皆さん、こんばんは。
いつもお世話になっている山本加津彦さんの記事です。いつもステキな楽曲を有難うございますm(_ _)m
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東方神起、西野カナ、JY……山本加津彦の作家としての軌跡と信念 手がけた作品が繋いでいく音楽の縁
東方神起、西野カナ、JYといった数多くの人気アーティストに楽曲を提供する一方、近年は東日本大震災の復興を願った牛来美佳による「いつかまた浪江の空を」を手掛けるなど、幅広い作家活動を展開する山本加津彦。自身がリーダーを務めるバンド、Ao-Nekoでの楽曲が評価され、2007年から本格的に楽曲提供を始めた彼は、ピアノの生演奏を主体にしたバラードに定評があるが、元々はピアノにまったく興味がなかったと語る。そんな山本がどのようにして作家への道を進むことになったのか。楽曲制作に対する姿勢や、音楽を通じた社会とのコミットについて聞いた。(猪又孝)
20歳の頃、ピアノの世界の扉が開いた
〜略〜
――山本さんは、東方神起が二人で再始動したタイミングから楽曲提供を始め、多くの楽曲を手掛けられています。山本さんの作る生音重視のバラードは、彼らの楽曲群の中で質感が違う輝きを放っています。
山本:質感が違うと言っていただけるのはすごく嬉しいです。
――東方神起に初めて提供した「シアワセ色の花」(2011年)は、どのように作られたんですか?
山本:書いたのは東日本大震災のあとでした。震災後でなかなか音楽を作る気持ちになれていなかったんですが、彼らが再始動後のタイミングだったことと、自分の気持ちがリンクして、こういう曲を作りたいなというイメージがあって最初から歌詞をつけた状態で提出したんです。
――東方神起の楽曲を作る際、どのようなことを意識していますか?
山本:二人のハーモニーと声の美しさです。その前にCHEMISTRYの楽曲を作らせてもらったり、Ao-Nekoも2声で作っていたので、2声のハーモニーに対して良いものが作れるという自負があったんです。あれほど歌唱力がある二人ですから、最小限の楽器で、生音でバラードを作りたい。そんな僕の思いと東方神起サイドの求めるものが合致したんだと思います。
――東方神起の楽曲制作はどのような感じで進むんでしょうか。
山本:東方神起は生音でレコーディングさせてくれるアーティストなんです。ピアノも生だし、ストリングスも良い音でしっかり録りましょうって言ってくれるチームで、編曲までさせてもらえる。そんな贅沢な環境なので、「だからこそ生音で作りたい!」という気持ちが強くなるんです。予算が少ないから打ち込みで、という時代になっている今、東方神起は自分に与えられたチャンスを活かしていただけるアーティストだと思っています。
――東方神起は、SMP(SM Music Performance)と呼ばれる雄壮でドラマティックなサウンドとパフォーマンスが特徴です。山本さんの中で、ご自身が作る楽曲は自ずとSMPと対比が生まれるという思いもありましたか?
山本:ありました。あと、韓国のアーティストなので海外の現行のサウンドも取り入れている。それに対して、もっと高級感のある音というか、ジャズから来る音の響きというか。彼らの楽曲を作るときは、ストリングスを門脇大輔くんというアレンジャーに発注して、攻めたストリングスにしてもらっているんです。彼も「あまりにも気持ち悪かったら直してください」というほど、二人で切磋琢磨してギリギリのところを突いて攻めのバラードを追求している。それが、自分が好きな東方神起にマッチしてると思っています。
――なかでも「雪降る夜のバラード」(2019年)は名曲だと思います。特にライブでの存在感が圧倒的で、SMPの「動」に対して「静」で魅了する楽曲になっていますよね。
山本:ありがとうございます。彼らはドーム会場でライブをやることが多いじゃないですか。ドームでダンス曲が鳴り止んで、静寂がやってきて、ピアノだけが鳴る中で歌い始める。歌の一番が終わって間奏になると拍手がウワーッと鳴る。あれがたまらなく好きで。あんな大きな空間が、あれほど静かになって、歌っているところだけが輝いている景色があるんですよね。東方神起に曲を作り始めて、「ドームで聴きたい」と思って作ったのは「雪降る夜のバラード」からですね。
――この曲はどのようなイメージで書かれたんですか?
山本:その前に提供した「I love you」というピアノと歌とストリングスだけのバラードをドームで観たとき、二人がハモって歌っている姿がすごく美しかったんです。そのシーンを雪が降っているような景色でも作りたくなって、「雪降る夜のバラード」を書いたんです。
――直近だと、チャンミンさんが昨年12月にリリースしたミニアルバムに「You Light My Moon」、ユンホさんが今年2月にリリースしたミニアルバムに「Shake it like THIS」を提供されています。この2曲はアップテンポの楽曲ですね。
山本:どちらも、二人がドームでソロで歌っている姿をイメージして書きました。最初にユンホの方を作ったんですが、ユンホがドームで子供みたいに無邪気にはしゃぎながら歌ってるイメージで書いたんです。逆に歌詞は苦難を描きましたが、彼は例え辛いときでも会場を明るく笑顔にさせてくれる姿を何度も見たので。チャンミンの方は、ユンホとは同じ方向では作りたくないと思って、もっとメロウだけど情熱的で、最後に叫んでるイメージで作りました。彼は常人にはあり得ないような音域で歌えるので、サビはそれを活かしたいなと思って、2オクターブくらい跳ねるあの高音のメロディを作ったんです。
――今年3月16日にリリースされた東方神起のミニアルバム『Epitaph』に提供された「Light My Moon Like THIS」は、そのソロ2曲をそっくりそのまま合体させた楽曲になっています。あまり類を見ない楽曲ですが、このアイデアはどこから生まれたんですか?
山本:「シアワセ色の花」に出てくる〈どこまでもずっと 変わらずにずっと〉という歌詞は、二人のことを思いながら、東日本大震災のあとに書いていて。その曲で2011年から始まった縁ですが、10年経っても二人で活動していることをすごいなと思っているんです。ただ、その前に15周年のドームツアーの振り替え公演がコロナ禍で中止になった。そこから動きが止まったままだったんですよね。活動がままならないまま2年弱が経過したところでのソロ作品だったんで、ソロはソロとして独立してしまうような曲を作ることに抵抗があったんです。東方神起は二人でいることに絶対意味があるから、それを音でも表現できないかと考えて。今回の曲は1年前から作り始めたんですけど、いつか戻れるというメッセージも込めたくて合体版を作り、東方神起サイドに「どうですか?」と提案したら「最高です」という返事をもらえて、こういう形になったんです。
――山本さんの発案だったんですね。
山本:二人組じゃなかったら、このアイデアになってないと思いますし、単純に二人のライブが見たいという自分の願望が表れたんだとも思います。追加公演が中止になって「クッソー」という思いがあったから。せめて楽曲の中で二人が共存できたらなと思ったんです。
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