令和8年司法試験再現答案(民法) | Takaの司法試験やるよやるよブログ

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設問1小問2

1 FはKに対し、所有権に基づき、妨害排除請求権として、所有権移転登記抹消登記手続を請求する。Fの請求が認められるためには、①Fに丙土地の所有権が帰属すること認められること、②現在、Kが丙土地の所有権移転登記を保持していることが認められることが必要である。

 Kは、相続により丙土地の持分をEから取得したH(民法882条、896条本文、900条1号)との売買(555条)により、丙土地を取得し、②現在、丙土地の所有権移転登記を保持している。

2 では、Fに丙土地の所有権が帰属するか。

(1)Fは、本件遺言により、Eから丙土地を特定承継している。また、上記のとおり、HはEから丙土地の持分の相続を受け、この持分を売買により、有効にKに譲渡している。したがって、丙土地に関しては、FとKは、Eを中心とした二重譲渡の関係にあるということができる。

 よって、FとKの間の丙土地の所有権の優劣に関しては、177条により決するものと考える。そして、177条の「第三者」とは、当事者及びその包括承継人以外の者で、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者をいうと解する。

(2)Kは当事者ではないし、その包括承継人でもない。また、Fは遺言によって有効に丙土地をFから取得しているのに対し、Kは相続により丙土地の持分を取得したHから、売買によって有効に丙土地の持分を取得している。したがって、FとKは丙土地を巡って対抗関係にあるといえ、Kは、登記の欠缺を主張する正当な利益を有する者にあたるので、「第三者」にあたる。

(3)177条は、不動産の権利の得喪を「第三者」に対抗するためには登記を備える必要があると規定する。そして、現在、Kが本件登記③を備えている。したがって、丙土地の所有権については、KがFに優先し、Kが丙土地の所有権を確定的に取得する。

 また、仮にKが背信的悪意者にあたるのであれば、Fは登記なくしてKに丙土地の所有権を対抗することができるが、本件売買契約の締結の当時、Kは、本件遺言の存在を知らず、また、Hに対してEが遺言を残しているか否かを尋ねることもしていないので、Kは、EからFへの丙土地の遺贈について善意だったといえるから、Kは背信的悪者にはあらない。したがって、Fは登記なくしてKに丙土地の所有権を対抗することはできない。

(4)以上より、①丙土地の持分の所有権はFに帰属しない。

3 よって、Fの請求は認められない。

設問2小問1

1 反対の立場

 反対の立場としては、本件出来形の所有権はCに帰属すると考えるものがある。

 これは、独立の不動産となった出来形については、建物というものは、材料の集積により不動産となるものであるから、その材料を提供した者に当該不動産の所有権が帰属すると考える見解である。

 本件では、Cが本件出来形の材料の全部を自ら調達しているので、その材料によって独立の不動産となった本件出来形については、その所有権はCに帰属すると考えるものである。

2 私見

(1)しかし、下請負人が材料を調達した場合において、請負人と注文者の間に合意があるときには、反対の立場の考え方は妥当ではない。

(2)下請負人が請負人の履行補助者と考えられるときには、下請負人は、請負人の請け負う債務の履行を補助する者にすぎないのだから、特段の事情がないかぎり、下請負人は請負人と注文者の間の合意に拘束されると考える。そして、履行補助者といえるか否かは、下請負人が請負人の注文者に対する債務の履行を補助する関係にあるか否かより判断する。

(3)本件では、注文者であるAと請負人であるBの間で、本件契約①が解除されたときには、出来形部分の所有権をAに帰属させるという合意があった。そして、下請負人であるCは、一括して、Bから本件工事を請け負った者であるから、Bの代わりにBの債務の内容であるA所有の土地にAの自宅用建物を建築するという債務を履行する立場にあったといえるから、下請負人が請負人の注文者に対する債務の履行を補助する関係にあると評価することができる。したがって、CはBの履行補助者にあたる。また、Cは、本件契約②の内容が、Bの請け負った本件工事①を一括してCが請け負うものであると知っていたので、Cに固有の利益は認められないといえ、特段の事情は存在しない。

 したがって、CはAB間の合意に拘束される。

(4)よって、本件出来形の所有権はAに帰属する。

設問2小問2

1 AはBに対し、415条2項3号に基づき、債務不履行による650万円の損害賠償を請求する。

2 BはAに対し、本件契約①に係る債務を負っていたところ、Bは本件工事①を完成させていないので、Bに債務不履行があった。そして、AはBに催告をした上で、本件契約①を解除している。したがって、Aによる解除は有効である(541条)。

 また、「損害」とは、債務不履行によって形成された財産状況と債務不履行がなかったならば有したであろう財産状況の差額を言うところ、Bの債務不履行がなければ、AはDとの間で本件契約③を締結する必要はなく、本件工事②に対し、650万円を支払う必要はなかったのだから、これが、債務不履行によって形成された財産状況と債務不履行がなかったならば有したであろう財産状況の差額と評価でき、「損害」は650万円である。

 もっとも、請求が認められる範囲は、損害と債務不履行の間に相当因果関係が認められる範囲に限られる(416条1項)。相当因果関係は、条件関係が認められることを前提に、当該債務不履行から通常発生するものについて認められる。Bの債務不履行がなければ、AはDに650万円を支払う必要はなかったので、条件関係が認められる。また、請負人が仕事を完成させなければ、通常、他の者に注文主が工事を依頼すると考えられるので、この650万円は、Bの債務不履行から通常発生するものと考えられる。したがって、上記の650万円全額について、因果関係が認められる。

 そして、Bの債務不履行は不可抗力によるものではないので、当該債務不履行をBの責めに帰することができない特段の事情も認められない。

 よって、Aの請求は認められそうである。

3 もっとも、Bは、本件出来形を完成させており、本件出来形はAに引き渡されている。そして、Bは、この出来形部分の報酬との相殺(505条1項本文)を主張している。

 634条2号は、請負契約が仕事の完成前に解除された場合に、仕事の結果のうち可分な部分の給付によって注文者が利益を受けるときは、請負人は、注文者が受ける利益の割合に応じて報酬を請求することができると規定する。

 本件においては、本件契約①は、Bが仕事を完成させる前にAによって解除されている。また、本件出来形は独立の不動産となっている建物なので、可分といえる。そして、上記のとおり、本件出来形はAに引き渡されているので、給付があったといえる。くわえて、Aは、本件出来形の引渡しによって、Bの仕事が完成したとすればAが受けるであろう利益の6割の利益を受けている。さらに、契約①の代金は1000万円であった。

 よって、BはAに対し、代金1000万円のうち、Aが利益を受ける600万円の限度で報酬の請求をすることができる。

 また、AのBに対する債務不履行に基づく損害賠償請求権とBのAに対する報酬請求権は、ともに同時履行の関係にあるものであるが、双方に履行を強制する実益がないので、相殺に供することができると考える。

 よって、Bの反論は認められる。

4 以上より、Aの請求は50万円の限度で認められる。

設問1小問1