高校一年の3学期、
一番の思い出は予餞会。
我が1年5組の出し物は「土佐日記」だった。
脚本を書いたのは田代クン。
演出は山チャン。
本番より、そこに至るまでの稽古の日々が忘れられない。
一番の見せ場は女装。
演出の山チャン含め女子全員の企みは、クラスで目星をつけた男子に女装させること。
古典で習ったばかりの紀貫之の土佐日記、
これを面白可笑しく脚色してくれた田代クン。
そしてキャスティングは女装させたい男子ナンバーワンの栄誉に輝いた作見クンと福島クン。
あの滅茶苦茶な脚本で一体どういう展開で劇が進行したのか、今となっては思い出せない。
けれどはっきり覚えているのは、土佐日記の平安女子を見事に演じた二人が
自分たちの女装をまんざらでもなさそうに受け入れていたこと。
美しかったのだわ、本当に。ははは。
同窓会というものに、ほとんど行く気はしないけれど、
あの1年5組の同窓会なら行ってみたいと思う。
脚本を書いた田代クンが、卒業後、片手に風呂敷包みを持って母校の坂を下りて行くのを見た、
という噂を聞いたことがある。
頭が良かった彼は、九州大学に進学した。
今は、福岡県で大学教授になっている。