第1 設問1
1 本件ワイン売買契約について
(1) AはBに対し、本件ワインは飲用に適さない程度に劣化ことから、本件ワイン売買契約は履行不能(民法412条2第1項)となっているとして、同契約を解除(542条1項1号することを主張する。
これに対し、Bは、危険はAに移転している(567条1項)として、契約の解除を拒否することが考えられる。
(2) 567条1項は、「目的物を引渡した場合」に、「目的物が当事者双方の責めに帰することができない事由によって」「損傷し」たときは、「買主は」「契約の解除を」「することができない」と規定する。
では、「引渡し」があったといえるか。
ア 売買(555条)では、意思表示によりその所有権は移転する(176条)。よって、本件ワイン売買契約の締結された令和3年6月1日の時点で本件ワインの所有権はBからAに移っているといえる。よって、本件ワインの所有者は、Aの上記請求があった時点では、Aに帰属しているということができる。
イ よって、本件ワインはBからAへ「引渡し」がされているといえる。
(3) また、甲の配電設備が故障した原因の火災は、甲に隣接する家屋から生じているので、「目的物が双方の責めに帰することができない事由」により「損傷」しているということができる。
(4) したがって、危険はAに移転しているといえ、Aは本件ワイン売買契約を解除することができない。
2 本件賃貸借契約について
1 AはBに対し、「賃借物の全部が滅失その他の自由により使用及び収益ができなくなった」として契約は「終了」すると主張する。
これに対し、Bは、甲は使用可能な状態に復旧しており、要件を満たさないと主張する。
2 甲は火災により、一度故障したが、請求の時点では既に復旧し、空調昨日は正常に稼働しているのだから、「使用及び収益ができなくなった」ときにあたらない。
よって、Aは、契約を解除することができない。
第2 設問2 (1)
1 Aは、本件譲渡担保契約の有効性について、第三者に対して主張することができるか。
2 集合物には物権の設定はできないという見解がある。これは、複数の物に物権を設定する必要がないことと、公示の方法がないことを理由とする。
しかし、本件では、複数の物に一つの物件を設定する必要があるし、公示の方法も占有改訂によることができる。
もっとも、集合物を範囲などで特定する必要があると考える。
3 本件では、丙内の全ての酒類(アルコール分1パーセント以上の飲料)と範囲は特定されており、占有改訂の方法で目的物の公示もされている。
よって、本件譲渡担保は有効に成立している。
4 したがって、Cは、本件譲渡担保契約を第三者に主張することができる。
第3 設問2 (2)
1 Dは所有権留保に基づき、本件ウイスキーの所有権はDに帰属していると主張する。
これに対し、Cは、本件譲渡担保契約により、Cが本件ウイスキーの所有権を取得していると主張する。
どちらが優先すべきか。
2 本件ウイスキー売買契約によると、本件ウイスキーの所有権はDに留保されており、Aはその代金を完済するまで本件ウイスキーの所有権を取得しない。
よって、Aは本件ウイスキーに関して無権利であり、Cは譲渡担保を設定しても、Aから有効に所有権を取得することができない。
3 したがって、DはCに対し、本件ウイスキーの所有権を主張することができる。
以上
文句なしのF答案。
設問1では、危険負担では、意思表示だけでは危険は移転しないという原則を忘れていた。
何を書いていいのかかなり迷ったので、完全にテンパってしまった。
設問2は論点が出てこず。
時間を掛けて考えたが、それでも出てここず、意味のない処理をしてしまった。
設問2(1)は途中で尻切れトンボになった感じ。
設問2(2)は即時取得が出てこなかった。
爆死決定。