映画『ポセイドン・アドベンチャー』 The Poseidon Adventure 1972年米
監督ロナルド・ニーム
出演ジーン・ハックマン、アーネスト・ボーグナイン、キャロル・リンレイ、シェリー・ウィンタース、レスリー・ニールセン、ほか
原作ポール・ギャリコ
製作アーウィン・アレン
音楽ジョン・ウィリアムス、ほか
ポセイドン号がひっくり返って、乗客たちが船内の床を滑り落ちて行く阿鼻叫喚の場面と、
映画『恋愛準決勝戦』Royal Wedding（1951年米）で恋に有頂天になったフレッド・アステアが、何故か上下にゆっくり回転する室内で踊り続ける場面を、
交互に編集（カットバック）した画像が、たしか米アカデミー賞で映されていたのを思い出す。
今見ると、船長がレスリー・ニールセン Leslie Nielsen (1926.2-2010.11) というのが、何か他の映画に見えてくる。
『ポセイドン・アドベンチャー』の時は普通の二枚目俳優なんだよね。
（ニールセンの喜劇映画『裸の銃を持つ男』(The Naked Gun 1988年米 監督デビッド・ザッカー)
に《転落》《滑走》などがモチーフとして屡々登場するので余計に『ポセイドン・アドベンチャー』が、他の映画に見える。
〔ex. ☆ ニールセンの刑事が女王陛下を護る為飛びかかり押し倒したまま晩餐の長テーブルを二人で滑る。
☆ スタジアムに来たＶＩＰを護る奮闘のアオリを受けて、全く無関係な超巨体のおばさんが二階の観客席からＶＩＰに向かって叫びながらスローモーションで落ちて来る。
☆ 大統領の無事を喜ぶニールセンの腕に当たった大統領夫人が、ＶＩＰバルコニーからぶら下がり脚をばたつかせ、誰にも気づかれないまま、あのパワフルなテーマ曲のエンディングとなる。〕）
ニールセンがコミカルな演技を始めたのは、1980年の米喜劇映画『フライングハイ』 Airplane!（監督･脚本ジム・エイブラハムズ、ジェリー・ザッカー、デビッド・ザッカー）
の、ポーカーフェイスでハイセンスに奇妙な台詞をかます乗客の医師役。
〔今の目からは『フライングハイ』では、管制官役でアグレッシブにボケるロイド・ブリッジス Lloyd Bridges（1913.1-1998.3 彼も元々俳優）の方が、のちのニールセン的なパートに感じる。
そして、ブリッジスは1991年、93年の米喜劇映画『ホット・ショット』 Hot Shots! シリーズ（監督ジム・エイブラハムズ）
で提督（第１篇）から米大統領（続篇）に出世するサブキャラとなって、
『フライングハイ』のニールセンを想わせる紳士的かつ過激なボケを、かまし続けた。〕
『タワーリング・インフェルノ』（The Towering Inferno 1974年米。こちらもアーウィン・アレン製作）など、当時のハリウッドのアクション映画は、壮大で物々しい見世物色が強い。
倫理的命題が展開に絡んでくる辺りは、さすがハリウッド映画の『ポセイドン・アドベンチャー』。
小説が原作（ポール・ギャリコ）と聞いて合点が行く。
傾けたクリスマス・ツリーでの脱出の選択など、
《倫理的モチーフ（判断による運命の分かれ、等）》の
《造形化（傾くツリー、登るか残るかの位置関係）》が、
《（70年代風）大作映画の『見世物』色》のファクターをも、ここでは形成している。
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○ウィキペディアhttps://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9D%E3%82%BB%E3%82%A4%E3%83%89%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%83%89%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%81%E3%83%A3%E3%83%BC