警察署につくと


「大変な中、今日はありがとうございます」

とお礼を言って貰った


「最初に場所の特定をしたいので、一緒にお願いします」

 


女性の刑事さんと

責任者に当たる男性と

車を運転してくれる警察官


皆でワンボックスカーに乗り込み


被害にあったネカフェに向かった




車内は静まり返り

「左巻き込みOKです」

等の確認以外は

誰も一言も喋らなかった


 

心臓がバクバクした


あの建物を

「見るだけでいい、中に入らなくていい」

と言われても


見るもの嫌だったから




数分で到着し


外観を見て「あぁ」と声が漏れた


間違いなく

あの場所だった


私が被害を受けた場所だった



「今、行けます?

写真撮りたいので、ほんの数分です」



と言われ、


ワンボックスカーから降りて

ネカフェの前に立ち


私の顔が映らないように、

後ろからパシャパシャと写真を撮られた




そうだ、ここだ


この入口から中に入った


入るときは

まさかこんな事になるなんて思っても見なかった



「防犯カメラの映像は?」

「確認済みです」 


警察官同士の話が聞こえた



入るときは

笑顔で浮かれてたな


出るときは

汚れた顔を見られたくなくて

マスクをして俯きながらも

精一杯「何事も無かった」フリをした



もう全部

警察官に確認されてるのか



何人の警察官が被害について知っているんだろう



恥ずかしい

情けない

余計な仕事を増やしてしまい申し訳ない



いろんな感情が湧き上がり



帰りの車内でまた涙が溢れた