名著ふたつ
スルツキーです。
大河ドラマの「花燃ゆ」にはまってます。井上真央ちゃんが可愛いから見始めたというのが3割、明治維新の流れを長州軸に見てみたらどういう風景になるのだろうかという思いが7割です。
幕末維新というのは、日本史上でも大変大きく軸が動いた時期といえます。
天下太平を謳歌した江戸時代=徳川政権が、あれよあれよという間に、薩長連合軍(=新政府軍)に転覆されてしまうのです。
小説でこの動乱期をおさらいするとすれば、以下のような傑作が浮かびます。
■坂本竜馬を視座に概観できるもの。
司馬遼太郎『竜馬がゆく』(文春文庫)
■薩摩藩軸に見ていくもの
海音寺潮五郎『西郷と大久保』(新潮文庫)
池波正太郎『人斬り半次郎』(新潮文庫)
■長州藩軸に見ていくもの
山岡荘八『吉田松陰』(講談社歴史文庫)
山岡荘八『高杉晋作』(講談社歴史文庫)
司馬遼太郎『世に棲む日日』(文春文庫)
司馬遼太郎『花神』(新潮文庫)
■会津藩軸に見ていくもの
司馬遼太郎『王城の護衛者』(講談社文庫)※短編集
早乙女貢『会津士魂』(集英社文庫)
■幕府・幕臣軸に見ていくもの
山岡荘八『徳川慶喜』
司馬遼太郎『最後の将軍』(文春文庫)
子母沢寛『勝海舟』(新潮文庫)
子母沢寛『父子鷹』(講談社文庫)
■新選組軸に見ていくもの
司馬遼太郎『燃えよ剣』(新潮文庫)
司馬遼太郎『新選組血風録』(角川文庫)
子母沢寛『新選組始末記』(中公文庫)
■その他
司馬遼太郎『峠』(新潮文庫)
司馬遼太郎『酔って候』(文春文庫)※短編集
こうした名作傑作を片っ端から読んで、徐々に全体を俯瞰した視点から見えるようにしていくのがひとつの正しい方法ですが、もっと簡便に整理できる格好の入門書を見つけました。小説ではなく、教科書的なエッセイです。
ふたつあります。
★半藤利一『幕末史』(新潮文庫)
と
★中村彰彦『幕末入門』(中公文庫)
です。
どちらも講義講演録を元にしているので読みやすいです。名著です。
これらのどちらかを読んでおけば、幕末舞台の小説・映画・ドラマ・芝居・漫画全部十全に楽しめます。
『花燃ゆ』に戻りますと、これから長州藩はえらいことになっていきます。長州が大変になるということは、薩摩も大変です。会津も幕府も大変になります。新選組も大変です。
今年の大河は数字が悪いといわれていますが、私が観た限り、よく出来ていて十分におもしろいです。
★のどちらかをさくっと読んで、大河に途中参入するというのはどうでしょう。
NHKさんにはいやな思いをさせられこそすれ、なんら便宜を図ってあげる筋合いはないんですが、幕末はやはりおもしろいのでご紹介させていただきました。