チャングム七不思議の続き(後半)です!(フォントが変なのはスルーして下さい💦)

 

 

 

4.ミン・ジョンホが受けた科挙の種類

 

 藍歌で科挙の話を沢山書きましたが、科挙と一口に言っても種類は沢山あります。一番ノーマルなのは、3年に一回行われる式年試という試験。式年試を基準に説明します。

 

 そもそも科挙とは、古代中国以来、中国を含む周辺の儒教国家で官吏登用試験として採用されていたもので、試験の内容は主に四書五経という9つの儒教の教科書から出題されます。中学生の世界史とかの資料集で、『古代中国の科挙でのカンニング下着』みたいなのありませんでしたか?下着にびっしり字が書いてあるやつ?

 しかも科挙は一回こっきりの試験ではなく、時代や国にもよりますが、大体5、6個の試験を全て及第して初めて『科挙合格』となり、官吏になることが出来ます。大学受験でいうと、センター試験、二次試験、の後に、三次試験、四次試験、五次試験とある感じですね。チャングムの時代では式年試は主に5つの試験に分かれていました。

 そしてもっと大変なのが、それを全て1度で受けるわけではないこと。順に合格する必要があり、さらに前半と後半に分かれるということ。前半の2つは順に『初試』、『覆試』と呼び、2つまとめて小科(司馬試)と言います。後半の3つは順に『初試』、『覆試』、『殿試』に分かれ、合わせて大科と呼びます。一度の科挙で受験できるのは、小科か大科のいずれかだけです。

 

 特権階級である両班の子供たちは幼い頃から書堂と呼ばれる私設学校で勉強し、中学生ぐらいの年齢で四学や郷校という国立学校に入学します。それから式年試が開かれると小科を順に受け、合格すれば『小科及第』の地位を得ます。

 そして、小科及第者はまた式年試が行われたら大科を受験し、すべて及第したら初めて官僚への道が開きます。

 

 また、もう1つ問題なのが、受験する型が複数あること、センター試験でも何教科とか理科選択とかで、1型、2型などいろいろな型がありますよね。当時もそれと同じで、受験科目によっていくつか型に分かれていました。オーソドックスなのが明経科。四書五経の暗記と解釈が中心です。そして、最難関かつ合格者には大きな特典がつくのが進士科。教科も非常に多く、その中には詩を書かせるものや、政治的な題を出してその策を考えさせるものまであり、どれも文章力をみる試験です。また、イレギュラーなのが生員科。これは進士科と似たような物ですが、小科合格後の流れが進士科と違っています。

 みなさん、「トキメキ☆成均館スキャンダル」というドラマをご存知でしょうか。パク・ミニョンさんやJYJのユチョンさん、ソン・ジュンギさんやユ・アインさんら出演の歴史ラブコメです。ここでは、成均館という最高学府を舞台に、男装して入学したパク・ミニョンさんと他の生徒とのラブストーリーが描かれています。この成均館、今では成均館大学となっているのですが、朝鮮時代はドラマの通り、国立学校のトップとして官庁が運営していました。入学できるのは、科挙小科を進士科または生員科で及第した者のみ。寮生活で学費は国が負担し、大科及第を目指します。

生員科はそもそも成均館入学を目的とする受験型ですが、進士科は決してそうではありません。大科を受けなくても下級官吏になれ、官吏をしながら大科を受けなおすこともできるという特典付きで、さらに進士科合格者(進士)はどこに行っても優遇されます。16世紀の政治的二大派閥の1つである士林派は、主に進士たちで構成されていました。

 成均館の学生を斎生と言いますが、そのうち成績優秀者は大科初試を受けなくても覆試を受けられるという特権があります。

 

 また、大科の殿試では基本不合格者を出しません。大科覆試の合格者33名がそのまま殿試で合格します。でも殿試は重大な役割を持っているのです。殿試の問題は基本、国家君主である王自身が出題し、王が最終的な順位を決めます。もちろん臣下もそこに関与しますが。

合格者は成績ごとに上から甲、乙、丙に分けられ、甲での合格者3人は特に優遇されます。その甲の3人ですが、首席を状元、二番目を榜眼、三番目を探花と言います。彼らは合格した順位により官位が与えられ、正一品~従九品まである宮廷の官位のうち、状元だとすぐさま従六品を与えられます。これはチョンホさまが初登場の時の内禁衛従事官と同じ位です。

 

 式年試を説明しましたが、他に王の即位時または翌年に実施される増広試という試験もあります。流れは式年試と同じですが、合格者の人数が若干違ったようです。

 この二つ以外に様々な試験がありますが、それらはあくまで特別試験の扱いで、今で言う推薦入試やAO入試でしょうか。これらで官職に就くことも可能ですが、やはり一番ステータスがあるとされたのが進士出身の人たちです。

 

 

 ではでは、やっと本題

 チョンホ様はクミョンは内侍府の長官様(尚温/尚膳)の言葉から『司馬試状元』であることが分かります。つまり、小科を状元で及第したということです。しかし、クミョンは中宗即位後間もなく、チャングムたちに『15歳で司馬試を状元で及第し、今回殿試にも及第して王前に呼ばれた』と言っていますが、長官は52話かそれぐらいで『弱冠16歳で司馬試を状元で及第し、王前に呼ばれたことがあります』と話しています。その後の回想シーンでは、成均館の斎生の恰好をした若き日のミン・ジョンホが、殿試の題について王前で議論する場面が流れます。

 さて、司馬試を及第したのは何歳なのでしょうか。それ以上に、殿試は司馬試にないので司馬試及第者と王様が会って殿試の話をしてるのは非常におかしいんです。

 

 結論:作者は科挙をよく知らない・歴史考証不足

 

 チャングムってよく調べたら時系列むちゃくちゃなんで、まあ整理しにくいんですが、一番辻褄に会った打開策を考えました。

それが、

チャングム1496年生まれ、チョンホ1492年生まれ説です!!!!

チョンホの時系列を辿っていきます。

1506年9月 中宗即位。その後まもなくチャングムは宮中に行きますが、式年試が偶然被ってて司馬試でチョンホが既に春頃状元で及第していて、即位後高速で行われた増広試でチョンホまた及第して(最低150日あれば大科受けらるので!)王様に呼ばれた

 

うーん・・・やっぱ無理あるなあ・・・・

 

なんかいい案あったら教えて下さい・・・

 

 

 

 

5.両班の流刑人って・・・

 

 オ・ギョモやパク・プギョムが流刑になる際、牛に引いてもらってます。謀反などのよほどの重罪人でない限り、両班の男は基本奴婢に落とされず、死罪にもなりません。

 Q1.ではなんでチョンホは歩いて三水に行ったのか?

 A1.演出上。チャングムが追って来やすいように。

 

・・・。

 

 Q2.では、なんでチョンホは畑を耕していた?

 A2.・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

 

おもしろかったからでしょうか(白目)。

 

 

普通流刑になっても両班は屋敷やら与えられて、そこで静かに暮らします。

ああ、なぜ畑を耕したんだろうか。

 

 

 

 

6.ヨンセンの部屋と内医院の距離

 

 ヨンセンは妊娠してからチャングムの診断により『風熱』と分かります。今で言う妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)です。ダウントン・アビーのシビルがなってたやつです(急にぶち込んでみた)

 さて、これは大変な症状なのですが、放置しておくと母子ともに命が危ぶまれます。いくらチャングムがなんやかんやしたからと言って、出産中に一度心肺停止した人がなんの傷害もないなんて。いや、もっと変なのが、ヨンセンの心肺停止を知ってチャングムが内医院に麝香を取りに帰ったこと。用意しとけよ。てか、あんなに広い宮中でヨンセンの部屋と内医院ってそんなに近いの?そもそもこの時代に心臓マッサージなんてない!って議論を差し置いても色々おかしい。ヨンセンはそもそも内医院で産んだのか?

 

 

 

 

7.チョン・ウンベク、あなたは何者。

 

 物語のキーパーソン、チョン・ウンベク主簿ナウリ。通称酒豪菜園ハチおやじ。

彼はチャングムの転機に現れ、何かしらいいことやってまた帰っていきます。

そんなありがたいウンベクさんにとっての恩人なのが、チャングムの師匠チャンドク。ウンベクさんの不治の病(お腹の良性腫瘍)を治療します。

 はてさて。それから、チェ一族の件が片付いた後も一緒に酒を飲んでる2人ですが、一部のファンからは「2人は愛人関係では?」との声が。ええ?あの2人が?と思いましたが、そもそも酒ばかり飲んで家族の姿が垣間見えることなどないウンベクさん、独身という設定でしょうか。チャングムのキャラクターたちは異様なくらいほとんどが独身で、チャングムとチョンホを除けば異性の影すらありませんが、あれはいったい何なんでしょう。最後チャングムたちだけが既婚者になって急に変な感じがした。仲良しグループの2人が結婚するみたいな。

 一番笑ったのが、『悪玉がユン・マッケの妓房で会議するなら、善玉はチャンドクの薬房で会議する』説。チャングムが皇太后(大妃)に賭けをしている時、チャンドク・ウンベク・トックおじさん・チョンホという謎メンツで会議しています。(なお、このシーンのチョンホさまのセリフはほぼゼロ。ただただオーラを放つだけ。そもそもセリフないんだったらそれ会議って言うかな。)この4人のサラダボウル感。この中で全員と仲良くてみんなを仲介できるのはただ一人、ウンベクさんだけです。うるさいチャンドクに対抗する力があり、トックおじさんの変な話をスルー出来、寡黙なチョンホさまとは謎に仲良さそう。よく一緒に歩いてるし。なに、チョンホさまとウンベクさんって?何話すの?ああ、酒好きって共通点が2人を結びつけるのか。泥酔したチョンホさまも見てみたい(ええ?)

 

 

 

はてさて・・・・長くなりましたが、七不思議は以上になります!

 

みなさん、また次回!