理事会で総会に上程する議案の採決を行いました。

その議案は、理事の過半数の賛成によって可決

され、通常総会に議案として上程されることが決まったのです。

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ですが、その議案に対して、

そもそも理事長は反対の立場を取っており、

議案が理事会で可決された後も納得していない様子だったのです。

 

理事会終了後、数日して理事のひとりが理事長と打ち合わせをしていた際、

理事長は、総会でその議案には反対票を投じると言い出したのです。

 

理事長は総会で、議長を務めます。

 

この管理組合の総会は、出席者が少なく、

委任状と議決権行使書で、ほぼ議案は通ってしまう状態です。

 

議長である理事長が、自分が反対票を投じれば、議長に一任された委任状も

反対票だ、と考えている節が見られたのです。

 

■さて、この理事長の行動は、どのように考えるべきでしょうか?

 

区分所有法第26条(権限)には

管理者は、共用部分を保存し、集会の決議を

実行し、規約の定められた行為を行う権利を有し、義務を負う、とあります。

 

標準管理規約第37条第1項には

「役員は、法令、規約及び使用細則その他

細則並びに総会及び理事会の決議に従い、

組合員のため、誠実にその職務を遂行するものとする。」

とあります。

 

標準管理規約は法律ではありませんが、

多くの管理組合がモデル文として、

管理規約にこの条文を取り入れているものと考えます。

 

この規定により、総会招集権者であり、

議案の提案者である理事長は、

理事会の決議を誠実に遂行する義務があります。

 

ですから、総会で反対票を投じることはできないと考えるべきです。

 

■理事長が総会で反対票を投じるような事態に

ならないように、理事会内で再度協議等を行い、意見の統一に努めました。

 

それでもなお、理事長が総会で反対票を投じる意思を変えない場合は、どうでしょうか?

 

その場合、最も適正な方法は、

理事長を辞任し、新たな理事長のもとで

総会を招集し、総会を開催することです。

 

■理事長が辞任を拒んだ場合は、どうでしょうか?

 

理事長が辞任もされず、総会が招集される場合

は、委任者の意思と受任者の議決権の行使に

齟齬(そご)が生じないように、

 

あらかじめ理事会が決議し、

総会へ議案上程に至った経緯

理事長が該当議案に反対であることの経過

 

を総会議案書等に記載し、全組合員に通知することが必要であると考えます。