②からの続き
CG: 火山の大きさ、重力、火星の気圧、すべてが関係していますから– どうしてそこまで火星上のものが巨大なのか、ね。
DW: では地表から底まで160キロくらい、もしくは320キロくらいかもしれない?
②からの続き?
CG: それは推測になります。何メートル、何ヤード、何フィートかという確かなデータは見たことがありません。
DW: ですがここ、地球上の都市のことを考えても、何十万単位人が住めますよね。あなたの言う溶岩洞だと、何百万単位の人口が住めそうです。
DW: それは…彼らは何をしているんですか?
CG: ただそこで生活しているんです。それぞれの文明があり、それぞれの生活をし、社会を営んでいる。縄張り意識も強いのです。
DW: ポップ歌手もいるんですか? ブリトニー・スピアーズのような昆虫とか?(二人とも笑)
CG: そこまで詳しくはわかりません。火星の地表で警護特務部隊に就いている人々は、彼らと交流しています。私は交流したことがありませんから。
DW: ではドイツ人達が初めて到着した時は、すぐに彼らの抵抗を受けたのでしょうか?
CG: ドイツ人達は彼らとかなり交流していました。
DW: ドイツ人達は、その溶岩洞の一部を占拠しようとして戦ったのですか?
CG: はい。ドイツ人の計画では、中に入って溶岩洞の一部を占拠する予定でした。何度か戦いもありましたが、まったくうまくいきませんでした。初期の基地さえ破壊され、初期に建てた拠点はすべて失ったのです。
DW: 全員、殺されたのでしょうか?
CG: ええ。それに、彼らの選択もまずかったのです。彼らは赤道に向かって基地を建てたのですが、頻繁に起きる塵の嵐はかなり帯電していることに気づいたんです。砂一粒一粒が静電気を帯びたものが、高速で吹きつけてくるのです。
DW: なるほど。
CG: それに惑星の地下鉱石– 先ほど言いましたね、衝突が起きたために岩が結晶化していた。
DW: ええ、衝撃で石英(クォーツ)が形成されたのですよね。
CG: そのせいで、陽極、陰極、陽極という風に一面ごとに電気を帯びていたんです。ですから表面、特に赤道辺りは地下も蓄積帯電が起きていたんです。
DW: なるほど、あり得ますね。金属に加圧し、電気を流すと磁気が発生します。惑星全面がそういう状態だったんですね。
CG: そう、それで問題なのは、砂嵐が起きるような場所に基地を建て、そこは静電気が溜まっていて雷雨も起きて– 電界を作っているようなもので– 基地の電気は破壊します。
DW: これはCME(コロナガス噴出)のような状態ですか?とても強力なEMP(電気磁気パルス)のようなものでしょうか?
CG: ええ。こういった事がしょっちゅう起きる場所なんです。
DW: ということは、赤道エリアは良くない、ということ?
CG: コロニーを設立するのに適した場所ではありませんね。今は、コロニーを造るためのシールドに関する問題はかなり解決しているはずです。今なら砂嵐の中をクラフトで飛んでも、電気の問題は一切ありません、それはわかっています。ですが、このドイツ人の時代はプリマスロック(Plymouth Rock)に着陸して新領土を築こうとした時、そこは住むべき場所じゃないとわかったんでしょう。特に、当時のテクノロジーでは無理だったはずです。彼らは自分達のテクノロジーをすべて失いかけました。そして極領域20度以内、だったと思います、南極もしくは北極からその範囲内が住むのに最適なエリアだということを発見したんです。すると、そこには他にも大勢のグループが基地を設置していました。それで、ドイツ人達はここは自分達のものだと言えるエリア、基地を建てられるエリアを探す必要がありました。人は火星といえば戦争を思い出しますが、火星にいる存在はみな縄張り意識がとても強いのです。好戦的、と言ってもいいくらいです。でも、強い縄張り意識というのも彼らの文化の一部なんです。水槽に魚をたくさん入れ過ぎてるような状態ですからね。それで、ドイツ人は自分の土地の権利を主張し、守らなければならない。彼らにとっては大変な労力を要することでした。ずいぶん後、50年代後半になってアメリカや軍事産業複合体と協働し、アメリカの資源をバックに得るまで、うまくはいきませんでした。その頃になってやっと増築を始め、火星の一つの勢力となって他のグループに抵抗を始めたのです。ちょうどアメリカ人が先住民にやったようにね。ドイツ人達は他のグループを押しのけ、乗っ取ったのです。
DW: ”Manifest Destiny” (アメリカ西部開拓を正当化する言葉。「明白なる使命」の意)ですね。地球では一年の間に太陽への傾きが変わり、季節が変わって位置によって寒くなったり熱くなったりしますね。極の辺りにいるとして火星の冬がくると人間は生き延びられるものですか?火星は太陽からもっと遠くにありますね。NASAによる火星の研究に基づくと、地球より寒くなるのではないですか?
CG: 寒さ対策は極の方がずっと楽です。寒くなると、水が凍って氷になります。寒くなる分にはずっといいんです。常に電気嵐が起きている砂漠に住むことを考えればね。それに、寒くても極地方の大気はまだ快適です。呼吸のことを考えれば、ですが。酸素含有量がかなり低いと言っても、南極や北極の方に行けば含有量は増えるんです。
DW: なるほど。ドイツ基地はでは北極圏内のような地域に建てられたのですね?
CG: 圏内ではなく。通常は内側– 私たちは20番目のパラレル(20th paralle)と呼んでいました。
DW: 火星には、狩りをしたり食用にできる動物はいるのですか? 生命体はいるんでしょうか?
CG: ええ、生命体はいます。狩りについてはあまり聞いたことがないし、情報として読んだこともありませんね。原初の火星コロニーに住んでいた人達はきっと、地表で見つかったものは何でも食べたと思います。火星の動物でバーベキューをしたなんて情報を読んだ覚えはありませんけれどね。
DW: どんな動物を見つけたんでしょう? 地下にいるのを掘って探したんでしょうか、それとも地表で生きている動物とか?空を飛ぶ動物は?
CG: ほとんどが地面を掘って地下にすむタイプの動物です。奇妙な、コウモリのような鳥のような小動物もいて、穴を掘ってました。私達が前哨基地を火星で建てていた時は、小さな穴をたくさん見かけました。夕暮れ時になると羽ばたく音が「チーッ、チーッ、チーッ」と聞こえて、そして穴から飛んで出てきます。何を食べて何処に行っていたのかは知りません。戻ってきてはまた穴に入るんです。
DW: どんな姿でしたか? 色は?
CG: 暗い、黒っぽい色でした。ざらざらしてとても硬そうで、鎧を着ているような形状でした。
DW: そんな住み難い惑星で進化して生きているのだから、きっとどの動物も鎧のような耐久性の高い形をしているんでしょうね。
CG: こんな小さい動物が羽を持っていてそんな大気内を飛ぶのですから、科学者達は興味を持ってましたね。科学者は、大気密度がそこまで高いとは思っていなかったんです。
DW: 羽を支えて上昇させるだけの密度、ですよね。
CG: ええ。
DW: どれくらい小さいのですか? 大きさは?
CG: 小さい、そうですね、地球で飛び回っている小鳥くらいの大きさです。
DW: なるほど。地球のコウモリとどれくらい似てます?
CG: 皮膚の感じはコウモリのようで、羽も皮のようでした。でも頭やくちばしはもっと鳥に似ています。
DW: くちばしもあったんですね。
CG: ええ。
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