「カレワラ」の他に手元に残そうと思った文庫本は、藤原新也著の「ディングルの入江」である。

 

  藤原新也が好きで海外旅行記やエッセイを読んでいたが、この本は初の小説だった様な気がする。

 

  珍しいと言えば珍しい、多分藤原新也を読んだ事のない人でも藤原新也を知らない人でも何かしらのインパクトを与える事と思う。

 

  1998年に発刊されて文庫化は2001年、読んだのは2002年となっていて20年前の話である。

 

  以前、自分のホームページの日記に読んだ時の事を書いたと思って探したら、ようやく探し出す事が出来た。

 

  当時の日記をそのまま転載しようと思う。

 

2002.01.12(土)
  夜、寝る前に映画監督井筒和幸さんが映画評論をする「こちトラ自腹じゃ」を観る。M本さんが教えてくれた番組で、「バンディッツ」が4つ星だったので満足した。毒舌も楽しく、唸る番組であった。来週の「バニラ・スカイ」が楽しみだ。
  映画評論家は、自腹を切ってお金を出すに値するかどうかをハッキリと伝える必要があると思っていたので、この番組の企画と井筒監督のキャラクター が冴えていると恐れ入ってしまった。
  3連休の初日、天気も良く御岳に向かう。電車内で「ディングルの入江」藤原新也著を読み終えた。不覚にも涙腺が 緩んで感動してしまった。最後の最後が気に入らないが、それでも素敵な小説であった。
  小説?、実際の事かもと思わせる描写に深く感銘。登場するプーカという女性の数奇な運命に心揺さぶられる。「世界は複雑なかたちの花のリースのように、どこまでもつながっている。」
  今日の御岳では、多くの知り合いに会えて楽しかったのだが、自分の成果が無く物足りない感じでもあった。またまた、指先を切って出血、全く何やっているんだろうと思う日々である。
  多くの画像を撮ったので、「ボルダリング日記」は、いつも以上に作成に時間がかかってしまった。でも、即日UPのスピードは辛うじて維持したのであった。サービス、サービス!。

 

  「こちトラ自腹じゃ」とは懐かしい、確か「虎ノ門」という番組内の1コーナーだった様な気がする。

 

  M本さんから教えられたとあるが、今となってはハッキリしない。

 

  多分、あのM本さんだと思うのだが、他にも候補者が居て記憶の無さにガッカリしてしまう今日この頃。

 

  「ディングルの入江」を読み終えたのが電車内であり、御岳にボルダリングに向かう途中なのであった。

 

  普通、ボルダリングに向かう時は何も考えていない時もあるのだが、今日は頑張るぞ!とか、今日はこうしよう!とかモチベーションアップを図るものだ。

 

  それなのに感動してしまって、ボルダリングどころの騒ぎではなくなってしまった事を覚えていて、逆の意味で強烈な思い出となっている。

 

  記憶にまつわるお話は胸に突き刺さる事が多々あり、それが失われた記憶となれば猶更である。

 

  帯にある「天国はいま美しい夕暮れです」という文章が泣かせてくれる。

 

  本当は藤原新也の本は全て手元に残したいのだが、振り分けを緩和していくと処分出来なくなってしまうから仕方がない。

 

  1冊選ぶとしたら、これしかなかったのであった。