歳を取ると言うことは、だんだん五体不満足になって行くということだ。それをつくずく感じる。そのはじまりは、ガンになった時だった。あれはいつだっただろうか。確か70歳をちょっと過ぎた頃だった。当時はまだ若かったので、ガンなんて取ってしまえば治ると信じていた。いまだったらとてもそうは行かないだろう。多分今なら、もう駄目だと落ち込んでしまうと思う。あれは若さの勝利だ。ガンと判明したのはごく初期だったことも良かったのだ。ボクは家族が悲嘆しないことだけを考えていた。「ガンなんて取ってしまえば治るよ」と家族にもいい、自分でも信じていた。そしてその通りになった。流石に手術後5年間は再発するかもしれないとドクターから言われていたので、再発すかもしれないが、その時はその時だ、多分再発しないだろうと思っていた。何の根拠もなしにそう信じていた。流石に5年がたち、毎月チェックしてくれたドクターが、「はい、おめでとう、もう大丈夫だよ。と言われた時は嬉しかった。根拠もなしに治る、再発しないと思い込んでいたのは若さのエネルギーだと思う。若いということは本当にありがたいことなのだと、今しみじみそう思う。