山形県、赤見堂岳 その2[スイッチの入り時]
2022.4.10(日)


ジャンクションピークを越え、広い雪原を進んでいくと、また急登…泣
ツボ足で進めるのが、救い。
ここはトレースがはっきりしていたな。

しっかり蹴りこんで進む。
低木が増え、展望が欲しいまま。

またひとつ斜面をこなしてホッと一息。
あの奥の白いのが…?
いやいや。まだです。あれも石見堂岳じゃ。

腹が減っては戦ができぬ。
あんぱんを腹にいれると、力が出た。

11:50ひと押しでようやく着いた、石見堂岳山頂。
小桧原川の源流域に両翼を大きく広げた三角。あれが赤見堂岳。こりゃいい。
堂々たる山容にしばし見惚れる。

南に目を転じると、朝日連峰の山々。
障子ヶ岳、天狗岳を経て大朝日岳、祝瓶山まで繋げられたら…
夢のまた夢ですね…。
石見堂岳は足跡が多数。スキートレースが2人分。R112から来たのかな?

雪原の彼方に月山。

12:00山頂部の肩。
ここから灌木帯を一旦下降し、赤見堂岳へアタックするのだが、残り時間が気になる。幸い、日は長めではあるので、安全地帯まで16時までに降りて、17時までにクルマに戻りたい。
石見堂岳までで4時間掛かっている。赤見堂の山頂までまだ結構ある。目測で2時間か?雪の下山は道が分かれば早いはず。
行けるのか、行けないのか、逡巡する。
写真では分からぬが、肉眼では山頂右のピョコを黒い点が2つ、少しずつ移動している。トレースのあったスキーヤーだろうか。
撤退か続行か。撤退の場合、ジャンクションピークの下りは傾斜が強くて苦労しそうだ。続行の場合、日没となったときに対応できるか。
考えている間、黒い点は確実に移動していき、ピョコを越えて、山頂への最後の登りに入っていった。


自分は、行くべきか、行かざるべきか?
ここまでの好条件の時は無かろう…。
決めきれないまま、灌木帯の入り際まで降りてみる。

すると何やら声が聞こえる。会話?ラジオ?人の話し声だ。山頂へアタックしているパーティはまさかここまで声が届くはずもなく、周囲に人の気配もない。目の前にはトレースのないまっ皿な雪。声は下部から聞こえ、少し近づいているような。石見堂岳の足跡のヌシが雪の陰にでもいるのだろうな、と思った。
 

12:10 人が近くにいる、と思うと、なにか逢いたくないような気がして、それを切っ掛けに灌木帯を一気に下る。向かいの山頂の肩あたりまで13:00までに着けなければ、そこでまた判断しよう。13時まで肩と思い、スイッチが入る。
 
12:40 山頂肩に到着。ここまでの登りも、よく雪が締まっている。意外にもリミットより早めに着いた。助かる。アタックは続行。
石見堂岳から目測2時間としていたが、だいぶ早そうだ。スキートレースを追い、なだらかな斜面をトラバースする。
 
やがて山頂からゆっくり滑降してきたスキーヤー2人組とスライド。どちらも女性だった。谷にさえ引き込まれなければ、この辺りは気持ち良く滑れそうだ。小桧原川周回だと尾根がスキー向きではないので、やはり石見堂岳を経由したR112からのルートか。
 
12:50石見堂岳からスキーヤーを眺めたピョコに取り付く。スノーシューらしきトレースもある。
このあたり、多少雪が固いが、アイゼンが必要な斜度ではないが、ゆっくり踏み込んで足を置くようにギアを変える。
 
ピョコを越え、少し下ると丘のような山頂へ最後の進撃。



続きます。