私の母は毒親だった。
自己否定が強い。
自信がない。
私さえ我慢すれば。
そうやって自分を押し殺しているから、
周りにも否定を発する。
いつも機嫌が悪かった。
だから、私との関係も良好とは言えなかった。
特に人一倍繊細な私は、
母の発する「否定の気」にやられてきた。
そういう見えないものの仕組みが分かってからは、自分を守ることを意識してきた。
しかし、最近、私も少しずつ安定し、
昔よりはやられなくなってきた。
母も弱くなり、相変わらず自信がない生き方をしているが、弱くはなった。
私も、安心したのかな。
急に母の死が見えた気がした。
「あ、この人、死ぬんだ」
と思った。
別に、どこか悪い訳ではない。
元気に生きている。
「いずれは必ず死ぬ」
という当たり前の真理が、見えた気がした。
そりゃ、そんな事は元々知っていましたよ。
当たり前の事ですから。
分かってたつもりだった。頭では。
それが、急に腑に落ちた。
そうしたら、悲しくなった。
込み上げてきた。
涙が出てきた。
あんなに邪魔だと思っていたのに。
繊細な私にとっては有害な人間だと思っていたのに。
お荷物だとさえ思っていたのに。
何か間違えていた。
うまく言えないけれど、
大事な何かが見えていなかった。
こんな気持ちが起きるなんて、
思ってもみなかった。
もっと、冷酷で淡泊な人間のつもりでいた。
まだまだ私の知らない私がいる。
理解できていない自分の心がある。
成長してこそ見えるものがある。
安心してこそ気づく事がある。