走ってきた!第30回日本山岳耐久レース(ハセツネカップ)その6 夜明け前 編
 
 
 

月夜見エイドでスタッフさんに呼び止められなければ、あやうく明後日の方向へ踏み込んでしまうところだった。。。
遭難騒ぎにもなりかねず、冷や汗を掻いた。
 
 
灯りの点いた人界の駐車場からまた暗闇へ踏み込む。まずは鞍部へと下るらしい。暗い林の中に、先行する選手の叫び声がする。皆、滑って転んでいるらしい。広い斜面一面が泥まみれ。いわば、泥のゲレンデ。まともに体勢を保持できない。立っていられないので、まさに滑るに任せて下るしかないのだが、そのうち足元がすっぽ抜けて尻餅を着いたり、先ほど洗ったばかりの手を着いたりして、何とか泥の坂を一番下まで着いた。
 
ここから御前山への急登。朝も4時が近くなると、空に明るみが見られてくる。振り返ると樹の間から大きな月が出ていた。雨が上がり雲が晴れたのだ。嬉しくなってつい少し前をいく男性に「月が出ましたね!」と声を掛けたが、聞こえなかったのか、彼に余裕が無かったのか、あ?知らねぇし、みたいなことを言われる。
あぁ。。都会の大大会は世知辛いのね。話し掛けちゃいけないンダ。。と、しょんぼり2秒くらい思っていたら、すぐ後ろにいた2人組の男女が、ほんときれいですねぇ、大きな月で♪と応じてくれて大層救われた思いだった。。
(捨てる神あれば、、というやつだな。)
 
04:35 惣岳山
平らなところに出て、皆休んでいる。御前山?と思ったが、いやいや、まだ手前の惣岳山だった。ここからは傾斜はさほどでもないが、植生の保護のためかトラロープで歩道が仕切られていてその中を歩くのだが、歩く部分はまず泥の溜まり水。逃げ場はない。じゃぶじゃぶと泥水に踏み込むしかない。…もう慣れた。人間、何にでも慣れるもんだ。
 
 
04:50 御前山
ちょっと墓標のような標石。

奥多摩BIG3の2つ目、御前山。意外にも山頂には植生があり、景色は昼間でもあんまり見えないのかな。多数の人が休んでおり、何となく余力もあったのでそのまま下りに入った。

ありがたいことにしばらく木道や木の階段が続き、やがて木道も切れたが、道はその後も全体的に歩きやすい。クロノ尾山、鞘口山の登り返しが辛いが、いつの間にかヘッドライトが要らないくらい明るくなっていた。
2人組のパーティがトップを引く5、6人の集団に必死に着いていく。ひとりでは出せない安定したスピードで次の目標、オオダワに向けて下っていく。つづら折れの急な下降に入る。疲れを覚えた頃、樹間にオオダワの広場が見えた。
 


続きます。