食べ過ぎなどで起こる脂肪肝は、放置すると肝炎へと移行する | ゆきちゃんのブログ

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 食べ過ぎなどで起こる脂肪肝は、放置すると1~2割の人が肝炎へと移行する。脂肪肝の時点で改善することがなによりだ。では、肝細胞に脂肪がたまると、なぜ肝炎の発症につながるのか。

 「肝細胞に脂肪がたまるのは、細胞にとって異常な状態です。結果として細胞が死滅する。そのとき、たくさんの免疫細胞が集まってくることで炎症が起こるのです」

 

 細胞死にはいろいろな種類がある(別項参照)。注目したのは、フェロトーシスと呼ばれる細胞死。簡略にいえば、ミネラルの鉄をスイッチとして、産生された活性酸素が細胞内の脂質を過酸化することで細胞が死滅する。

 「アポトーシスという細胞死では、周りの細胞に迷惑をかけないように萎(しぼ)んでいきます。しかし、フェロトーシスでは風船が破裂するようなことが起こり、細胞の中身を撒き散らします。その処理のためにさまざまな免疫が集まって炎症を起こすのです」

 イメージとしては、アポトーシスの細胞は、免疫細胞の一種・マクロファージが食べて終わる。破裂したフェロトーシスの細胞には、マクロファージ、好球中などの免疫細胞が集まって周囲にも炎症を起こす。その炎症を引き金に、周囲の肝細胞のアポトーシスやネクローシスといった他の細胞死の連鎖につながる。

 死んだ細胞組織は、そのままでは穴が開いたようになってしまうため、カバーとして線維組織があてがわれ、肝臓は硬くなって正常な働きができなくなる。これが、肝炎、肝硬変への道だ。

 「急性肝炎のようなときには、一時的に線維組織が生じても、肝炎が治まれば肝細胞が再生して線維組織も解消されます。脂肪肝からの慢性肝炎では、肝細胞の再生能力は落ち、破壊の方が進んでしまう。それを避けるには、脂肪肝を放置せず、肝炎に移行させないことが重要なのです」

 脂肪肝の細胞死の引き金はフェロトーシス。そのスイッチを入れるのが「鉄」ということは、鉄分を避ければスイッチが入りにくいと思われがち。ところが、鉄分を控えめにしても、わずかな鉄でスイッチは入るので意味はない。

 「重要なのは、肝細胞にたまった脂肪を解消することです。脂肪肝の状態を改善するのは、食生活の見直しにつきます。ぜひ早い段階で始めてください」

 

 ■細胞死とは

 細胞が自ら、あるいは、外部の影響で死滅すること。その主な種類は下記のとおり。

 【アポトーシス】

 不要な細胞や、がんなどの異常な細胞を排除するために、決められたプログラムに従って実行される計画的な細胞死のこと

 【ネクローシス】

 指をカッターで切る、やけどなど、細胞膜の物理的な破壊を伴った偶発的な細胞死(壊死)のこと。炎症につながりやすい

 【ネクロプトーシス】

 本来はアポトーシスすべきウイルス感染細胞などが死を抑制された場合に代替的に起こるネクローシス様の細胞死

 【フェロトーシス】

 鉄をスイッチとした活性酸素により脂質が過酸化されて起こる細胞死。肺、腎臓や神経の疾患などにも関わる

 ※無用の細胞死を防ぐには日頃の健康管理が大切。