[モンハン]妄想小話「ゼロカゲ参上」6 | ゲーム雑記でこんにちは

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ゲームの記録、思い出を残すためはじめました。特にゲームを絞らずにいきます。よろしくおねがいします。違うことも書いちゃいますが、許してほしいんです。

吾輩たちは何もしないのにゴシャハギの報酬を受け取った。

他のハンターさん達と合わずに帰ろうとしたが、往路につかった交易船は呼び戻せないところまで進んでしまい、やむなく、そのクエストで一緒になったハンターさん達と飛空挺でカムラまで帰る事になった。

我輩はこの時、ゼロカゲ様の装備が本当に呪わしいと思った。

あなたなら、自分たちががんばってクリアしたクエストで、何もせず報酬だけがっちり受け取ったハンターがふざけた格好をしていたら、どんな気分になるだろうか。

我輩なら許さんとばかりに引っかいてやりたいものである。

しかし、当のゼロカゲ様はその姿がイケていると思っているからタチが悪い。

とは言っても、何もしないのにもらう物をもらった事はゼロカゲ様も気まずかったらしく、飛空挺の片隅で小さくなっていた。



「あの、ゼロカゲさん・・・でしたっけ。」

全身マガイ一式の若い男性ハンターさんが声をかけてきた。

「そんなに気になさらないでくださいよ。」

「あ、はい・・・」気まずそうにゼロカゲ様が答えると、全身ベリオ装備一式の女性ハンターさんがフフフと笑いながら、

「笑ってごめんなさい。気に病んでも仕方ありませんわ。よくある話ですのに。」

と続けた。

さらに、初老のカイザー一式の紳士ハンターが

「ギルドのシステムがそうなのだから、貴殿のせいではござらん。考えても仕方が無いでござろう。」

と、お茶をすすりながら小さくうなづいた。

さりげなくゼロカゲ様を気遣うハンターさんたちの優しさに、吾輩は感動さえ覚えた。

できればこちらのオトモになりたいと心底思った。

ゼロカゲ様も、皆さんの心遣いに表情が和らいだ。

「いや、でも、やっぱり申し訳ないですよ。」

ゼロカゲ様はそう言って立ち上がり、せめてみんなにお茶をいれてあげようとした、その時だった。

ごとんと音がして、ゼロカゲ様のポーチから何かがこぼれおちた。

「あ。」

それはレアアイテム


「獣玉」だった。しかも2個。

獣竜種から稀に獲得できるアイテムである。

「獣玉・・・出たんですの、ね。」

べリオ装備のハンターがぽつりと言った。

俺もそれ、狙ってたんですよ、とマガイ装備ハンターも続いた。


この二人、どうやら獣玉を欲しがっていたようである。


何もしてないやつがレアアイテムをゲット。しかもそれを他のハンターに知られるこの気まずさは半端ではない。

「いや、これはちょっと・・・」

ゼロカゲ様があわててその場を取りつくろうとした時、吾輩はゼロカゲ様のポーチが破れている事に気がついた。

そして、そこから出てはいけないものがこぼれて落ちていくさまが、まるでスローモーションのようにゆっくりと流れて見えた。

ぺちゃ。

湿った音を立てて竹の皮にくるまれた物が床に落ちた。

全員の眼がそこに集中した。


それは雪鬼胆。

ゴシャハギから取れるレア中のレアアイテムで、20匹狩って1回出れば良い方と言われる貴重な品だった。

場が凍った。

ゴシャハギ討伐に参加したものなら誰もが欲しい激レア素材。この雰囲気では、他のハンターさん達が雪鬼胆をゲットした可能性は無い。

がんばった人になにも出ず、なにもしない者にレアアイテム2連発とは。

「これは・・・笑えんな。」

紳士ハンターは眉間にしわを寄せつつ言った。めちゃくちゃに欲しいと顔に書いてあるのが我輩には見てとれた。




「なあ、名前はまだない・・・」

「何だニャ。」

「・・・いっそ殺してくれ。」

ゼロカゲ様がつぶやいた。

さっき報酬ボックスをみた時はあんなに

「やったー!もうけたー!!」

ってはしゃいでいたのに。

吾輩は「人生、塞翁が馬」という言葉を思い出していた。

この後、飛空挺がカムラに着くまで、誰一人口を聞くものはいなかった。