みなさんこんにちはウインク

 

前回のあらすじ

チョンホにユンナが好きなのかと聞かれて認めるソン。チョンホは不安を抱えながらも、勉学に集中するよう促す。一方、ソンはユンナに自分に関心があるという言葉の真意を聞かれ戸惑う。和解してからはみんなと一緒に輪になって話すようになった2人だが、ある日ソンはユンナの前で彼女の友人チェリョンとふざけ合うが、その会話に不安を覚えたユンナはその場を去り、それ以降ソンを避けるようになる。ユンナも自分を意識していることに気が付いたソンは、ユンナにまず友達になろうと提案する。

 

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本性

 

その日から、ソンはユンナを見かけるたび自ら彼女のもとに足を運んだ。

女の子たちと話している時だったら、彼女たちに断って輪を抜けユンナのそばに来た。男の子たちと一緒の時は、彼らとともにユンナのもとに来、そのまま彼らに先に帰るよう促した。そのようなことをして2人が噂にならないわけがなかった。ソンは狙ってそうしたわけではなかったが、自身の好意を態度で示そうとしていたのは事実である。

ユンナもこれを拒否することは無かった。彼女の方も周りからソンとの関係を聞かれることがあったが、彼女は頑なに友人だと言い張った。だが、ホヨンに対してだけは違った。

ある初夏の晴れた朝、ユンナがチャンオッ(上着)で眩しい日差しを遮りながら従者とともに裁縫の教室に向かっていたら、後ろから誰かが追いかけて来た。

「ユンナ!おはよう」

走ってきたのはホヨンだった。彼女は家が近いので従者を連れていない。

「ホヨン姉さん!今日は早いんですね。・・・イドル、もう帰っていいわ」

ユンナは従者のイドルを家に帰した。

「・・ねえユンナ、私が何でこの歳になってまで刺繍の教室に通ってるかわかる?あなたたちと話すためよ。もう習うことなんか何にもないのに、毎日毎日やってきては礼儀だの何だの習うのって、本当は馬鹿らしいって思ってるのよ」

「あら、姉さん、私もそろそろ馬鹿らしくなってきたところなんですよ。私もみんなより年上な方だし、同い年の子たちのほとんどはもう結婚してしまいましたから。でも姉さん、早く結婚相手を見つけたいなんて思ってらっしゃらないんでしょう?」

ホヨンはユンナの言葉に考え込む。

「そうね・・・結婚して家に閉じ込められる生活が始まるんじゃないかと思うと嫌よ。でもこのまま婚期を逃して誰にも娶ってもらえないと、私たちには生きる術がないわ」

ホヨンはそう言ってため息をついた。

「馬鹿らしい人生ですよね・・・・母上は、子供を産めば変わるって仰るんですけど、私たちは男と同じように考えたりするし心もあるのに、なぜこんなにも違うんでしょうね」

「あらユンナ、大声でそんなこと言っちゃだめよ。経国大典に反しているって言われてしまうわ。ねえ、あなたは結婚をどう思うの?」

「私は・・・」

ユンナは言いかけてふと、ソンの顔が頭に浮かんだ。

「・・・その、やっぱりよくわからなくて・・・・」

そう言ってユンナは少し頬を赤らめた。ホヨンは笑う。

「そう言えば、うちの弟とは上手くいってるの?」

「・・えっ?」

「最近あなたたちが2人きりで話してばかりだってみんな言ってるわ。私もよく聞かれるのよ。この間なんかチョンホ道令様にさえ聞かれたわ。あの人の方が良く知ってるはずなのに」

「そ、そんなに噂になってるんですか?」

「ええ」

「チョンホ道令様まで?」

「そうよ」

ユンナは困惑した表情を浮かべた。

「弟さんも、噂のことはご存知で?」

「チョンホ道令様がおっしゃるんだから、知らないはずがないわ。あの二人の間はどんな話も筒抜けですもの。私が木の枝に足を引っかけて転んでチマがびりびりになったことまであの方ご存知だったんですからね」

ホヨンは口を尖らせて言った。

「そんな・・・弟さん、その噂について何か仰ってました?」

「いいえ。ソンとその話はしたことがないわ」

「そうですか・・・」

「でもどうして?」

「その、気分を害されてないかと・・・」

ホヨンは笑った。

「あら、ソンが?ねえ、まだあの子のことよく知らないみたいだけど、あの子はすごく正直で誠実な子なのよ。それに、ああ見えて頭の中では色々考えてるの。だから、あなたは何も心配しなくてもいいのよ。あなたの気持ちだってきっと気づいているわ」

「えっ?私の気持ちって・・・」

ユンナは戸惑った。

「私が気づいていないとでも思った?何年も男勝りで勝気なあなたを見てきているのに?ソンに対してはあなた、他の子に話す時と全然態度が違うじゃない!・・・あら、そんなに赤くならないでよ。ソンに匂わせるようなこと言ったりしないから」

「・・・本当ですか?」

「ええ!それにしても不思議ね。みんなあなたのおめがねにかなう男性がどんなにすごい人かずっと興味津々だったのに、まさか私の弟だなんて」

「道令様はとてもいい方です。他のどんな方より」

ユンナはとっさに言った。

「あらまあ、熱烈な告白ね。まあいいわ、私は黙って見ているだけだけど、何かあったらいつでも相談してね」

ユンナは顔を赤くしながら頷いた。

「ありがとうございます、姉さん」

そう言いながらユンナは、いつの間にか自分の方がソンに夢中になっていることに初めて気が付いたのであった。

 

 

ソンとユンナが互いへの気持ちを育てている間、チョンホの身にも様々なことが起きていた。

シミンはある日、意を決してチョンホの家に行った。珍しくイクスは留守で、ユンナはチヒョンに屋敷の庭に上げられた

チョンホは登場から不快な表情を露わにしていた。

「・・何ですか」

チョンホはぶっきらぼうに言った。

「道令様、今日は本心をお聞きしたくてお伺いしました」

シミンはチョンホの顔をじっと見つめて言った。

チョンホは返事をしない。

「本当は、道令様は私のことをお嫌いなんでしょう?」

「本当も何も」

チョンホは呟いた。

シミンは途端に涙を流す。

「・・・やっぱり、分かっていました・・・道令様の私への態度で・・・。道令様は女嫌いだと、みんなから言われましたが・・・それでも、私、信じたかったんです・・・道令様と上手くやっていけると・・・」

チョンホはシミンを見てうんざりした表情を浮かべる。

「でも、やはり・・・無理だったんですね・・・・。真心で接すれば、道令様に・・・・きっと道令様に・・・分かって頂けると・・・」

「真心?」

チョンホはそう言って鼻で笑う。

「あなたは何も分かってないようですね」

「それは・・・」

「道令様!!」

シミンの言葉を遮るようにチヒョンが走ってきた。

「どうした?」

「大監がお帰りです」

チョンホは途端に顔面蒼白になった。

「早く帰れ」

「えっ・・・?」

「早く!」

チョンホはシミンの腕を掴んで無理矢理連れて行こうとした。

だが、時すでに遅く、イクスが目の前に現れた。

「・・・お前、何をしている」

イクスの低い声にチョンホはシミンの腕を握っていた手を放す。

「お義父様、ご無沙汰しております」

シミンはイクスに礼をした。

「・・・シミンではないか。何か用か」

「実は・・・・」

「申してみよ」

チョンホは青い顔でシミンを見たが、シミンは無視した。

「・・・道令様が私を邪険になさいますので、その理由を伺いに参りました」

「何だと?こいつがそなたを邪険にしただと?」

イクスの鋭い視線がチョンホに向かった。

「一体何を考えておる!わしとスボクが決めた許嫁を侮辱するとは!そなたはこの家の歴史に泥を塗りたいのか!!」

イクスはそう言ってチョンホの胸倉をつかんだ。だがチョンホはまず先にシミンに目を向けた。

その時チョンホが見たシミンは、彼が今まで見たことのない表情をしていた。彼を見下すような視線を向け、口元はわずかに笑っていた。まるで『ざまあみろ』とでも言うかのように。

何度も言っているが、チョンホには並外れた人を見る目がある。いくら婚約者とはいえシミンをあれほど邪険に扱ったのには彼なりの理由があった。だが、彼女に悪評を下していたチョンホでさえ彼女のこの態度の変化には衝撃を受けた。

チヒョンは慌ててイクスを止めようとした。だが、イクスの新任の従者であるソンジョンは違った。まだ若くて好青年の彼はイクスに取り入ろうと必死であり、この時も彼らを止めるのではなくシミンを彼らから少し離して守ろうとした。

イクスはチョンホを放した。チョンホはシミンとソンジョンを睨んだ。

「私の可愛い義理の娘にこれ以上無礼な態度を取ったら、どうなるかよく考えておけ」

イクスはチョンホに捨て台詞を吐き、シミンの方を見た。

途端にシミンは先刻の表情を捨て、哀れな少女の顔に戻った。

「そなたはもう帰りなさい。私がよく言い聞かせておきますから」

「ありがとうございます、お義父様」

シミンは涙声で挨拶し、ソンジョンに促されて帰って行った。

イクスはしばらくチョンホを睨んだが、そのまま部屋の方に帰って行った。

「チヒョン」

チョンホは呆然と門の方を見つめたままチヒョンに声を掛けた。

「はい、道令様」

「あの女の顔を見たか」

「・・・見ましたとも!!」

チョンホはため息をつく。

「さすがに私もそこまでの娘とは思っていなかった」

「ええ!道令様への敵意丸出しでした!」

「あれでは、わざと父上に取り入ろうとしているとしか思えない」

「道令様、実は昨日、ソンジョンが出掛けてシミンお嬢様に何か言いに行ったのをパク・ソン様の従者が見たそうです」

「・・・えっ?ソンジョンが?」

チョンホは驚いてチヒョンを見る。

「今日の大監のお出かけが分かったのは昨日です。ですから・・・お嬢様はわざと、大監に出くわすようにいらっしゃったのでは・・・?」

チョンホは目を丸くする。

「・・・そんな・・・・」

「道令様、あの方はとんだ女狐です!」

チヒョンはそう言って舌打ちした。

「・・・なんでいつもこうなんだ。あの女は結婚すれば必ずや父上の間者となるぞ。なんでこのような人間ばかりが・・・」

そう言ってチョンホは俯いた。

チヒョンは主人の顔を心配そうにじっと見つめた。

 

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今回はここまで。

皆さんまた次回爆笑