「はい、息を大きく吸い込んで、そうそう。
そこで一時止める」
「ガシャ」
「はい、もう吐いて楽にしてえ」
何のこっちゃと思うだろが、梅小路さんは今病院に来て検査受けてるとこ。
胸のレントゲンを今撮ったとこ、さっきは採血に頭のMRI なんかもしたな。
どっか悪いのか、と思うなかれだ。
あまりにしつこくあの蹴上さんあたりが私のことロボット呼ばわりするから、
白黒付けようと人間ドックなるものを受けたわけだ。
何かいきなりオバサンになったような気分。
少なくとも今のところ私がロボみたいなもんである可能性は低かろう。でもなぜこんなけったいな視野が見えてるのかは謎のまんま。

「はい、問診も終わりました。では結果が出るまでしばらく待合室に戻ってて下さい」
はあい。やっと終わった。まあなんだこの診断書みたいなもの学校で公開すりゃ、私の勝訴?ってわけだ。ふぁぁっ、何か疲れて眠くなったぞ、ムニャ。

「診断の結果ですけどね。えと何だったっけ、自分が人間である事の確証が欲しいって、何だそりゃ。
明らかに人間以外のなにもんでもないだろ、その点だけは安心して頂きたい。
ただ
その視覚の中にコンピュータ画面みたいなものが見える件だけど。

アンドロイドって知ってるよね。最近かなり精巧なやつがお目見えしてるけど、
あれってつまりロボットが人間を真似て作られてるわけだね。
これはあくまでも私の仮説なんだが、
逆に人間がロボットを真似るとどうなるんだろ。
つまり人間そのものの脳も高度な情報処理能力が備わってるんだから、
コンピュータがやってることを真似出来てもおかしくない。
そう思わないかね?」

ああ来るんじゃなかった。
なんやねその診断結果て。いちお、診断書はごく普通の健康の証明するだけの内容になってるみたいやけど、
視覚の異常な理由は私がロボットを真似てるからやと?
そんなアホな、下らないくそ小説みたいなオチやね。
いくら下手ぴーな小説家でも思い付かん思うわ。
おらおら
・・・
orz