世界平和組織「ワールド ペガサス」2
「やっほ…きたりえ」由紀は元気なさげに言った。ソファに座りながら体制をドアの方に向けていた由紀は体制を整えてどっしりと座って、ハァーっとタメ息をもらした。
「…ま~た落ち込んでんの?ほらまだ半年じゃんか」また落ち込んでいるのかと思った里英は由紀の頭をポンポン叩きながら言った。
里英は家が近くで昔からずっと一緒にいた大切な親友だ、二人で世界を平和にしよう!と熱く語っていたが二人とも試験に何回も落ちていた。だから二人が試験に受かった時は本当に嬉しくて二人で抱き合い泣きながら喜んだ。
お互い最初はどっちが先に出世するか勝負ねっと意気込んでいたが、今はかなり差を付けられてしまった。
2番隊、小嶋陽菜隊長率いる通称「ニャンニャン隊」に配属された里英は既に任務を7回もこなし、若手のエースと呼ばれている。
「いいよね~きたりえは任務にいけて~私なんて怒られてばっかりなのにな~」由紀はふてくされながら里英に言った。
「ほらゆきりんは1番隊だから仕方ないって、それに私の武器は銃なんだし、刀の方が扱い難しいでしょっ」里英は由紀の隣りに座りながらそう言うと「あっそうそう今日は報告あるんだよ私の!」と続けた。
「報告?また任務成功したって話じゃないの?」
由気は任務に行かせて貰える里英が羨ましかった。里英に任務が成功したと聞く度、親友として素直に嬉しく思ったがそれ以上に悔しい思いもしていた。
「違うよっ私ね~へへっついに力に目覚めちゃったよ」
「えっ本当に!?」里英の言葉に由紀は驚いた。
人間はある日ふと「力」に目覚める時がある、それは「特殊な能力が身に着く」という事だ。その力というのは人それぞれでその人によって目覚める力は違うといわれている。
その力に目覚めるのは自分自身を越える事が出来た時だと言われている。
里英はたった半年でもうそんな域まで達していたのか…
「本当?良かったじゃん!っで何の力なの?」由紀が里英に聞くと「朝一人で稽古している時に目覚めたんだけどね…へへっまだ内緒っ♪」と応えた。そして「ゆきりんが優子隊長に褒めて貰えるようになったら教えてあげる」と続けた。
「え~それじゃぁいつまでたっても…」由紀が残念そうに言うと「こら~弱気になっちゃダメでしょ!」と里英が言った。由紀は不服そうな顔をしている。
「それとっまた明日任務行かせてもらえる事になったから頑張ってくるね!」と里英は言うとドアを開けて出ていこうとした。ドアを閉めながら「あっそれと力に目覚めた事は皆にはまだ内緒ねっ」と言い人差し指を口の前に当てて出て行った。
正直悔しかった…親友にそこまで差をつけられた事に…何より自分の不甲斐なさに…なんで自分はいつまで経ってもこんなにダメなんだろう…こんなんじゃ里英は私からどんどん離れていくよ…
「ひっひぐ…ひっ」
由紀の目頭が熱くなり自然と涙がこぼれてきた…由紀は自分の膝にうづくまりひたすら泣いた。涙が枯れるまで…
「ゆきりん…」里英が部屋のドアの外側でもたれかかっていると由紀のすすり泣く声が聞こえた。里英はドアから離れ部屋の中を見るようにドアをじっと見つめた。
ゆきりん私ね知ってるんだよ、ゆきりんは悔しい思いをすると強くなれるって事、ずっと一緒にいたんだもん分かるよ…
すごく悔しい思いをしてる事、いっつも無理して笑顔を作ってる事、私の前ではいつも笑顔で涙なんて見せなかったよね…それと御免ねゆきりん、私嘘ついちゃった…本当は力なんて目覚めてないんだよ?御免ね…ゆきりんの為にって思って嘘ついたんだ…でも余計な事だったかな…?
「御免ね…でもゆきりんなら大丈夫だよね?…親友だもん分かるよ…」
里英は誰にも聞こえないくらいの小さい声でそう言うと組織の中の廊下を歩いていった。
続く