今回は神宮大麻の話をしたいと思います。
(不思議話はありません、スミマセン)
神宮大麻とは天照皇大神宮と書かれたご神札のことです。
神宮大麻は伊勢神宮でつくられています(材料の木もこちら由来)。
出来上がった神宮大麻は伊勢神宮大宮司より神社本庁の統理(代表)へと授与され各都道府県神社庁へ届けられます。
神職、氏子関係者の手によって各家庭へ頒布されます。
各神社においても授与所にて販売されています。
その売り上げ総額はまず伊勢神宮に納められ、伊勢神宮はその金額の半分を収入とし、残りの半分を神社本庁に交付(本宗交付金)します。神社本庁はこの金額に多少増額させた額を各神社に配分しているそうです(本宗神徳宣揚費)。
つまり神宮大麻一体あたり1000円なら、500円強が回り回って各神社の取り分に。ただし、これは全国一律ではなく3割程度しか入ってこない神社もあるそうです。
伊勢神宮の遷宮の費用は、昔は国(天皇)が負担していたそうです。
平安時代末期あたりから神宮大麻の元になる「御祓大麻(おはらいたいま)」が普及します。
伊勢の御師(おんし)と呼ばれる祈祷師が全国各地で祈祷を行い、その印として頒布しました。祈祷の代わりに浄財(寄付金)を得て式年遷宮の費用とするため日本全国を練り歩いたそうです。
江戸時代後期には全国の世帯の約9割が御祓大麻を受けていたと考えられています。
伊勢の御師による「御祓大麻」の頒布は、明治維新の制度改革により廃止。
明治5年には伊勢神宮から直接全国民の家々に「神宮大麻」が頒布されることになったそうですが、それを扱う所はその後変遷していったようです。
現在は神社本庁ですね。神宮大麻の初穂料の半分が伊勢神宮の収入になり、式年遷宮の費用の一部となっています。
式年遷宮は持統天皇の頃より行われているものですが、
20年ごとに社殿を新たに造営し旧殿からご神体を移すことをいいます。内宮から外宮、14の別宮に加えて、あの有名な宇治橋も全面的にリニューアルされるそうです。
『週刊ダイヤモンド』2016年4月16日号の特集「神社の迷宮」によると、
62回目(2013年)の式年遷宮の時の予算はなんと550億円(それとは別に皇室から御内帑金を賜っている)だったそうです。
その内訳は330億円が自己資金で、220億円が寄付で賄われているとのこと。
寄付は財界と神社界でそれぞれ100億強。
自己資産の330億の中に神宮大麻による収入が含まれます。
13年度の神宮大麻の頒布数は874万体。1体当たりの“目安”は800円(当時の値段です。2020年11月1日より1000円になりました)なので、1年で約70億円が歳入として計上されます。そのうち、約半分が「宗教法人 神社本庁」という神社の“総元締め”に手数料として抜かれ、残りの約35億円が伊勢神宮に入り式年遷宮の費用の最大の収益源となっています。
「式年遷宮」て必要なんでしょうか。
天武天皇が式年遷宮の制度を作り第1回目は持統天皇の時代に行われました。帝の力を示すために当時それを行ったのだと思いますが、20年ごとにそんなことを続けて行けばどこかで破綻するのは目に見えてます。
スピ的な意味でもあるんでしょうか、私には分かりません。
第63回目にあたる式年遷宮は2033年、10年後に迫っています。
この3年間の新型コロナウイルス禍で経済的に疲弊している日本でやる意味とは・・・。
今まで約1300年続いてきた伝統だからと惰性で続けていくのが目に浮かびますが、ここまで巨額のお金を使い続け、またヒノキの大木を新たに切り倒してまで続けていくことが正しいことなのでしょうか(たとえ式年遷宮の為にヒノキを植えていると言ってもそのうち間に合わなくなるのではないでしょうか)。
1300年のうち中断もあったと聞いています。
続けて行くか否かの議論をしていく時なのではないかと思います。