時は、緊急会談当日。場所は、極東管区行政府庁舎内大会議室。

2199の2話で、各管区がモニター越しにテレビ会議を行なった場所に似ている。

2199の時は地下だったが、今回は地上。

モニター正面には、山南さん・土方さん・藤堂さん・真田さん・古代進・ガミラス

特使5名が横並びに立っている。

その後ろに、緊急招集された旧ヤマト第一艦橋メンバーがずらりと椅子に座っている(小さい映画館の席みたいな感じ)。

退役済みの徳川さんも特別招集で出席。第一艦橋メンバーではないが、佐渡先生も

特別招集で出席。

緊急会談はすでに始まっており、出席者の自己紹介は終了済み(=映像に入れない)。

 

藤堂さん:「以上で自己紹介は終了とする。本日の緊急会談の議題は、事前にお知らせした通り、ガミラス・イスカンダル特使から、ガトランティスの大マゼラン侵攻

状況の説明を受けることと、地球への協力要請を審議することだ。

それでは、バーガー全権特使、説明をお願いする」

 

バーガー:「まずは、これを見ていただきたい」

演台にセットされた波動コアから、ユリーシャとメルダの3D映像が浮かび上がる。

ユリーシャは椅子に座っている。メルダはその横に立っている。

2人と浅からぬ縁のある山本玲は、目を大きく見開く。

ユリーシャ:「私は、ガミラス本星王女 ユリーシャ・イスカンダル。隣は私付きの筆頭書記官メルダ・ディッツ。これからお話する内容は、2201年秋時点のものです。最新情報は、バーガー全権特使が補足するでしょう」

次に、ユリーシャが、自分が即位して以降のガミラスの変化(=第一幕冒頭)を、

簡潔に要約して説明。説明が始まった時点で、「第一幕冒頭」の短縮編集映像に

切り替わり、その映像にかぶせてユリーシャの声が聞こえる。

その次に、「第三幕場面転換その1」と「第三幕場面転換その2」の内容を簡潔に

要約して説明。説明が始まった時点で、「第三幕場面転換その1」の短縮編集映像に切り替わり、その映像にかぶせてユリーシャの声が聞こえる。

状況説明後、3D映像が、ユリーシャとメルダに戻る。

ユリーシャ:「今、お話した通り、この戦いには、ガミラス・イスカンダル二重惑星の命運がかかっています。戦いを勝利に導くために、ヤマトの出撃をお願いします。私たちの最終目標は、ガトランティスの殲滅ではありません。そんなことは100年

かかってもできないでしょう。ガトランティスの中枢を叩き、「ガミラス・イスカンダル・ガトランティス・地球不可侵条約」を締結することが最終目標です。

そのために、地球の皆さんの力添えをお願いします」

 

続けて、スターシャの3D映像が浮かび上がる。

スターシャは長椅子に座っており、左側に2歳くらいの黒髪の女の子、右側には2歳くらいの金髪の男の子が、スターシャにもたれかかってスヤスヤ眠っている。

スターシャの両腕は、2人の子供の背中を抱いている。

スターシャ:「私はイスカンダルのスターシャ。この2人の子供たちは、古代守から授かった私の宝物、2卵生の双子です。女の子の名前はサーシャ、男の子の名前は

マモル」

 

(注)「ヤマトよ永遠に」では、イスカンダル人の成長は、地球人に比べて異常に

   早く、ある年齢になるとゆっくりになるという設定があったが、その設定は

   採用しない。

 

「この映像を、地球の皆さんがご覧になっているということは、お渡しした

コスモリバースシステムが、皆さんのお役に立てたと信じています。

改めて、コスモリバースシステム受領のために、苦難の航海をされたヤマトの皆さんと、ヤマト帰還まで辛抱強く持ちこたえた地球の皆さんに敬意を表します。

この映像に先立って、私の妹=ユリーシャから、イスカンダルとガミラスを巡る情勢がお話されたと思います。この苦難を乗り越えるために、一時的に波動エネルギーの武器転用を許可します。ただし、あくまで身を守るためだけに限定します。

どうか、ユリーシャの願いに、地球の皆さんが応じてくださることを、心からお願い申し上げます。私はイスカンダルのスターシャ」

 

バーガー:「波動コアの映像はここまでだ。次に、テロン衛星軌道上で待機中に、

ガミラス本星から届いた最新映像を見ていただく」

 

バーガーが、メモリーカードを取り出し、演台の再生装置にセットする。

「先月(2202年2月)、我々とガトランティスは、我々が第1次防衛ラインに設定

した大マゼラン銀河辺境で、総力戦に近い大規模戦闘を行った。

艦隊規模は、ともに10万隻同士。当初、ガトランティスは5万隻で侵攻してきたが、途中でプラス5万隻の増援が合流した。我々は約2万隻を失い、ガトランティスは

約5万隻を失った。ガトランティスは小マゼラン銀河に撤退。

この戦闘での我々の戦略目標だった、敵を追い返し、次の侵攻までの時間を稼ぐことに成功した。この戦闘をモニターしていた監視衛星のダイジェスト映像がこれだ」

再生スタート。

 

第五幕場面転換その1

 

ここからは、3D映像ではなく、2202年2月の実際の戦闘シーンに変わる。

もちろん、大会議室に映っているのは3D映像のはずだが、そのことは映像表現上、一旦忘れる。監視衛星では、艦艇の内部までは映せないはずだが、それも一旦忘れる。2199上映時に、出渕裕総監督が言っていた「映像で上手に嘘をつく」ことにする。

 

時は2202年2月。場所は、大マゼラン銀河辺境の戦場。

戦場の設定はとても重要。銀河英雄伝説では、周囲を艦艇が航行不能なプラズマに

覆われたイゼルローン回廊が舞台設定としてうまく使われていた。

マル・アデッタ星域会戦でも、ビュコックたちは、穴倉のような狭い空間・周期的に大規模フレアを起こす恒星近傍という「あの老人、よくぞこんな戦いにくい場所を

選んだものだ(ミッターマイヤー談)」という特殊な場所を戦場に選んだ。

ガミラスも地の利を最大限活かして、ガトランティス艦隊を縦深陣に引き込める場所を戦場に設定する。当然、ガミラスは、ガトランティス艦隊を、意図的にそこに誘い込む行動をとる。

 

ガミラス艦隊の配置は、敵正面に、ガミラス砲(デスラー砲から改名)搭載の

旗艦(ディッツ司令長官と総参謀長が乗艦)を含む2万隻、残り8万隻は、

縦に細長く伸びきった敵艦隊側面をグルリと取り囲んだ配置。

側面包囲網の外側には、近傍の2つの大質量星から吹き出す恒星風によって作り出されたイオン乱流が吹き荒れている。

 

総参謀長:「なんとかうまくいきそうですね」

ディッツ:「ここまではな。しかし、蛮族どもも、我々に嵌められたことはとっくに悟っておるだろうから、気を抜くわけにはいかん。まずは先手を打って、蛮族どもを大混乱に陥らせよう。ガミラス砲発射準備」

砲手:「ガミラス砲発射準備完了」

戦術兵:「敵艦隊正面、ガミラス砲の射程圏内に入りました」

ディッツ:「ガミラス砲発射!!!」

この一撃で、ガトランティス艦隊正面の5千隻が瞬時に消滅。加えて、3千隻が

戦闘不能・もしくは損傷。

ディッツ:「よし、側面艦隊急発進。空母は戦闘機発艦。戦闘機は敵戦闘機を排除し、制宙権を確保。戦闘艦は陽電子ビーム砲の射程に入り次第、敵を各個撃破」

 

ゴーランド:「何が起こっている?」

戦術兵:「最前線の我が艦隊5千隻が消滅。3千隻が戦闘不能・もしくは損傷。

テロンのヤマッテと同じ大砲に撃たれたようです。」

戦術兵:「味方混乱中。敵、側面から急速接近」

ゴーランド:「うろたえるな。火焔直撃砲搭載艦は、火焔直撃砲を一斉斉射。

敵が崩れた隙をついて全戦闘機発進。敵を殲滅せよ」

ゴーランドの命令が実行され、激しい戦闘状態になる。しかし、ガミラス艦隊の優位は覆せない。ガトランティス艦艇の一部が、ガミラスの側面包囲網を突き破り、包囲網の外側に出るが、イオン乱流に捕まる。艦艇の電子機器が制御不能になり、空間跳躍エンジンが暴走し、次々と爆散してゆく。

 

バルゼー(合流した5万隻の司令官):「ゴーランド、このままではまずい。

艦隊を再編成して、伸びきった戦線を縮小し、そちらの4万2千隻・こちらの5万隻の2つに艦隊を集約して、集団戦に持ち込もう」

ゴーランド:「わかった。しかし、こちらはすでに2万隻がやられた。そちらの損害はどうだ」

バルゼー:「今のところ、1万隻といったところだ」

ガトランティスが艦隊を再編成し、ガミラス・ガトランティス双方の損害が拮抗した状態になる。

 

総参謀長:「我が艦隊の損害が無視できない状況になりました。

一旦、艦艇と戦闘機を下がらせて、ガミラス砲で蛮族どもの戦意を打ち砕き

ましょう」

ディッツ:「わかった。艦艇と戦闘機は、直ちにガミラス砲の射線から離脱。

ガミラス砲発射準備」

砲手:「ガミラス砲発射準備完了」

ディッツ:「よし、今だ。ガミラス砲発射!!!」

ガトランティス側が密集していたことが仇になって、8千隻が瞬時に消滅。

加えて、4千隻が戦闘不能・もしくは損傷。

 

バルゼー:「ゴーランド、ここまでだ。このままでは全滅してしまう。

大帝には申し訳ないが、撤退せざるを得まい」

ゴーランド:「うぬ~~。全軍、撤退!!。しんがりは我が旗艦が担う」

 

戦術兵:「敵が撤退を開始しました」

ディッツ:「追撃戦開始。ただし、深追いは厳禁だ。我々の目標は蛮族どもを追い返すことだからな」

この撤退戦で、ガトランティスはさらに8千隻を失った。

ゴーランドとバルゼーは、なんとか逃げ切った。

 

(映像では見せない)ガトランティスが、一度に10万隻で侵攻して来なかった

「裏設定」。

戦争では、補給線の確保がとても大切。ガトランティスが最初5万隻で侵攻してきたのは、ガミラス側にバレない補給線を、5万隻分しか確保できなかったため。

ズォーダー大帝は、そのことを承知の上で、まず先手を取るために、ゴーランド艦隊5万隻を出撃させ、ガミラス側の反応を探ろうとした。後に、バルゼー艦隊5万隻分の補給線が整ったので、増援として合流させた。このせいで、大マゼラン銀河辺境への到達時期が、2202年初頭から2202年2月に、約1ヶ月遅れた。

ガミラス側が補給に困らなかったのは、自分たちの支配圏内に戦場を設定したので、各地の補給基地から補給を受けられたため。

蛇足だが、ガミラスもガトランティスも、オムシス技術を持っていない。

(真田さんと平田さん凄い!!)

 

第五幕ラストシーン

 

時は上記の直後。場所は、バレラス某所の豪邸内リビング。

反ユリーシャ派財界人その1:「蛮族どもも不甲斐ない。ディッツにまんまとしてやられるとは」

反ユリーシャ派軍人その1:「所詮は蛮族ということでしょう。しかしこれで、聖戦のタイミングが狂いましたね」

ランハルト:「(またワインをくゆらせながら)蛮族どもが、これで引き下がるわけがない。まだまだチャンスはいくらでもある。諸君、もうしばらくの辛抱だ」

ガミラス・イスカンダル二重惑星の遠景で第五幕終了。