

 

 

 機関車とは関係のない車掌車や新幹線用事業用車もありました。

 

 碓氷峠鉄道文化むらの飽きないところはこういった車両も展示してあるのがすごいです。

 

 

 個人的にすごく気になるのは「新幹線保線用トンネル巡回車」です。

 

 これは列車なのか?機械なのか?

 

 どうして持ってきたのか?どうやって運び出したのか?どうしてここにひっそり展示してあるのか?

 

 謎が多いですが、とにかく存在価値は高い車両です。

 

 こういった展示は全国的にも珍しいですね。

 

 

 最後は高崎まで戻り、上信電鉄の電気機関車を撮影して撤退。

 

 デキ1型とED31型が留置されています。

 

 デキ1型が自社発注の古典的な私鉄電気機関車、ED31は国鉄から来た電気機関車の車体を改造した車両で、更にルーツは伊那電気鉄道(現:JR飯田線)と、経歴の面白い車両です。

 

 最高の群馬の思い出でした。