昔、銀座の高級クラブのとあるNo.1の女性を観察していて、
気になることがあった。
華やかな場所の割に化粧が薄いのである。
いつも何かが足りないようなメイク。
まさかメイク用品が買えないわけはなく、
身に付けている服や着物からしてセンスがないわけでもない。
バリバリ働いている割には、見た目からはギラギラ感を感じさせない。
もっとバッチリメイクをしたら引き立つんじゃないかしら…なんて思いながら、
ついついその姿を目で追って、
ついついその表情に目を奪われてしまっていることに、
ハタと気がついた。
覗き込みたくなるような素肌感と適度な隙。
こちらに向かって全面にアピールしてくる押し付けるような美ではなく、
絶妙な引き算メイクが、
彼女をより気になる存在として引き立てていたのである。
引き算により、ぎりぎりまでシンプルにして、
こちらから覗きこみたくなるような「間」をつくる感覚は、
日本人が昔から得意としてきた美意識。
例えば、花を生けるにしても、
たくさんの花を盛るのが得意な西洋のアレンジに対して、
華道では、枝のみで空間の広がりや間を見せたり、
一輪の花を際立たせたりする。
分かりやすい“見えるもの”の量ではなく、
ぎりぎりの引き算により、見えないものを表現するのだ。
枯山水しかり、茶の湯の世界しかり。
日本人の美意識は本来、余計なものを極力省いた空間の中で、
想像力を発揮させて魅せるということに長けていたはず。
今、モノが溢れ、情報が溢れる時代において、
もっともっとと詰め込みたくなってしまう習性は、
一度考え直してみる必要があるのではと思う。
捨てても捨てきれないものは何か、
「これだけ」で勝負するとすれば何か。
分かり易い身近な例でいうと、
“アクセサリーはわざと付けない方が引き立つ”なんてセオリーがあるが、
それは、服や、肌や、存在感を際立たせるギリギリの装飾ということであって、
勘違いすると、ただの地味な人になりかねない。
引き算をするには、引いて際立たせるものの存在感が問われるし、
絶妙な匙加減を見極める感覚が必要なのである。
人とのコミュニケーション、ホスピタリティ、
商品やサービスを創っていく段階でも、この感覚が問われる。
詰め込み型の教育で、
本来、日本人として持っている豊かな感性を眠らせてしまっているとしたら、
足し算のしすぎで、輝ける原石のかけらも見えなくなってしまっているとしたら、
もったいないないことだ。
コーチングやコンサルにおいては、
個人やビジネスの「コア」という概念を大切にしてるけれども、
もっと大きい意味では、
日本人としての「コア」を伝えるという活動を続けていきたいと思う。
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