デイヴィッド:
 頭の中で見えるんです。

エメリー:
 もちろん、正気でいられるようプロテクションが必要だがね。

デイヴィッド:
 ええ。

エメリー:
 そうだ。それはまさしく本当なんだ。少しの間表ざたになっていた。古いテクノロジーの一種さ。

デイヴィッド:
 ハハハ。古いテクノロジーなんですか?

エメリー:
 ハハハ。失礼。おもちゃもできてるよ。指になんかを接続して考えるとファンかなんかでボールが宙に浮いているイメージが現れるみたいな。

デイヴィッド:
 なるほど。

エメリー:
 すべてが現実なのさ。我々が現在保有しているものに比べるともう古いテクノロジーなんだ。我々が現在保有している技術として特筆に値するのが、新しいスーツに関するプログラムだ。そのスーツにはそういった機能が全て導入されているのさ。君の言うようにそのスーツのヘルメットを着用すると、考えて声を出さずに命じることができるのさ。それで自動的に視界がズームインしたりズームアウトするんだ。

 そのスーツを着用していると装着者は異なった波長の光を見ることになる。僕はよく知っている。誰かが言ったことが本当かどうかがそれではっきりと分かるんだ。

デイヴィッド:
 テクノロジーの話に入ってきたようなので、エクソスーツあるいはスマートスーツのお話をしましょう。名称はあなたが呼んでいるものを使ってもいいですよ。あなたは以前、このスーツに関するとてもおもしろい話をしてくれたんで、そのことについてお話していただけますか?

エメリー:
 そいつはいい。スーツの話かい?いいよ。

デイヴィッド:
 あなたは実際にそれを着用して楽しんでますよね?

エメリー:
 ああ。そうだ。

デイヴィッド:
 それで、そのスマートスーツのことをお話してください。

エメリー:
 ワオ!そいつは大ごとだ。いろんな一連の話になるからね。そこに使われている驚くべきテクノロジーの話から始めたいかい?それって言うのは・・・。

デイヴィッド:
 まず第一に、それって何なんですか?

エメリー:
 まず第一に、それはどんな環境の所にでも行けるようデザインされているんだ。それで・・・。

デイヴィッド:
 そのスーツは着るようなものですか?まず、視聴者にヴィジュアルのイメージを伝えておきましょう。

エメリー:
 オーケー。それはだな・・・。

デイヴィッド:
 誰かがそれを着用しているとしたら、どのように見えますか?

エメリー:
 そのスーツがどんな風に見えるのかって?スキューバダイビングのスーツみたいなもんかな?

デイヴィッド:
 オーケー。

エメリー:
 ごく少量のネオプレン(訳注:ネオプレンは開発したデュポン社の登録商標名で、化学的にはクロロプレン(2-クロロ-1,3-ブタジエン)のトランス型の重合体で、クロロプレンゴムと呼ばれる合成ゴムのこと。天然ゴムよりあらゆる面で耐久性に優れる。)で出来ているようなものかな。でもネオプレンを使っているわけじゃないんだ。ぴったりと体に密着してとても薄いんだ。

 それで、そのスーツは装着者の肉体へのあらゆる衝撃を吸収することができるんだ。もし、高さ40フィート(訳注:およそ12メートル)の崖から飛び降りて地面に着地したとしよう。するとその時にかかる重さがスーツ全体に分散されてそのスーツの装着者は何の衝撃も受けないんだ。

デイヴィッド:
 すごい!

エメリー:
 それは銃弾にも耐え、衝撃にも耐え、電磁力にも耐えるんだ。あらゆる面で耐性がある。そのスーツはそういう能力を備えているのさ。ヘルメットもおもしろいよ。全てを精神/思考でコントロールできるんだ。それは実際のところ、装着者と繋がっているんだ。君がさっき言ってた背中についてるちっちゃなやつみたいなもんさ。

デイヴィッド:
 暑さや寒さに対してはどうですか?

エメリー:
 ああ。ばっちりさ。お望みのあらゆる温度に調節可能なのさ。それは常時装着者の身体のコンディションを計測している。装着者がどれだけ汗をかいているか?どれだけ呼吸しているか?体温はどうか?血圧はどうか?全てを計測しているんだ。

 それは衝撃を吸収するために収縮してはまた緩むんだ。だから装着者はどこにいようと快適なんだ。装着していることさえ忘れるほどさ。まるで裸でいるような感じさ。だが、装着者が動こうとすると、それはぴったりと密着して活性化する。ナノ(訳注:十億分の一)秒のうちにね。

 それは古い技術を駆逐する超戦士スーツとして作られたんだ。ディリチウム(訳注:テレビドラマのスタートレックに出てくる架空の物質)製のプレデター(訳注:1987年に公開された米国のSFアクション映画。訳者はこの映画を実際に見たが、この作品で登場する異星人プレデターが着用する特殊スーツは、特殊な技術で光を偏光させ、周囲の風景に完全に同化させて周囲から見えないようにしていた)っていう映画に出てくる宇宙人が着ていたスーツみたいなもんさ。周囲の景色に溶け込んで見えなくなるのさ。だが、その下に防護服を着なくちゃならない。だから、いろんな異なったタイプのスーツの合わさったものなんだと思うよ。

デイヴィッド:
 分かりました。”ディリチウム製のプレデタースーツ”ですか。それがどういうものか説明していただけますか?もちろん、映画の”プレデター”のことも。

エメリー:
 おお、それはだな・・・。

デイヴィッド:
 ”プレデター”に出てくるやつって時々見えなくなるみたいな感じですか?

エメリー:
 ああ。

デイヴィッド:
 でも、その腕にこういうのがついていて、それで、・・・。

エメリー:
 ああ。ポップカルチャー的な意味合いで言ってるんだよ。本当の意味でそういう機能をもったスーツだって言ってるわけじゃないんだ。

デイヴィッド:
 わかりました。

エメリー:
 でも、基本的にはこのタイプのスーツは小さくて丸いんだ。ピラミッドみたいなんだけど丸いんだ。切子面状なんだ。それでそのピラミッドの底面は鏡になってるんだ。それでとてもとても小さい。0.3ミリメーターより小さいんじゃないかな?

(訳注:宇宙刑事ギャバンという特撮ヒーロー物のテレビ番組において、銀河連邦警察の地球担当の警察官である主人公が決めポーズで”蒸着”と叫ぶと宇宙空間で待機していた銀河連邦警察の宇宙船からコンバットスーツの素材である微粒子が瞬時に主人公のもとへ転送され、主人公の身体の表面に”蒸着”してコンバットスーツ化する仕組みであった。おそらく、エメリーはこのようなスーツ素材の微粒子状の構成単位の1個の特徴について述べているのではと思われる。)

デイヴィッド:
 ワオ!

エメリー:
 ああ。0.03から0.3ミリメートルの間だな。1立法センチメートルの中に数千個ある。

デイヴィッド:
 ワオ!

エメリー:
 それで何が起こるかというと、それに光が当たるとしよう。するとそれは光を映し出すんだ。スーツを装着している人間の周囲の光を映し出すんだ。装着者の前方の光を映し出す。旧式のスーツの場合でもそうだ。それは基本的に装着者の後方の光を映し出す。なぜって、人は何かに対して正面を向きたいだろう?君が椅子を見たい場合にね。君が僕を見たくない場合はそっぽを向くことになる。(訳者補足:つまり、人間には常に後ろに死角がある。)

 だが、とても効果的とは言えないが、後方の光を映し出すことができるということは夜やジャングルで戦闘中の昼間では本当に役に立つ。もちろん、映画みたいに上手くいくわけではないがね。

デイヴィッド:
 分かります。

エメリー:
 でも、その機能はすごくいいのさ。たくさんの人間の命を救ったんだ。それはそういうものなのさ。それのアップグレード版を装着すればアイアンマン(訳注:アメリカンコミックに登場するキャラクター。その漫画では超人的な能力を発揮する特殊スーツを着た人物が活躍する。アニメ化や映画化されている。)よりずっといいのさ。機動性があって脱ぐ必要がない。一週間ぶっ続けで着用することができる。

デイヴィッド:
 それってきれいにしてくれるんですか?

エメリー:
 ああ。

デイヴィッド:
 驚き!

エメリー:
 やつらはそうしてるのさ。栄養補給も同時にしてくれるのさ。

デイヴィッド:
 飲み食いしなくてもいいということですか?

エメリー:
 飲み食いしなくていいんだよ。だって、それは皮膚を通して入ってくるからね。やつらは今や栄養や水を皮膚を通して吸収する方法を編み出しているのさ。

デイヴィッド:
 初期の飢餓感をやり過ごさなければならないのですか?

エメリー:
 まだそういうのは依然としてあるから食べたり飲んだりはしてるがね。

デイヴィッド:
 おお、そうですか。

エメリー:
 そうしなくてもいいのだが、そうしなければならないと感じるならそうするということさ。

デイヴィッド:
 分かりました。

エメリー:
 分かるかい?本当はそうする必要はないんだ。

デイヴィッド:
 ええ。

エメリー:
 だが、スーツのメンテが必要なんだ。ジェットの部分とかのね。一年間ずっと着っぱなしというわけにはいかないんだ。それで、特別なタイプの水をチャージするのさ。やつらはそうやっている。このチャージされたプラズマを介してこのスーツを操作するのさ。

デイヴィッド:
 小さなボックスやポンプはついていないんですか?

エメリー:
 何もついてない。完璧さ。シームレスさ。

デイヴィッド:
 ほお!

エメリー:
 装着者がそれに入り込む時にはジップロック(訳注:スーパーにも売っているチャック付きのビニール袋)みたいな感じではある。全てのスーツは装着者のために特別に作られるのさ。そうでないと正しく作動しないんだ。もし、君が僕のスーツに飛び込んでそれで何かしようものなら、実際、君を傷つけることになる。

デイヴィッド:
 そう思います。

エメリー:
 それで、やつらが今取り組んでいるのが汎用的な外形を持ったスーツを作るこどなんだ。独自のAIを持っていて”どなたでもこれらのスーツを利用できますよ。”って分かっているのさ。将来、恐らくやつらはそういうスーツを保有することになるだろう。彼らが保有しているヘルメットが問題なんだ。だが、現時点ではまだ何の変更も加えられていないと僕は確信している。

デイヴィッド:
 その話題に移る前にお聞きしたいのですが、例えば、もし、そのスーツを装着した時に走ったりジャンプしたりすることに関して何かお話できないでしょうか?どんな違いがあるんですか?

エメリー:
 ああ、1時間で38マイル(訳注:およそ61キロメートル)走ることができるんだ。

デイヴィッド:
 すごい!

エメリー:
 それで倒れちゃったりすることはないんだ。それには特別なシステムが仕込んである。君はそのスーツが数十億もの線維から形成されていることを理解しなくちゃいけない。何というか、歯磨きに使う糸ようじみたいな線維で出来てるのさ。身体のいたるところが締め付けられているのさ。

 だから、それを着用したならば、飛んでくるあらゆる弾丸の衝撃を吸収してしまうのさ。完全防弾というわけにはいかないが、大部分の箇所で223レミントン弾(訳注:米軍M16(アーマライト社製AR-15)自動ライフル銃で使用する弾丸。ちなみに、M16はゴルゴ13が愛用する銃として有名。)をストップできる。問題なしさ。

デイヴィッド:
 ワオ!

エメリー:
 もし、ぐらついて倒れそうになったら、スーツに圧がかかってその両サイドが緊張して装着者の体勢を立て直すので行進を続けられるっていう寸法さ。

デイヴィッド:
 へえ!



④ヘと続く


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