〜〜あらすじ〜〜

1988年、関東地区に新型爆弾が使用され、第3次世界大戦が勃発した――。2019年、ネオ東京。金田をリーダーとするバイクの一団は進入禁止の高速道を疾走していた。しかし、先頭にいた島鉄雄は突然視界に入った奇妙な小男をよけきれずに転倒、負傷する。小男と鉄雄は直ちに現れたアーミーのヘリに収容され飛び去ってしまった。翌日、鉄雄を捜す金田は、少女ケイと出会う。彼女は反政府ゲリラの一員で“アキラ”という存在を追っていた。その頃、鉄雄はアーミーのラボで強力なクスリを連続投与され、不思議な力を覚醒し始めていた…。


1988年の劇場公開時、私はまだ中学時代でした。

もともと原作漫画のファンで、確か4巻まで出たところで連載をわざわざストップさせてまで、大友さんはこの映画の制作に情熱を傾けていたと記憶しています。

そんな曰く付きの映画なので、もちろん公開週の週末に映画を観に行き、当時は今のように上映が終わったら席を立つシステムではなかったので、軽食を持って朝一の回から2回連続で見たことは今でもハッキリと覚えています。

そんな映画をあれから32年ぶりに劇場で、しかも4KリマスターのIMAXで見られるチャンスを知ったので居ても立っても居られず見てきました。

 

映画オープニング、爆心地を背景に赤色の太ゴシックで現れる「AKIRA」の文字。

もうこれだけで涙目ですよ。

そしてネオ東京を暴走する金田・鉄雄・山形・甲斐・ジョーカーの面々を見て、32年という時間が経っても彼らは変わらずやんちゃで元気だと思うと、流れ落ちる涙を止めるのに必死です。

そして大佐の登場。

32年前は高圧的で頭の固いオジサンとしか思えなかった大佐ですが、今思うと2019年の大佐は自分とほぼ変わらない歳(設定では42歳のようです)と気づくと、大佐の国を守るという使命感がとても強かったことに感銘を覚えてしまいました。

 

そして見ていてハッとしたのは、「堕落した政治家や資本家に踊らされてはいかん!」と大佐が言った時、場内でなんと歓声が起きたんです。

なんで?と思いましたが、ここはタイ。

この映画って反体制とかクーデターとかを一つの題材としていて、タイ語訳ではどうなっていのか分かりませんが、このセリフが実に微妙な部分を突いていたから何だろうと思いました。

 

「俺の手はそっちに曲がらないんだよ!」「お前もボスになったんだろう?このガレキの山でよー!」「"さん"をつけろよ、デコスケ野郎!」等などの名セリフの時は、思わず口が動いてしまうのはご愛敬。

 

昨今のアニメは制作に海外勢の名前が多く出てくる作品も多い中、この映画の制作に関わったのはほぼ日本人だけのようで、これも驚きの一つでした。

 

劇場内はソーシャルディスタンスを保つために間引きされた座席配置であったものの、客入りは多めに感じました。

客層は10〜20代のタイ人若者が多く、日本人は私と同じく40代ぐらいと思われる人が多かったかな。

エンディングロールの時に拍手があったこと、タイの人も楽しんでくれたんだと思うと嬉しく思いました。