ダクト式換気扇 換気能力 検証 | Ameba-1234abcdのブログ

ダクト式換気扇の換気能力を検証したので、備忘録として書き留めておく。
■ ダクト式換気扇の換気能力の調査
リフォームしてから約12年目になるが、「浴室の換気扇」や「中間ダクトファン」を更新してきたので、ダクト式換気扇の換気能力を調査することにした。

必要換気量に対してダクト換気による圧力損失計算方法(等圧法)を用いて、実際に必要なダクト式換気扇の換気能力を検証する。
■ 必要換気量の計算
(1) 室内の汚染物質の発生量から求める方法
パナソニック 「換気・送風・環境機器総合カタログ(2024年版) 設計資料編 P685」を参考に必要換気量を計算する。

発生蒸気量から必要換気量を求める計算式
Q = M ÷ ( Ci - Co )
Q : 必要換気量 (m3/h)     M : 汚染発生量 (kg/h) 
Ci : 室内汚染濃度 (kg/m3)  Co : 外気濃度 (kg/m3)
<冬期の計算例>


気象庁のHPにある各種データ・資料より 「東京 1991~2020年 1月の平均気温と相対湿度」を参照する。

排湿量( Ci - Co )    = ( 0.007260 kg/kg - 0.002836 kg/kg ) × 1.3 kg/m3 = 0.005751 kg/m3
注 1.3 kg/m3 : 0℃の空気比重量 
1時間当り発湿量 ( M )    = 9.0 kg/日 ÷ 24 h/日 = 0.375 kg/h 
必要換気量 ( Q )    = M ÷ ( Ci-Co ) = 0.375 kg/h ÷ 0.005751 kg/m3 = 65.2 m3/h

(2) 住居の必要換気回数から求める方法
シックハウス対策に係る改正建築基準法が施行され、住宅の場合、換気回数 0.5回/h以上の機械換気設備(いわゆる24時間換気システム等)の設置が必要である。

(3) 部屋の必要換気回数から求める方法

三菱電機 「換気送風機総合カタログ(2024年版) 技術編 P677」を参考に必要換気量を計算する。

*1 「空気調和設備の実務の知識」 オーム社 より
*2 空気調和・衛生工学会規格 「HASS 102 1972」 より
(4) CO2排出量に基づいた必要換気量から求める方法
三菱電機 「換気送風機総合カタログ(2024年版) 技術編 P677」を参考に必要換気量を計算する。
建築基準法施行令第20条の2第2号に基づく。

 成人男子が静かに座っている時のCO2 排出量に基づいた必要換気量を20m3/h・人として算出した。

(5) 必要換気量の目安
必要換気量の目安は、(1)~(4)で計算した必要換気量の最大値とする。

■ ダクト式換気扇の圧力損失計算方法(等圧法)
アーキテリアル.jp 「ダクト式換気扇の圧力損失計算(等圧法)の解説と摩擦抵抗線図の見方」を参考に換気扇の風量を計算する。
(1) ダクト系統の前提条件
大規模修繕工事に伴う共用廊下の天井改修工事中に、ダクト系統を実測出来たので、そのデータを使用する。

(2) 摩擦損失率 (単位長さ当たりの圧力損失)
パナソニック 「換気・送風・環境機器総合カタログ(2024年版) 設計資料編 P688」を参考に摩擦損失率を計算する。


パナソニック 「換気・送風・環境機器総合カタログ(2024年版) 設計資料編 P687」を参考にアルミフレキシブルダクト 100φの補正係数を計算する。
主なダクトの摩擦抵抗係数 λ

(3) ダクト全体の直管相当長の計算

 *3 アルミフレキシブルダクト φ100mmの直管相当長 (m) = 補正係数 × 直管長 (m)  
 *4 パナソニック 「換気・送風・環境機器総合カタログ(2024年版) 設計資料編 P689」 より
 *5 三菱電機 「換気送風機総合カタログ(2024年版) 技術編 P678」 より
 *6 宇佐美工業 「換気口製品換気性能試験一覧 (2020.5)」 より
    強制吸排気口用U型フード付ガラリ 金網板開閉式 UK-UEV100SK3-HL
ダクト全体の直管相当長  = 6.1 + 5.9 + 6 × 0 + 1.5 × 3 + 18.4 = 34.8 m
(4) 必要静圧の計算
得られたダクト全体の圧力損失に10~20%の余裕を加味し、必要静圧とする。
必要静圧  = ダクト全体の圧力損失 × 1.2
          = (亜鉛メッキ鋼管 100φの風量 80.0 m3/h 時の摩擦損失率 × ダクト全体の直管相当長 ) × 1.2
          = ( 1.3 Pa/m × 34.8 m ) × 1.2  ≒  56 Pa
(5) 換気扇の風量の計算
三菱電機 「中間ダクトファン V-15ZMC6」 の 2方向吸込 P-Q線図 を参照し、風量を求める。

*7 給排気グリル  風量はグリルの風量調節による
■ まとめ
世帯人員が4人以下の場合、中間ダクトファンのみで24時間換気を行えば、必要換気量を確保できる。

世帯人員が5人の場合、中間ダクトファンのみでは必要換気量を確保できないので、レンジフードも24時間換気しなければならない。

ただし、暖房器具で火気を使用する場合は、必要換気量を別途計算しなければならない。

今後、浴室とトイレの換気扇を給排気グリルへ変更していく。
■ 注意事項
ダクト式換気扇の換気能力の検証(Excelファイル)は備忘録なので、このブログを参考にして起きた人的被害、物的損害については当方は一切の責任を負わないものとします。

参考にされる方は自己責任でお願いします。