もともと、平野啓一郎の小説は好きで、なるべく読んでいたが、「マチネの終わりに」は長い間、読んでなかった。非常に気になっていて、本屋でチラチラ見ていたが、本格的な恋愛小説と聞き、保留していた。

初版発行から一年以上経ち、村上春樹の「騎士団殺し」が出版され、世間が騒いだ。

村上春樹もずっと読んでいた。本当に好きだった。でも好きだったのは「羊をめぐる冒険」や「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」まで。

それ以降は「?」を頭に点灯させながらの読書で、「1Q84」で、ついに「×」が頭についてしまった。

でも、本屋で「騎士団長殺し」を手に取った。
よかったら買おうかなと。

そして最初の何ページかを読んだ。
やはり「×」が灯った。

謎かけのオンパレード、気取った会話、こざかしい小道具、性にオープンな女性と主人公。相変わらずだな、と思い本を閉じた。
ところで、どうして村上春樹の登場人物は性に奔放なんだろう。世の中、みんなそうなのだろうか?そんなことないよね。いい歳の大人が見境なく性を貪るか?!

女性を軽く見ている気がする。一般社会とのズレを感じざるを得ない。

よって、要は「リアルな生」を感じない。

→ 好きな人、本当にごめんなさい。

そして、偶然にもすぐ横にあった、これまではチラチラ見るだけで、非常に気になっていた平野啓一郎の「マチネの終わりに」を意を決して手にとった。

そしてはじめの数ページを読んだ。

これだよ!!しっくり、ずっしりきた。

さすが平野啓一郎!

そして、本屋でちょい読み進めた。
どのページかわからないが、心にこの小説の世界が染み渡り、思わず本屋で泣いてしまった。

すいません、本屋さん。Kindle で買ってしまいました。

「マチネの終わりに」

本当に素晴らしい小説です。

知的で、リアル。
大人の恋愛小説を超えた恋愛小説だと思う。

ところどころの場面を思い返すと、今でもジーンと来る。深い洞察、言葉が心にずっしり来る。

ああ、映画化やドラマ化だけはして欲しくない。

仮にするのであれば、キャスティングには細心の注意を払って欲しい。。僕の中のイメージを壊すのだけは勘弁。