プロローグ
こんな私が、あの王子様に恋するなんて思っていなかった。
人生で幸せってあるんだなって、そう思った。
それはキミにあったあの日からの物語。
第一話
希side
あたしはなんでここにいるんだろう?ちょっとまて…頭が真っ白なんだけど…?
っていうかなんで学園の王子様があたしの目の前にいるんだろう…
あ、そうだ。思い出した。あたしここに閉じ込められたんだ。
ここは資料室。今日の朝、先生に頼まれたものを持って行って、そのまま寝ちゃったんだ。
はぁ…しかも鍵が開かなくて…
騒いでたら、王子様(秋本 陸)がいた。
「うるさいんだけど。」
「へ?」
ありゃりゃ?いつもの陸くんは王子様スマイルとか、やさしい人じゃ…?
「人の昼寝を邪魔しないでくれる?」
「陸…くんだよね?」
「うん。だから静かにしてくれるよね?」
うひゃあ…これは王子様スマイルじゃなくて悪魔の笑みだ。
背中から黒いオーラが出てるよ…
「あ、ひとつ言い忘れたけど」
「な…なんでしょう?」
ひぃっ!!なんか怖い。
「今日から俺の彼女になって?」
え?
今、何て言いました?
「じょ…冗談はやめてくださいよ~。」
「人の昼寝を邪魔した罰だよ?」
うぅ…その黒いオーラ放ったままの王子様スマイルは勘弁してください。
「はぅ…」
「でもさ、俺、タイプなんだけど?」
「は?」
「あ…あたしなんか?」
「うん。ただ純粋に。タイプ。」
学園の…王子様だよね?
じょ…冗談にきまってるじゃん。そうだよね。
「本気だけど…?俺、お世辞とか言わないし。」
陸がこっちに近づいてくる。
確かに、とても整った顔立ち。
栗色の髪に、切れ長の、でもどこか優しい目。
どこからどう見てもかっこいい。
こりゃ、女の子が惚れるわ…
ちょ…心臓が飛び出るかも。
ま、まさか、あたし…陸を好きになったとか?