IT業界の古き悪しき習慣が改善されてきているという話 | Takaの司法試験やるよやるよブログ

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IT業界には、いわゆる「SIer」と言われるシステムインテグレーターの会社があります。

このSIerは何をしているのかというと、主に、システム開発やネットワーク開発などを受託し、顧客が希望するシステムやネットワーク環境を納品します。

そして、そのSIerの中でも多重に請負が発生し、大きなSIerに小さな孫請け、ひ孫受けのSIerの社員が協働者として常駐して、皆でシステム開発などを行っています。

日本では、有名なSIerとしては、富士通やNTTデータ、日立製作所、NECなどがあります。

かく言う僕も過去に日立製作所で常駐していたことがあります。

この頃はまだITの仕事を始めた当初で、いわゆる「オペレーター」として定例作業をしていました。

 

昔からSIerと顧客の間で存在した習慣として、顧客はSIerの提案自体にはお金を支払わなかったというのがあります。

SIerとしては、競合がいるのに、事前に顧客の業務などを精査して把握し、それに合ったシステムなどをいくつか提案する必要があります。

以前は、この事前の検討と提案の部分に金銭が支払われていませんでした。

中には提案だけ受けて、内容を盗んでしまう顧客といえない顧客もいたようです。

 

それが、この記事によると、改善されてきているようです。

 

 

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 そういえば、こんなあきれ果てた話を当事者から聞いたこともある。

新システムの開発案件でコンペを開いた大企業のCIO(最高情報責任者)が、SIerの提案に憤っていたのだ。「我が社の命運を決める重要なシステムだから渾身(こんしん)の提案をお願いしたのに、凡庸な提案ばかりだった」とのこと。

「提案料を支払ったのか」と聞いたら、CIOは「えっ、何で我々がそんなものを出さなきゃいけないのか」とけげんな顔。

本当に「駄目だ、こりゃ」と思ったぞ。

「我が社の命運」を決める提案をただで要求したわけだからね。

 

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これまではいわゆる「御用聞き」みたいな存在で、システムの開発やネットワークの構築だけを請け負ってきたSIerが「オファリングサービス」的なものを始めたというのです。

 

この「オファリングサービス」というのは何なのかというと、提案に併せて、自社や関係するベンダーの取り扱っているITサービスの利用も込みで提案することにより、提案に付加価値を付けてこれまでの委託の範囲よりも大きな範囲での業務システムなどの開発を丸っと請け負うという形のサービスに切り替わりつつあるようです。

 

これにより、SIerがビジネスモデルの変革に成功すれば、生成AI(人工知能)のシステム開発などでの活用と相まって、人月商売や多重下請け構造が確実に減っていくものと考えます。

 

将来的には、個人事業主の常駐エンジニアもひと月何時間~何時間の間という基準ではなく、どれだけ成果を出し、それがどのように評価されたのかという基準に変わっていくのかもしれないです。

 

このSIerと顧客との関係の変革は、ここだけにとどまっていません。

 

私は現在、とあるSIerに常駐している個人事業主のエンジニアですが、顧客に提案することも求められます。

例えば、今進んでいるプロジェクトで言えば、仮想環境からクラウド環境に移行するにあたり、どのクラウドサービスが弊部署に適切なのかを検討し、提案することもやりました。

 

他の業界の皆さんからすれば、特にコンサルタントの方からなんかだと、「え~!提案に料金が発生しないの!?」とびっくりされるかもしれないですが、実はIT業界ではまだまだ提案に料金が発生するのは新しいことなんです。

 

IT業界はITに詳しい人はたくさんいるのですが、契約とかに詳しい人は皆無といっていいいでしょう。

 

こういう分野でも弁護士の活躍が期待されているかと考えます。