オンキヨーホームエンターテイメント
日本の大阪府東大阪市にある音響機器メーカー


オンキヨーホームエンターテイメント株式会社(読みはオンキョーホームエンターテイメント、英: Onkyo Home Entertainment Corporation)は、かつて存在した日本の音響機器メーカーである。デノン(ディーアンドエムホールディングス(デノン コンシューマー マーケティング)、旧・日本コロムビア)、およびティアック、JVCケンウッド(旧・日本ビクター、およびケンウッド)、ヤマハ(ヤマハミュージックジャパン)、マランツCMC(ディーアンドエムホールディングス、旧・日本マランツ)、ラックスマン、アキュフェーズなどと同様、デジタルオーディオ勃興期、ピュアオーディオ(Hi-Fiオーディオ)衰退期を生き延びた数少ない日本の音響メーカの一社であった。

オンキヨーホームエンターテイメント株式会社
Onkyo Home Entertainment Corporation
Onkyo (logo).svg
オンキヨーブランドロゴ
Pioneer logo.svg
パイオニアブランドロゴ
種類
株式会社
市場情報
東証JQ 6628 
2010年10月 - 2021年8月1日

株主コミュニティ組成
(2021年9月9日 -)
本社所在地
日本の旗 日本
〒577-0063
大阪府東大阪市川俣1丁目1-41
ルクスビル
設立
2010年(平成22年)10月1日
(創業:1946年(昭和21年)9月17日)
業種
電気機器
法人番号
3120001154326 ウィキデータを編集
事業内容
音響機器の製造販売
代表者
破産管財人 小松陽一郎[1]
資本金
117億40百万円
(2021年3月31日現在)[2]
発行済株式総数
382,770千株
(2021年3月31日現在)[2]
売上高
連結:88億7300万円
(2021年3月期)[2]
営業利益
連結:△39億1800万円
(2021年3月期)[2]
純利益
連結:△58億6900万円
(2021年3月期)[2]
純資産
連結:△23億4500万円
(2021年3月31日現在)[2]
総資産
連結:62億1400万円
(2021年3月31日現在)[2]
従業員数
連結1,161人
(2021年3月31日現在)[2]
決算期
3月31日
主要株主
松村達也 0.78%
auカブコム証券 0.67%
GMOクリック証券 0.61%
(2021年3月31日現在)
主要子会社
子会社の節を参照
関係する人物
五代武(創業者)
大朏直人(元名誉会長)
林亨(前代表取締役社長)
外部リンク
https://onkyo.com/
特記事項:2022年5月13日破産手続開始決定。
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2020年2月まで本社の置かれていた北浜中央ビル
本社を大阪府東大阪市川俣1丁目1-41にあるルクスビルにおく。かつて本社は大阪府寝屋川市日新町2番1号にあった。

沿革
編集
1946年(昭和21年)9月17日、かつて松下電器産業(以下松下電器、現・パナソニックホールディングス)でスピーカー製造工場の工場長を務め、そのノウハウを培って松下電器から独立した五代武が大阪電気音響社として創業・設立[3]、翌1947年(昭和22年)に大阪音響に社名変更。コーン紙まで内作した自社製スピーカーを搭載したラジオを発売。他例は日本国内では三菱電機のダイヤトーンと福音電機(現・パイオニア)のパイオニアダイナミックスピーカーのみである。このラジオは高価格ながらヒット商品になり、余勢を駆ってオーディオ機器やテレビ受像機の製造販売にも進出した。

1957年(昭和32年)に、総合電機メーカー化を目指す東京芝浦電気(現・東芝)の資本参加を受け入れ、同じくラジオ・テレビメーカーだった山中電機(テレビアン)、七欧電機(ナナオラ)と共に東芝グループ入りした。その後のオーディオブームでも一翼を担い、輸出でも盛業を極めた。映画『ゴジラ』(1954)の劇中でもラジオに「オンキヨー」のプラークが見られる。

1971年(昭和46年)、ブランドを商標のオンキヨー (Onkyo) へ統一。

急速なデジタル化の進展とバブル崩壊で赤字化した1993年(平成5年)には、東芝が保有全株式を大朏直人(現・名誉会長)個人に売却して資本関係を解消した。なお、製品供給関係は継続している。また東芝は1990年代に入って間もなく「Aurex」ブランドのオーディオ生産から一時撤退した[4]ため、オンキヨー製品は東芝ストアーにも供給されている。

1970年代以降、手掛けてきたコンポーネントの商品名は 「RADIAN[5]」「INTEC」「ZACCS」「INTEGRA」「LIVERPOOL」「ESSAY」などが挙げられる。業務用音響機器向けに「D'ZAC」。「D'ZAC」はコジマ電気向けにカラーテレビのブランドにしていた時期もあった。

1998年(平成10年)長期に続く赤字の影響で主要工場および1972年より本社であった寝屋川市の日新町と香里園の敷地を、技術センター等の一部施設を残し大幅に縮小。跡地には郊外型ショッピングモールのアル・プラザ香里園が開業する。

2007年(平成19年)、かねてからの友好関係にあり、大朏家の出資していたテクノエイトを株式交換により完全子会社とした[6]が、2009年(平成21年)保有全株式をトヨタグループに譲渡した[7]。

2008年(平成20年)9月1日付けでPCメーカーのソーテックを吸収合併した。それ以前のソーテック製PCとは異なり、日本国内組み立てを売りにし、オンキヨーの強みを活かした品質とオーディオ性能の高いPCを発売している。2009年(平成21年)9月にソーテックブランドに加えてオンキヨーブランドのPCを投入すると発表。その時点では、両ブランドの区別は明確に決まっておらず[8]、ソーテック・オンキヨーの両ブランドのPCを当面並行して販売するとしていた[9]。しかし、2010年(平成22年)にソーテックブランドは廃止され、現在ではオンキヨーブランドのPCのみ販売されている。2009年(平成21年)12月には主にノートパソコンを手がける工人舎との協業が発表され、工人舎製のPCを改良したものをオンキヨーブランドで発売することとなった[10][11]。

2010年(平成22年)1月、大手EMS企業である台湾のインベンテック社と資本・業務提携を行う。

2010年(平成22年)10月1日に、単独株式移転を行い、同名の持株会社・オンキヨー株式会社(2代目)を新規に設立・上場し、初代法人をその完全子会社としたのに続き[12]、12月1日に傘下企業の商号変更・事業分社化を行った。この時に、初代法人は「オンキヨーサウンド&ビジョン株式会社」と商号を変更している[13]。

2012年(平成24年)1月、オンキヨーは自社のパソコン販売において、量販店向けのみ「一時的に休止」するという方針を公表した。パソコンの生産は引き続き行い、Web直販と企業向け販売に特化するとしている。この際、一部報道により「パソコン事業から撤退する」とされたが、「撤退ではない」と表明した[14]。

2012年(平成24年)1月、世界的に有名なギターメーカーであるギブソン社が資本参加、第2位の株主となる[15][16]。

同月オンキヨーはティアックとの間で資本業務提携を結ぶと発表した。オンキヨーはティアック株式の10%を取得し、第2位株主となり、ティアックもオンキヨー株式の9.42%を取得。オンキヨーは、ティアックに取締役1名を派遣する[15](2014年6月までに双方の持株比率は1%に低下)。

2012年(平成24年)7月、オンキヨーサウンド&ビジョン株式会社(2010年に(初代)オンキヨーから商号変更した法人)は、設計・技術業務を、新設分割により設立したデジタル・アコースティック株式会社(現・オンキヨーマーケティング株式会社)に承継した上で、オンキヨー株式会社(2代目法人)に吸収合併され解散した[17]。

2014年(平成26年)6月24日、オンキヨーはパイオニアの子会社であるパイオニアホームエレクトロニクスの株式の一部を中国・香港の投資ファンドであるベアリング・プライベート・エクイティ・アジアと共に買収することで基本合意したと発表したが、9月中旬に一転してこれを白紙撤回。11月7日に経営統合の形態を変更することを発表した。パイオニアのヘッドホン事業を吸収分割によりパイオニアホームエレクトロニクスに承継した上で、当社が第三者割当により発行する株式(総議決権数の14.95%)をパイオニアが引き受けると同時に、パイオニアが保有するパイオニアホームエレクトロニクスの全株式を譲受。さらに当社のAV事業を吸収分割により承継させ、両社のホームAV事業を統合することとなった[18]。

同年フランスのオーディオメーカー、カバッセ社の製品の輸入販売代理店となる。

2015年(平成27年)3月2日、パイオニアのホームAV事業、電話機事業およびヘッドホン事業のオンキヨーへの譲渡が完了。パイオニアホームエレクトロニクスは、国内販売ほかの一部事業を他の子会社に事業譲渡した上、オンキヨー&パイオニア株式会社に商号変更した[19][20][21]。これに伴い、販売を手がけるオンキヨーマーケティングジャパンはオンキヨー&パイオニアマーケティングジャパンに、オンキヨーエンターテイメントテクノロジーはオンキヨー&パイオニアイノベーションズに、デジタル・アコースティックはオンキヨー&パイオニアテクノロジーに、それぞれ商号変更された。同年7月1日には、当社のAV事業をオンキヨー&パイオニアへ吸収分割している[22]。

2015年(平成27年)11月24日、河合楽器製作所と資本業務提携を行い、同社が主要株主となった[23][24]。

2017年(平成29年)11月、ギブソン社との役員相互派遣の終了を発表[25]、2018年(平成30年)3月までにギブソン社は保有するオンキヨー株式のほぼ全てを売却した[26]。

2018年(平成30年)3月30日、子会社であったオンキヨー&パイオニアテクノロジーについて、設計部門をオンキヨー本体に移管して業務用音響機器の設計・販売会社に業態転換、オンキヨーマーケティングに商号変更した上で、オンキヨーデジタルソリューションズ(現:オーディーエス)に全株式を売却し、連結の範囲から除外した[27]。

2019年(平成31年)3月29日、オンキヨー&パイオニアイノベーションズをODSコミュニケーションサービスに商号変更。オンキヨーディベロップメント&マニュファクチャリングとその子会社のODSコミュニケーションサービスを、オンキヨーデジタルソリューションズ(現:オーディーエス)に譲渡し、連結の範囲から除外した[28]。

2019年(令和元年)5月15日、子会社のオンキヨー&パイオニアのホームAV事業の譲渡に向けて、米Sound Unitedとその親会社のファンドと本格的に協議することで基本合意[29]したが、同年10月4日に破談となった[30]。

2020年(令和2年)2月21日、本社を大阪市から東大阪市へ移転。2月26日から東大阪市にて営業再開[31]。

2020年3月末の連結純資産は△3,355百万円となり、債務超過となった。

2020年(令和2年)7月31日、オンキヨー株式会社(存続会社、上記のとおり2010年に新設された2代目)と子会社のオンキヨー&パイオニアが同年10月1日付で合併し、社名をオンキヨーホームエンターテイメント株式会社へと変更することを発表。同時に、会社分割によりOEM事業のオンキヨーサウンド株式会社とその他サービス事業のオンキヨー株式会社(3代目法人)を設立。オンキヨーホームエンターテイメント社はホームAV事業、デジタルライフ事業、ゲーミング事業を展開することとなり、2021年(令和3年)3末までを目途に未払い債務の正常化と債務超過を解消する。オンキヨー&パイオニアとの合併、およびオンキヨー&パイオニアの法人消滅後はレガシーホームAV事業に特化し、上場会社として利益ある成長を目指すとしている[32][33]。

2020年(令和2年)10月1日、株主総会の議決を経てオンキヨーホームエンターテイメント株式会社への社名変更を実施[34] 。

2021年(令和3年)3月30日、取引先など12社から現物出資などで21億5700万円の出資を受けたが、翌3月31日にEVO FUNDは新株予約権を行使しないことを発表[35][36]。同年5月20日に発表された2021年3月期決算において2期連続の債務超過となったため、東京証券取引所ジャスダック市場上場廃止見込みとなった[37]。

2021年(令和3年)5月26日、主力の家庭向けAV(音響・映像)事業をシャープと米音響機器メーカーのVOXX International Corporation(VOXX)に売却することで合意したと発表した。売却額は33億円。祖業を切り離して財務状況を改善し、立て直しを急ぐこととなった。ただし、売却後もブランド名(ONKYO・Pioneer・Integra)はこれまで通り維持され、AV機器の生産をシャープが、販売をVOXXがそれぞれ担当する。シャープとオンキヨーホームエンターテイメントが共同出資するマレーシアのS&O Electronics (Malaysia) Sdn. Bhd.は、シャープにオンキヨーホームエンターテイメントの所有株式を譲渡し、これによりシャープは事実上、オンキヨーホームエンターテイメントの買収によって10年ぶりにオーディオ事業に復帰することとなり、AVの商品群を拡充し新たな販売ルートも確保する[38][39]。

2021年(令和3年)8月1日、2021年3月期の純資産が債務超過になり、東京証券取引所(東証)の基準に抵触したことから、上場廃止となった。なお、同年6月25日開催の株主総会において、再上場を目指す意向であることを明らかにしている[40]。

2021年(令和3年)9月9日、みらい證券において株主コミュニティを組成した[41][42]。

2021年(令和3年)9月8日、家庭向けAV事業(国内販売を除く)のオンキヨーテクノロジー株式会社(VOXXグループ85.1%、シャープ14.9%の合弁会社)への譲渡が完了した[43]。

2021年(令和3年)9月10日、デジタルライフ商品(イヤホン、ヘッドホン等)の企画販売等の事業(国内販売を除く)を、J-STAR株式会社傘下のオトモア株式会社に譲渡した[44]。

2021年(令和3年)9月29日、オンキヨー株式会社(3代目法人)が運営する音楽配信サービスのe-onkyo musicを、フランス最大手の音楽配信サービスで知られる仏Xandrie(ザンドリエ)社傘下のXandrie Japan株式会社に譲渡した。

2021年(令和3年)9月30日、オンキヨー株式会社(3代目法人)をMBOにより全株式をオンキヨー取締役で中島健城が代表社員を務めるTK-FUND合同会社に譲渡[45][46]。

2022年(令和4年)2月8日、連結子会社のオンキヨーサウンド、およびオンキヨーマーケティングがそれぞれ長期的な資金難を理由に各種事業活動を停止、事実上の経営破綻となり[47][48][49][50][51][52]、これら子会社の事業停止に伴い、現在同社が販売している各種製品の修理等に関するサポートの受付も完全停止となった[53]。

2022年(令和4年)3月28日、連結子会社のオンキヨーサウンド、およびオンキヨーマーケティングがそれぞれ大阪地裁から破産手続開始決定を受ける[54][55][56]。

オンキヨーホームエンターテイメント自体も2022年(令和4年)5月13日に大阪地裁へ破産を申請し、同日付で破産手続開始決定を受けた [1][57]。

現状
現在の自社ブランド
子会社
宣伝活動
脚注
関連項目
外部リンク
最終更新: 2 時間前、Nozomi-N700
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オンキヨー
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