音楽については何から書こうかなと思いました。物置に眠っているレコードとして、遠く離れた場所にいてもいつも心の片隅にあった一枚「詩人の家」から始めることにしました。

 

1985年、中内功プロデュース・つくば博ダイエー館<詩人の家>で使われた音楽をレコード化したもの。A面がジョー・ジャクソン作曲、演奏は東京交響楽団のテーマ音楽「詩人の家」。B面は戸川純による4つの詩(谷川俊太郎、ジャック・プレヴェール)の朗読、および清水哲男の詩に曲(村井邦彦)をつけた『ポエジー「21世紀の葉陰にて」』の歌。12インチ45回転、価格は2200円。

 

おそらくですね、40年ほど前に大学生協のレコード売り場で廉価なレコードをあさっていたとき、「お、戸川純だ!」という動機で買ったもの。当時は(今も)戸川純が大好きでしたから。このレコードでの戸川さんの朗読にファンキーさやトリッキーさは一切なく、真摯かつまっすぐな姿勢で取り組んでいることが感じられます。

 

それに何より『ポエジー「21世紀の葉陰にて」』。レトロな音調の伴奏が奏でる哀調を帯びたメロディーに乗せて、ふるえるような繊細さとまっすぐさで歌っています。『諦念プシガンガ』に深く感動する私にはかえって新鮮に感じられ、この曲は特に何度も聴き返しました。冒頭の歌詞「つ~め~た~く~かが~やいて~」は、レコードを物置に眠らせて放浪していた30年来、年に何回か胸に去来していたのでした。こういう曲はときどき聴くのがいいんですね。

 

ところでこのレコードにはおまけとしてダイエー館のチケットが同梱されていました。もぎられずに残っているということは、結局行かなかったんだな。ライナーノーツというか制作記を寄せている方はダイエー社員だった人みたいです。陽気なトーンの文章にバブル時代の面影を感じました。