女優 ケリーマリートラン御紹介


アジア系であることは恥なのか?
『スター・ウォーズ 最後のジェダイ』でローズ役を演じたベトナム系アメリカ人の女優、ケリー・マリー・トラン。悪質なファンからのSNSを通じた攻撃を受け、自身のインスタグラム投稿を全て削除した彼女が、初めてその胸中を語りました。The New York Timesに掲載された彼女の言葉は、The Hollywood Reporterなど、多くのメディアにも取り上げられています。

彼女に寄せられた中傷の多くは、ローズという役柄を批評するものではなく、彼女自身の容姿、人種、性別をあげつらい、攻撃するものでした。それについて彼女は以下のように述べています。

「重要だったのは、一部の悪質なファンたちによる誹謗中傷の言葉ではなく、私が"彼らは正しいのだ"と思い始めたことでした」

「彼らの発した中傷の言葉は、女性として、そしてアジア系の”有色人種”として大人になることが意味することへの、私自身の認識を確立するものだったんです。それは、私の居場所はどこか片隅やページの余白のような場所にしかなく、取るに足らない端役としてしか、私には価値がないというものです」

彼女がこう語る一方で、多くの「スター・ウォーズ」ファンや、著名人たちはローズというキャラクターへの愛やローズへの共感を表明しています。また、マーク・ハミルをはじめとする共演者たちやライアン・ジョンソン監督も、ネットを介して誹謗中傷をする「悪質なファン」を責めていました。

しかし、ケリー・マリー・トランにとってSNS上の「悪質なファン」による攻撃は、彼らが「スター・ウォーズ」シリーズと彼女の関係を断ち切ろうとすること以上の意味合いを彼女に感じさせたようです。

「自分に向けられた言葉は、これまで私が人生の中で耳にしてきたことをより現実味のあるものにしました。私がいつまでも”その他”の存在なのも、居場所がないのも、十分に優れていないのも、単純に彼らと同じではないからだ、と認識させたのです」

容赦ない攻撃の言葉を受けて、彼女が導き出した答え
自分の存在価値を低いものだと思っていた彼女ですが、今回の一件を経て、彼女はある答えにたどり着いたようです。彼女は以下のように続けます。

「しかし今、その認識は、自分が他人と違うことを恥じていたということだと気がつきました。私は自分が生まれ持った文化が異質であることを恥ずかしいと思ってきていたのです。しかし最も恥ずべきで、ひどく残念なのは、そう思っていた私自身でした。」

「私は”有色人種”の子供たちが、白人になりたいと願いながら幼年期を過ごさなくてもいい世界に住みたい。女性たちが、ただ生きているだけなのに、容姿や一挙手一投足をじろじろと監視されることがない世界に住みたい。全ての人種、宗教、経済的な階級、性的志向、性自認、能力を持つ人々が、何であろうがそのままで"人間"とみなされる世界に住みたい。それこそが私の目指す世界です」

「私は今、同じようなものばかり消化してきた世界に、自分の物語を語りかけることができる、という特権を持った数少ない人びとの一員になることができました。だから私は諦めません」

「みなさんは私を”ケリー”として知っているでしょう。あの『スター・ウォーズ』にアジア系女性として初めて出演して重要な役柄を演じ、アジア系女性として初めて『ヴァニティー・フェア』の表紙をも飾った人として。私の本名はローンといいます。私はまだ、始まったばかりです」

アジア系のアメリカ人だからこそ伝えられること。また、ひとりの女性だからこそ伝えられること。彼女はこれからの女優人生で、彼女だからこそ感じられ、そして伝えられることを語り、より良い世界を目指していくことを決めたようです。

ケリー・マリー・トランは、J・J・エイブラムスが監督する『スター・ウォーズ エピソード9 (仮題)』にもローズ・ティコ役として出演します。自分の価値を改めて自分で見出し、自分だからこそ伝えられることを導き出した彼女の、これからの活躍が楽しみですね。




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