早島大祐『明智光秀 牢人医師はなぜ謀反人となったか』
NNK出版新書608
著者は、日本中世史(時に戦国時代の京都)の研究において
最も実証的で、かつ面白い新説を唱える研究者だと思う。
今作もタイトルから飛ばしてきた!
明智光秀は牢人医師だった!と。
冷静に考えれば牢人と医師は並立しないと思うけど・・・。
足利義昭や織田信長に仕官する前、
特定の主君に仕えていなかった時代に、
医師のようなこともして暮らしていたという。
もっと気になったのは、織田信長に仕官した時は文官だった。
しかし、相次ぐ戦線の拡大で人材不足に陥り
武官として出動したという指摘。
文武両道の武将というイメージがあったのだが、
そういう履歴を辿っていたのか・・・。
特定には至っていないけれど、出自もかなり絞れてきている。
室町幕府第15代将軍・足利義昭に仕えた時の状況なども詳述されていて、
その人となりはかなり判明したと言える。
でも、この著者をもってしても、
「本能寺の変」の真相にはたどり着けず。
著述の分量からしても、手の付けようがなかったようだ・・・。
そもそも400年前に生きていた人物の履歴がこれほど分かる事の方が
すごいのだけれど・・・。
それでも出自・前半生と最後の叛乱の真相が分からないというのもすごい・・・