成功② | (・∀・)b@nother

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1/20(土) 11:41配信

日本初の月面着陸を20日未明に成功させ、わが国を世界5番目の月面着陸成功国へと押し上げた小型実証機「スリム(SLIM)」。だが、快挙にもかかわらず、着陸後に宇宙航空研究開発機構(JAXA)の幹部が下した採点は「60点」だった。なぜこんなに厳しい採点となったのか。 【図で解説】「2段階着陸方式」による月面着陸とは スリムが月面着陸に成功した直後の20日未明に開かれた記者会見で、報道陣から着陸について採点を求められた国中均・宇宙科学研究所長は「ぎりぎり合格の60点だ」と苦虫をかみつぶすような表情で語った。 地球から最も近い天体である月への着陸は、実は非常に高度な機体の制御技術が必要だ。地球の約6分の1に当たる強さの重力があるからで、機体の降下速度や姿勢を高度に制御しないと、月面に引き寄せられて衝突に至る。月面着陸の成功国が4カ国にとどまっていたのはこのためだが、スリムは見事に成功した。これだけでも十分に素晴らしい成果だ。 それに加えて、スリムは「ピンポイント着陸」の成功も確実視されている。各国の月探査機の着陸は、目標地点に対する誤差が数キロ~数十キロと大きかった。だが、スリムは新開発の高精度な位置把握技術で、誤差わずか100メートル以内のピンポイント着陸を目指した。 詳細なデータ解析が必要な成否判定には約1カ月かかるが、国中所長は会見で「既に判明している飛行データから、成功はほぼ確実だ」と指摘。これも大きな成果になった。 それなのに、なぜ60点なのか。理由は、着陸自体は成功したが、月面到達後に太陽電池が発電しなくなり、月面でのその後の活動を大幅に縮小せざるを得なくなったためだ。 スリムには、月の成り立ちを探るため、隕石(いんせき)の衝突などで月内部のマントルが露出しているクレーター付近の斜面に着陸した後、岩石を特殊なカメラで撮影して成分を分析するという使命があった。これに必要な電力は太陽電池で供給するが、大気のない月に降り注ぐ強い太陽光で100度以上の高温になって内臓される半導体が壊れるため、活動の限度は数日間だった。 ところが、太陽電池のトラブルで内蔵バッテリーしか使えなくなり、活動可能な期間はわずか数時間に縮小。岩石の撮影は行われたとみられるが、予定の画像撮影量を大きく下回り、分析結果に影響が出るのは確実だ。それが、採点を大きく減点することにつながったとみられる。

いったいなぜ、太陽電池は発電しなくなってしまったのか。国中氏は現時点での可能性として、計画と異なり太陽電池に太陽光が当たらない向きで着陸してしまったケースと、着陸時に機体がひっくり返って太陽電池のある面が下側になったケースを挙げた。 スリムは斜面に着陸するため、世界で初めて「2段階着陸方式」を採用している。着陸時に機体底面の一端が接地した後、斜面に沿って倒れ込むような形で機体上部の側面を接地させて着陸するものだが、倒れ込む際に勢い余れば、国中所長が指摘するようなケースになりかねない。 機体がひっくり返ってしまった場合は、復旧できる可能性が非常に低い。一方、計画と異なる向きでの着陸の場合、月が軌道を周回するうちに太陽光の角度が変わり、太陽電池が復活するかもしれないという。その可能性を確認するため、JAXAは機体の状態の把握に全力で取り組み、データ分析を急いでいる。