世界中でヒットした「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」の続編である。

スーパーマリオはかろうじてファミコン版をプレイした事があったが、スーパーマリオギャラクシーはプレイしたことがないため、映画を観てもちんぷんかんぷんになるかと思った。

だが実際には、これまでのNINTENDOシリーズすべてを網羅していて、世代を超えて楽しめる素晴らしい作品になっていた。

 

ロゼッタ姫は「ほうき星の天文台」でチコ(星の子)達と一緒に暮らしていたが、ある日クッパJr.とカメックの襲撃を受け、チコの一人とさらわれてしまう。

クッパJr.にとっては、初めてさらう姫だった。

クッパJr.は父クッパの留守の間もクッパ星を繁栄させていた。

さらに、ロゼッタの力を使った強力な武器を作り、世界制覇を目論んでいたが、ロゼットが逃亡を試みる。

逃亡は失敗するが、ロゼッタは一緒に捕まっていたチコを開放して助けを呼びに行かせた。

 

キノコ王国では、マリオとルイージの兄弟が緊急の配管工事に向かっていた。

そこでワープトンネルを通ってきたヨッシーと出会う。

マリオはピーチ姫の誕生日を祝うために日傘をプレゼントするが、ピーチ姫は誕生日なのに浮かない顔をしていた。

マリオが訳を聞くと、ピーチ姫はキノコ王国で拾われたため、自分の本当の誕生日は知らない、と言った。

そんな時、チコがキノコ王国に落下してくる。

話を聞いたピーチ姫はキノコ王国をマリオたちに任せ、自分はロゼッタを救出するためチコと旅立った。

 

マリオたちはキノコ王国の、日常の業務をこなしていた。

その一つには、小さくなったクッパの世話もあった。

そこに、クッパJr.とカメックがクッパを取り戻しにやってきった。

クッパJr.は王国の城ごと持ち上げてクッパを取り戻そうとするが、マリオたちはクッパJr.が乗ってきたメガレッグを宇宙船にぶつけてそれを阻止。

城はミツバチ王国に落下し、クッパJr.とカメックは引き上げていった。

 

マリオたちは、ピーチ姫を追ってロゼッタを救いに行くことにした。

クッパも小さいまま同行していたが、元の大きさに戻して欲しいと言う。

クッパはかつて世界征服に忙しく、Jr.に何もしてやれなかった悪い父親だったと言い、自分がJr.を思いとどまらせたいとも言った。

マリオとルイージは少し迷うが、クッパを元の大きさに戻した。

 

ミツバチ王国の王女は、キノコ王国の城が落下して国がめちゃめちゃになった事を怒っていた。

そのためマリオ兄弟に強制労働をさせようとするが、クッパは自分の方が兄弟よりも力があるから自分が強制労働をする、二人を行かせてほしいと申し出る。

王女はそれを受け入れ、マリオ兄弟はヨッシーとともにクッパ星へと向かった。

 

まず、構成が非常に面白い。

クッパJr.は父を取り戻そうとするが、クッパはすっかり改心している。

大きさが元に戻った時に悪役に戻るのかと思ったが、マリオ兄弟を裏切ることはなかった。

そのため、単純な勧善懲悪なストーリーにはなっていない。

クッパJr.が世界征服をしようとするのは尊敬する父のためであり、本当の悪とは言えない設定だ。

ストーリーがどう展開するのか、いい意味で予想できなかった。

 

何度も書いているが、最近のディズニー作品は、主人公が世界を裏側で支配する巨悪に気づき、仲間と一緒にその巨悪を倒す、というテンプレート作品ばかりで辟易している。

だが本来ディズニーが作るべきは、こういう作品である。

何が飛び出してくるか、次の展開が読めないおもちゃ箱のような作品であるべきなのだ。

 

冒頭にも書いたが、ゲームのキャラクターもスターフォックスをはじめとして、NINTENDOの歴代ゲームのキャラがいろいろと登場している。

今まさにゲームをしている世代はもちろん、少々ネタバレになるが、ゲームウォッチ世代すらニヤリとする小ネタまでここそこに配置されていた。

 

NINTENDOのゲームをプレイしたことがない人はいるかもしれないが、NINTENDOのゲームが嫌いな人は世界中に誰一人としていないだろう。

キャラクターの相関関係にやや強引な部分もあるが、少しでもNINTENDOのゲームをプレイした人なら、誰でも楽しめる作品になっていた。

家族で観るには最高の作品である。

 

 

66.ザ・スーパーマリオギャラクシー・ムービー



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実話を元にしているが、感動の押し売り作品のように思えたのでスルーするつもりだったが、石井裕也が脚本、監督を担当していると言うので一応観に行くことにした。

作品の出来のブレが激しい監督だが、今回はダメな方に出てしまっていた。

 

寺田ナズナ(綾瀬はるか)は千葉県香取で夫の良一(妻夫木聡)、中学生の娘の舞(西川愛莉)と3人で暮らしていた。

ナズナは元々横浜で暮らしていたが、川のある街で暮らしたいと考え香取に来ていた。

ここで食堂を経営し、食堂で出す野菜も自分の畑で育てている。

 

ナズナには、舞に言えない秘密があった。

良一はどこかのタイミングで舞に話さなければならないと言うが、ナズナにはその勇気がなかった。

そしてナズナは、高校時代に知り合った初恋の人を思い出し、手紙を書く。

 

17年前、高校時代のナズナ(當真あみ)は、毎日地下鉄で通学していた。

ある日痴漢に遭ったところを、同じ高校生の富久信介(細田佳央太)に助けてもらう。

信介は東大進学数1、2を争う超進学校に通いながら、ボクシングで世界を目指すためにジムに通っていた。

ジムの先輩の川嶋(菅田将暉)からもかわいがられていて、ストイックにトレーニングを続けていた。

だが、毎朝通学電車で会うナズナの事は気になっていた。

 

ナズナは親友から信介の情報を教えてもらう。

自分を助けてくれた信介が、超進学校でボクシングをしている有名人という事を知り、さらに胸をときめかせる。

そして意を決して信介に手紙を書いた。

 

現代のナズナは書いた手紙を出すことができず、カバンの中にしまっていた。

するとあるきっかけで、その手紙を舞に読まれてしまう。

さらに舞は、その手紙を誤って食堂でバイトをしている加代(富田望生)のカバンに戻してしまった。

そして加代は、手紙をポストに投函してしまう。

 

実際には手紙ではなく、地下鉄事故で亡くなった富久信介(実名)への思いを女性がSNSにアップし、それを富久さんの関係者が発見したことが元になっているらしい。

富久さんや菅田将暉演じる元チャンピオンの川嶋勝重、大橋ジムなどがすべて実名となっている事から、富久さん関連のエピソードはほぼすべて事実に忠実なのだと思う。

一方で、主人公のナズナについては、逆にほぼ創作のようである。

この構成が作品をいびつにしてしまった。

 

女性の書き込みを富久さんの関係者が発見しただけでは、おそらく映画にするには長さが足りなかったのだろう。

そこでナズナのエピソードをかなり盛ったのだと思うが、ハッキリ言ってどれも必要ないと感じた。

一番は、偶然が重なって現在のナズナが書いた手紙が、ポストに投函されるエピソードである。

そもそも、舞がナズナの手紙を見つける展開が強引だし、劇中で描かれるナズナと舞の距離感を見ると、舞がナズナの手紙を黙って読むことなどないと思う。

さらに舞が誤って手紙を加代のカバンに入れてしまい、加代がポストに投函すると言う流れは、あり得ないにもほどがあるレベルだ。

こんなどうしようもない偶然の連続を見せることによって、元々が実話であったという重さが薄れてしまっている。

ネタバレになるのであまり詳しくは書けないが、ラスト30分は富久さんはほぼ関係がなくなってしまう。

ナズナが主人公であるのでそれも仕方がないようにも思うが、結果、この事も実話である事を薄めてしまっていた。

 

実話が元になっているのだが、観客を泣かそうと言う無理やりの展開の連続に、逆にドン引きしてしまった。

 

ナズナを主人公にしたことで、何を描きたいのかがぼやけてしまった印象で、もっと富久さん周辺のエピソードに絞り、8割以上を二人の高校時代のエピソードにした方がスッキリしたのではないかと思う。

 

 

65.人はなぜラブレターを書くのか



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このご時世でタイトルが「炎上」なので、SNSの炎上がテーマかと思ったがそうではなかった。

全体としては、良くも悪くもだいたい想像していたレベルの作品であった。

 

樹理恵(森七菜)は両親、妹(新津ちせ)と4人で暮らしていたが、両親は新興宗教の信者だった。

特に父(古舘寛治)は信教のために厳格を通り越して冷酷で、少しでも神様の悪口を言おうものなら容赦のない体罰を行った。

そのため樹理恵は吃音になってしまう。

樹理恵と妹は、常に「父が死にますように」と神に祈っていた。

すると10年後、父は樹理恵の祈りの通り急死してしまう。

その時に樹理恵は思った。

「もし神様がいるのならば、・・・仕事遅えよ」と。

 

父の死後は、父の代わりに母が樹理恵と妹に体罰を行っていた。

そして思春期になった樹理恵は、家を飛び出して歌舞伎町のトーヨコにに向かう。

 

樹理恵が頼りにしていたのは、SNSで知り合ったKAMIくん(一ノ瀬ワタル)だった。

KAMIくんは樹理恵同様、トーヨコに流れてきた子供たちの面倒を見ていた。

吃音で自己紹介がうまくできなかった樹理恵は、みんなからじゅじゅと呼ばれた

じゅじゅは他のメンバーと一緒にKAMIくんが持ってきたドラッグを飲料に溶かして飲むが、そこで意識を失ってしまう。

気が付くと、保護施設に収容されていた。

 

保護施設でじゅじゅは、脚に障害を持つ三ツ葉(アオイヤマダ)と出会う。

二人はすぐに親友となり、保護施設を脱出してトーヨコに戻った。

三ツ葉はじゅじゅがトーヨコにくる前、KAMIくんたちのメンバーだった。

KAMIくんは三ツ葉とじゅじゅが知り合ったことに驚いたが、喜んでもいた。

 

三ツ葉はパパ活で体を売って、カネを稼いでいた。

じゅじゅは処女だったが、三ツ葉に促されてパパ活を始める。

目標の1000万円を稼いだら、実家から妹を救い出して一緒に暮らそうと考えていたのだ。

 

監督の長久允は実際にトーヨコを取材して脚本を書き上げたとの事だ。

多少のデフォルメはあるだろうが、おそらく現在のトーヨコの実態に近いと思われる。

ただトーヨコについては、ニュースやドキュメンタリーで取り上げられることも多いため、この映画で驚いたことなどは特になかった。

自分自身映画を観るために時折昼夜問わずトーヨコを通る事があるが、そこにいる人たちがどんな生活をしているのかも、だいたい想像がつく。

そんな事もあり、映画作品としては想像の枠内に収まる作品だった。

 

唯一「おっ」と思ったのは、三ツ葉役のヤマダアオイの演技だ。

ダンサーとして活躍しており、映画は「唄う六人の女」「PERFECT DAYS」「禍禍女」などにも出演しているが、これまでの作品では特筆するような演技力は見られなかった。

だがこの作品ではトレードマークの金髪を茶髪に染め、かなりいい演技をしていた。

ラストのエンドロールが流れるまで、三ツ葉がヤマダアオイだとは思えなかった。

 

おそらくこの作品で、ヤマダアオイは各映画賞の新人賞を受賞するだろう。

この後、演技の仕事も増えるのではないかと思う。

 

 

64.炎上



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