以前投稿したRadioheadの中核メンバー、トムヨークとジョニーグリーンウッドと、ジャズドラマーであるトムスキナーによるバンド「The Smile」が新譜を発表しました。


Radioheadで成功を手にした彼らは、プロではあるけれど、Radioheadでもそうですですが、もはやセールスのことは気にせず、自分が作りたいものを作っている感じか。

クラシック作曲家でもあるジョニーグリーンウッドは最近は映画のサントラはやっているのだろうか。


50代半ばとなった彼らの最新作。

やはり素晴らしい。



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ところで、かなり以前にスティングがインタビューでこんなニュアンスのことを語っていたのが印象に残っています。


「自分たちプロのクリエイターは、自らの表現を広げ、聴いてもらっている人達の耳を開発する責任をもっている。人々に新たな刺激を与え、人生に新たな視座を与えたい。またそのことは自分たちクリエイターの生きる道の拡大にもつながる。傲慢かもだけど、そう考えている」


世界トップを獲るため、自らのマーケティング戦略を練り、それを実行して世界屈指のロックバンドとなった、したたかで戦略的なポリスの中核メンバーの発言として、さすがだと思ったけど、現代のロック界で、このスティングの発言を体現しているのが、間違いなくトムヨークとジョニーグリーンウッドの二人だと思う。


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それにしても今回の作品。


シンプルな構成。いわゆるロック的でない。

コンピュータの香りはしない。

ギター、ピアノ、ベース、ドラムを主体にしたもの。コンピュータを使っているかもだけど効果的に活用している。


規則正しいリズムと同時に変拍子を多用。

カッコいい曲はない。というかカッコよくない。

派手でない。

はっきり言って、売れなそう。


ただイアホンを耳に、これを聴きながら街中を歩いた時、なぜかじわじわと、こみ上げるものがある。


涙が出てくる。。

何故だろうか。


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一言で言えば、「生」を描いていると感じるからだろう。


その音、響きは僕に内省を促し、人生を感じる機会を提供する。

彼ら自身が、人生をみつめ、それを音像として表現している気がする。

悩ましい現代を生きる我々の「生」をリスペクトしている表現がそこにある。


そんな気がする。


これまで活用していたコンピュータでなく、敢えて生楽器を主体にして、凄腕ジャズドラマーとのバンド編成にしているのも、そうした「生」の表現の強さにこだわっているからか。


相変わらず、トムヨークとジョニーグリーンウッドは、僕たちに知的でクリエイティブな刺激を与えてくれる存在です。。


特に気に入っている曲。