「岸辺露伴は動かない」シリーズを映像化した渡辺一貴のオリジナル作品で、岸辺露伴を演じた高橋一生が主演していると聞きかなりテンションあげあげで観に行ったのだが、ガッカリを通り越して呆れる作品だった。

内容があまりにも薄いため、感想もネタバレになってしまう。

 

脚をケガした若い男(黒崎煌代)が森をさまよっていた。

男が洞窟をくぐると、そこには老人(高橋一生)と若い娘(蒼戸虹子)が暮らす神社のような屋敷があった。

老人は娘を妻と呼び、男は脚のケガの看病を受ける。

深い森の奥で静謐な時間が流れる中、男はここに留まっていたいと思うようになる。

だがこの娘は、迷い込んだ者を閉じ込める脛擦りという妖怪だった。

老人は遠い昔この脛擦りに閉じ込められており、男が来たため解放されるのだった。

 

次の者が来ないと解放されないと言う設定は、岸部露伴もメインキャストの一人である「ジョジョ」の第4部「ダイヤモンドは砕けない」に登場するスタンド、鉄塔のスーパーフライに酷似している。

また「ジョジョ」シリーズの第7部にあたる「スティール・ボール・ラン」にも、シュガー・マウンテンと言う似たようなスタンドが登場している。

スーパーフライでは鉄塔に閉じ込められていた鋼田一豊大が、自分が抜け出すために東方仗助を閉じ込めようと駆け引きする面白さがある。

シュガー・マウンテンは能力自体が不思議で、ツェペッリとジョニーがからくりに気づいて閉じ込められないようにあがく姿が面白い。

しかしこの作品には、何もない。

 

この作品のレビューを見ると、静謐の中に音があるとか雰囲気がいいとか無理に褒めているが、ハッキリ言って褒めるところなど一つもなく、読んでいるこちらが恥ずかしくなってくる。

頑張って作品を褒めようとしている努力は認めるが、どのレビューも文章が上滑りしてしまっている。

 

上映時間は61分だが、普通に考えればせいぜいが20分くらいでまとまる作品で、劇場公開のために限界を超えた水増しをしてやっと61分になった感じである。

この映画を商業作品として公開しようと思った人たちがいること自体が、私にとっては大きな驚きである。

 

おそらく、史上最低の映画として日本映画史にその名を刻むことになると思うが、その結果まだ映像化されていない「岸辺露伴は動かない」シリーズもお蔵入りになってしまうのではないかと言う気がする。

残念以外の言葉が見当たらない。

 

 

63.脛擦りの森



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「IWAI SHUNJI The Film Works 30th Anniversary 1995-2025」のラストの作品だ。

劇場公開は1998年、主演の松たか子はまだ21歳で、岩井俊二作品としては「スワロウテイル」と「リリイ・シュシュのすべて」の間の作品だ。

 

ストーリーは、大学入学のために旭川から上京してきた卯月(松たか子)が一人暮らしを始めるエピソードと、なぜわざわざ東京の大学を目指したかが明らかになるエピソードで構成されている。

一人暮らしについては、引っ越しの荷物が狭い部屋に入り切らなかったり、大学でやや強引な友人ができるなどなかなか面白いエピソードで、やや振り回され気味の卯月を松たか子がうまく演じていた。

この少し前に放送された「ロンバケ」の演技と比べると、雲泥の差である。

東京の大学を目指す理由も卯月らしいピュアな理由で、観ていて穏やかな気持ちになった。

この前後の岩井俊二作品とは、趣がかなり異なる

今回「花とアリス殺人事件」と同時期に公開になったのも、この二つの作品がやや似た雰囲気を持っているからかもしれない。

 

上京する卯月を見送る家族は、妹以外はすべて松たか子の本当の両親、兄姉である。

他の共演者も、ちょうど売り出し中だった田辺誠一やまだまったく無名の津田寛治、劇中劇には石井竜也や江口洋介を起用するなど、岩井俊二ならではのキャスティングが光っていた。

劇中劇での石井竜也の役名が「軽相撲紀伊(カールスモーキー)石井」、そして江口洋介は西島洋介山ならぬ「江口洋介山」とだったのも笑えた。

佐野さえ子役の留美という役者もかなりいい雰囲気を持っていたが、現在は活動をしていないようで少々残念である。

 

この後今年中に、「スワロウテイル」が4Kリマスター版で公開されるらしい。

非常に楽しみである。

 

 

62.四月物語



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「万事快調〈オール・グリーンズ〉」や「禍禍女」で、次々と新ジャンルを開拓している南沙良がW主演と言う事で観に行った。

正直かなり荒っぽいストーリーで、なぜ今、香港との合作でこの映画が製作されたのかよくわからないが、想像していたよりはまとまった作品になっていた。

 

世界的暗殺組織の香港チームに所属するNo.4(ジェフリー・ガイ)は、日本での仕事の指令を受けた。

来日して標的である暴力団組織の幹部熊谷を始末するが、その現場に雲(南沙良)が現れる。

雲は自分はこの仕事の依頼主で、さらに3人を始末して欲しい、報酬は2億円支払うと言った。

No.4は、仕事なら日本のエージェントのラーメン屋を通すように言うが、雲は最初の仕事もまだ代金1億円の半分しか払っていなかった。

一方、熊谷を殺された組織はNo.4を探していた。

No.4はラーメン屋に報酬を受け取りに行くが、店主は雲から依頼金を受け取っていないと拒否する。

そして72時間以内に依頼金を支払わなければ始末すると、雲に言った。

No.4と雲は暗殺の代金支払いのために、組織から残りのカネを奪う事にする。

 

冒頭にも書いたが、ストーリーはかなり強引だ。

雲には、父親同士が仕事仲間だった小学生のボスという仲間がいる。

よくある設定で、ボスは小学生だがITに詳しく、組織の事をいろいろと調べてくれるのだがバックグラウンドは何も説明がない。

ストーリー展開に必要なキャラを、強引に組み込んだ感がハンパなかった。

 

ただ、アクションはかなり作りこまれている。

「ベイビーわるきゅーれ」シリーズや「俺たちバッドバーバーズ」の阪元裕吾が制作陣に参加しており、アクション監督の坂本浩一という人も「パワーレンジャー」シリーズなどを手がけているらしい。

予算が少ないため、舞台を人が少ない閑散とした地方都市にしていたのだと思うが、逆に殺し合いに一般人が巻き込まれないと言う部分では違和感がなくなっており、アクションに集中できた。

言葉の通じない二人の交流も、作品全体のアクセントになっていた。

 

B級にも届かないC級アクションかもしれないが、想像していたよりは悪くない作品だった。

 

 

61.殺手#4(キラー・ナンバー4)



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