この世の中に、自分のことを本当に必要としてくれる人が、一人でもいたら…それほど幸せなことはないのではないだろうか。それは異性である必要はないし、ましてや自分のためだけの人生なんて、悲しすぎる。

 

みっちゃんももっとお母さんのことを考えてあげてほしい。もっとお母さんを抱きしめてほしい。自分のできる範囲でいいから。最大限尽くしたほうが、幸せになれるのではないだろうか。あんなに直接的に、あなたと一緒にいたいって言われたら…私は幸せに思うだろう。絶対最後まで感謝されると思う。感謝して死ぬと思う。その時に残る勲章は、人生において一生の宝にできるのではないのだろうか。

第一、顕子は、自分なりにみっちゃんに尽くそうとしているではないか。

過干渉なところがあれば、その都度いえばいいし、親とは普通そんなものである。

 

「教師になったのは、お母さんに褒められたかったから。教師に向いてないかも…」

きっかけがどうあれ、教師になれたことをありがたく思いこそすれ、恨んではいけない。

教師という尊い仕事で社会に貢献できるという立場にならせていただいたんだから。

 

それに、礼美とのやりとりで、自分が教師に向いてないということにはならないと思う。

礼美がきっと、「あなたは教師に向いていると思う」って言ってくれるはず。

職場でも胸を張っていい。頑張っているし、もっと自信を持っていい。

いま疎ましい母の言葉が、どれだけありがたい言葉でもあるのか…。

「みっちゃんはがんばってる。」「みっちゃんなりのやさしさで包み込めばいいじゃない」

 

大団円を願って…