私は、まだ詐欺に引っかかったことがない。

詐欺関係の本はよく読んでいるし、人付き合いが少ないのでその手の話も来ない。

(ただ、まったく知らない方法で来られたら、私は単純なので簡単に引っかかりそうだ。)

※ もちろん、実態が分からない会社の投資話とかは信用しない。


ところで、銀行や証券会社に預けてある投資信託や株式は、分別管理してあるので安心という話だが、社長が引き出して会社の運転資金に流用したり持ち逃げした例もあるので、「絶対安心」という訳ではないようだ。(純金の保護預かりはどうかな ^ ^; )


こんなことやられたら、顧客は防ぎようがないのだけど、記憶にとどめるために記事のコピーを貼り付けておきます。



【丸大証券関係】

金商法違反容疑:経営破綻の丸大証券元社長ら逮捕

毎日新聞 2014年09月02日 12時16分

 顧客からの預かり金を信託銀行に信託しなかったとして、警視庁捜査2課は2日、経営破綻した「丸大証券」(東京都中央区)の元社長、井上雅照(60)=台東区東浅草1▽元役員で韓国籍の鄭真作(48)=神奈川県鎌倉市植木▽元経理担当社員、小川晴仁(54)=江戸川区南篠崎町1--の3容疑者を金融商品取引法違反容疑で逮捕した。いずれも容疑を認めているという。


 逮捕容疑は2012年2月、顧客の預かり金3億7000万円のうち、約3億円を信託銀行に信託しなかったとしている。約3億円は銀行からの借入金の返済に充てていたという。井上、鄭両容疑者の指示を受け、小川容疑者が帳簿を改ざんし、顧客の預かり金を少なく見せかけていたとみられる。

 12年2~3月に行われた関東財務局の検査で発覚し、今年5月に同局などが警視庁に告発していた。




【辞書の写し】



かり資産は、金融機関が顧客から預託 を受けた、株式・債券・投資信託・現金などの資産のことをいう。これは、銀行・証券会社・FX会社・商品先物会社などの金融機関が、顧客から預かっている資産のことを意味する。また、預かり資産の総額については、その金融機関の「顧客の規模」を示す指標としても見ることができる。
一般に預かり資産は、金融機関の資産とは別のものであり、
分別管理 することで保護されており、また預かり資産の種類や金融機関によって保護の仕組みが異なっている(例えば、証券業界の場合、日本投資者保護基金がある)。そのため、資産運用にあたっては、預かり資産の保護の仕組みをよく理解した上で、預かり資産の保護に不安(問題)のない金融機関を選択することが重要である。



分別管理は、「分別保管」とも呼ばれ、金融商品取引業者(金融機関)が投資家(顧客)から預かった資産と自社の資産を分けて管理(保管)することをいう。金融商品取引法 において、金融商品取引業者は、顧客から預かった有価証券(株式、債券、代用有価証券等)や金銭(代金、配当金、償還金等)を、金融商品取引業者自身の資産と区別して保管することが義務づけられている。これにより、顧客の資産は、金融機関の資産と明確に区別して管理されるため、万が一、金融機関が破綻したとしても、その預かり資産 は顧客に返還される仕組みとなっている。

例えば、証券会社の場合、株式や債券等の有価証券については、そのほとんどが保管振替機関である「証券保管振替機構(ほふり)」で保管され、帳簿上で証券会社の資産と顧客の資産が分別管理されている。また、有価証券などの買付けに充当するための金銭や、売却代金・償還金など一時的に預けたままになっている金銭については、信託銀行に「顧客分別金」として信託され、分別管理されている。なお、証券業界においては、この分別管理の仕組み以外に、証券会社の破綻など、万が一の返還に不足が生じた場合などに備え、日本投資者保護基金から顧客一人あたり1000万円を上限として、その不足額を補償する仕組みもあるので、セーフティネット(顧客の資産を保護する仕組み)は二重となっている。




【南証券関係】


※ 南証券の元社長は懲役11年なので、もうそろそろ釈放されるのでしょう。

   一生かけて貯めたお金を根こそぎ奪い取られたら、殺されたのと一緒。

   詐欺に対する刑罰は甘いと思う。

   こういう輩は、また何をするかわからないので、世の中に出さないで欲しいですね。 

  





[new]
2003年9月5日
南証券元社長平田浩一、沖縄で別の詐欺事件で逮捕

「南証券」から、約32億円分の有価証券が持ち逃げされた事件で、警視庁から指名手配されていた元同社社長、平田浩一容疑者(37)を沖縄県警宜野湾署が別の詐欺容疑で逮捕していたことが分かった。警視庁は沖縄県警の捜査を待って、身柄の引き渡しを受けて業務上横領容疑で逮捕する方針。
平田容疑者は2002年7月から2003年3月にかけて、「ホームページを格安で登録する」と虚偽のメールを配信し、東京、神奈川、埼玉の3都県の会社経営者ら7人に7万~10万円を銀行口座に振り込ませ、約62万円をだまし取った疑い。
平田容疑者は偽名を使っていた。同署は余罪を追及しており、被害は全国20都道府県以上、被害総額は3000万円にのぼるとみられる。


2003年10月25日
南証券元社長ら、業務上横領容疑で逮捕

「南証券」から有価証券約28億円分を持ち逃げしたとされる業務上横領事件で、警視庁捜査2課は24日、沖縄県警から身柄の引き渡しを受けた、元同社社長、平田浩一被告=詐欺罪で既に起訴=と、会社社長、井上征容疑者(65)を業務上横領容疑で逮捕した。警視庁は群馬県警などと合同捜査本部を設置し、南証券破たんをめぐる一連の事件の全容解明を目指す。


2004年1月13日
南証券元社長ら、起訴事実認める

顧客の有価証券約28億円分を持ち逃げしたとして業務上横領罪に問われたの元社長、平田浩一被告と会社役員、井上征被告は13日、東京地裁(松田俊哉裁判長)の初公判で起訴事実を認めた。


2004年2月6日
平田浩一・南証券元社長再逮捕、佐々木徹、森公孝を逮捕
投資名目詐欺容疑、一部、会社買収資金に

警視庁捜査2課は5日、無届けのうえ実体のない投資顧問会社名で金融商品を販売し、顧客から約1億1000万円をだまし取ったとして、「南証券」(前橋市、00年3月破産)元社長の平田浩一被告(38)を詐欺容疑で再逮捕し、新たに元役員、森公孝(57)=東京都板橋区小茂根1=と佐々木徹(45)=世田谷区等々力1=を逮捕した。平田容疑者は600人以上から計約18億円を集め、一部は南証券の買収資金に充てていた。逮捕された調べでは、平田被告は自分がオーナーだった投資顧問会社「グース・アンド・グリドアイアン(G&G)」社で、98年8月ごろから「英領のタックスヘイブン(租税回避)地域で投資運用益を管理し、日本の不動産などに投資する。元本は保証される」との触れ込みで金融商品の販売を始め、約600人から約18億円を集めたとされる。同課はうち1億円が詐欺にあたると判断した。
G&G社の本社はニューヨーク市としていたが、同市には登記もなく、実際には東京都港区に事務所を置いていた。
さらに平田被告は集めた金のうち、約3億5000万円で南証券を買収。同証券のペーパーカンパニーの社債販売で得た資金をG&G社の投資家らへの償還金などに充てていた。このため、99年12月、関東財務局から社債の募集中止処分を受けていた。



投資装い18億円詐取…南証券元社長きょうにも再逮捕
(読売新聞2004年2月5日3時10分更新)


 顧客の有価証券約28億円分を持ち逃げしたとして業務上横領罪で公判中の「南証券」(2000年3月破産)元社長平田浩一被告(38)が、同社の社長に就任する前に、実態のない金融商品を販売して、金をだまし取っていた疑いが強まった。警視庁捜査2課は5日にも、平田被告を詐欺容疑で再逮捕する。

 被害は、全国で約600人、総額18億円にのぼる。平田被告は、だまし取った金の一部で南証券を買収しており、捜査2課でその他の資金の流れを追及する。

 再逮捕の直接の容疑事実は、平田被告が顧客数人から計約1億円をだまし取ったというもの。1998年8月ごろから、自分が実質上の代表者だった投資会社「グース・アンド・グリドアイアン(G&G)」で、運用する気がないにもかかわらず、「元本確保」「高利回り」などをうたった金融商品を販売した疑いが持たれている。

 同社は登記上の本店を「米ニューヨーク」としていたが、現地には実態がなく、東京都港区のビルの一室に事務所を置いていた。

 また、犯行の発覚を遅らせるため、販売当初は、金利などと称して、だまし取った金のうちの計数億円を支払っていたほか、経済紙に紹介された記事のコピーを顧客に送ったり、芸能人を使った新聞の折り込み広告を配布したりして、信用させていたという。

 同社は2000年6月、東京地裁から破産宣告を受けたが、破産直前には、顧客に対し「預かった資産は行方不明になった」などとする通知書を送付していたという。

 平田被告は98年10月ごろ、テレビや雑誌で、「G&Gが証券業の免許も得ないまま、金融商品を販売している」などと、取り上げられたことに危機感を抱き、追及をかわすため証券会社の買収を計画。そして、翌年3月、だまし取った金のうち3億5000万円を使って、当時、経営難に陥っていた前橋市の地場証券「南証券」を買収した。


記事に見るG&G社の動き
●実は2年前に金融監督庁が怪しいとにらんでいた
金融監督庁などによると、投資顧問会社「グース・アンド・グリドアイアン」(以下・G&G社)は1998年8月、外国投資信託商品「イマージング・ジャパン・ファンド」を募集。同ファンドは1~5年満期で元本保証型の円建て商品。「年4.8~6.8%の高利回りを保証。優良不動産を担保としたベンチャーキャピタル投資で運用する」と説明していた。
同庁は、G&G社が証券投資信託法で定められた登録をしていなかったため、同年12月に事情聴取。G&G社側は「不動産中心の投資信託であり、証券投信法の規制は受けない」と主張。しかし、10月から運用開始予定なのに12月時点でファンドの中身を設定していない、募集した資金をニューヨークの信託会社に送金していないなどの事実が判明。同庁は「投資家が誤解する」と、G&G社に同ファンドの販売中止を求め同社は「中止する」などと説明したという。(東京新聞2月29日)

●金融監督庁の注意処分を無視
金融監督庁の「不動産などに運用するG&G社の商品は投資信託に当たらない」との注意処分に対し、平田社長は支社長を知人に代えて商品の販売を南証券破産直前の今年2月末まで続けた。(毎日新聞5月3日)
平田は、1999年3月まで、G&G社の日本代表を努め、その後は南証券の札幌支店長(注・佐々木徹)が代表を兼務。(読売新聞3月16日)

●平田、南証券を買収
平田社長は1999年6月、同社株の74・9%を取得して社長に就任、同11月に札幌支店を新設した。(毎日新聞4月26日)
1999年3月、9期連続赤字だった南証券を、平田は3億5千万円で買収し、役員を刷新。(読売新聞3月12日)

●札幌で、G&G社と類似の社債を販売
南証券は1999年12月、6.8%~4.5%の高利回り保証をうたったグループ会社発行の社債「ミナミ・ハイイールド・ボンド」を、証券取引法の手続きを行わないまま募集。金融監督庁から(12月14日)販売延期命令を受けたが、その後も顧客に社債を販売し、合計2億円の代金を集めた疑いも持たれている。(東京新聞4月27日)注・ちなみに、南証券札幌支店の支店長は佐々木徹です。
2月21日、命令を無視されたことを知った監督庁と財務局は、立ち入り検査にはいったが、すでに2億円は南証券の口座から消えていることがわかった。(読売新聞3月12日)

●南証券に業務停止命令
2月28日、金融監督庁は、南証券に業務停止命令を出した。

●証券取引法違反容疑で告発される
南証券札幌支店では、1999年11月から、関連の不動産会社「南土地建物」(東京都港区)など3社が発行した社債「ミナミ・ハイイールド・ボンド」を無届けで募集した。同12月、同庁から販売延期命令を受けたが、その後も販売を続け、北海道を中心に顧客約50人から計約2億円の代金を集めた。また信託銀行の口座に分別管理しなければならない顧客からの預かり金数億円を流出させた疑いも持たれている。このため関東財務局が3月14日、証券取引法違反容疑で警視庁に告発していた。
同社をめぐっては、金融監督庁が2月、札幌支店に対し、社債の無届け販売が証取法違反に当たるとして3カ月の業務停止命令を出した。また証券取引等監視委員会も3月、社債発行会社の実態を明らかにしないまま誤解を与えるような勧誘資料で詐欺的な募集を行ったとして異例の勧告を行っている。(毎日新聞4月27日)

●G&G社の所在不明
G&G社は2月末、東京六本木の事務所を突然閉鎖。その後、「事業を西新橋にある南証券の子会社に統合した」「南証券と平田社長を通じて資産が行方不明になった」と投資家に通知表を相次いで送り付けた。
しかし、通知にある住所に南証券やその子会社はない。(読売新聞3月16日)

●平田は有価証券を持って逃亡
金融監督庁は3月6日、南証券を約3億6000万円の債務超過と認定し、東京地裁に破産申し立てを行い、同3月21日、同地裁で破産宣告を受けた。この過程で顧客からの預かり資産など計約7億3000万円の使途不明金も発覚した。
宣告前に、平田社長は今3月6日夜から7日朝までの間、港区内の同証券東京支店第二分室で、顧客から預かり資産の株券、転換社債などの有価証券(時価約30億円分)を持ち出したまま、行方をくらまし、株式などの所在が分からない異例の事態になった。このため、同証券の保全管理人が同月8日、窃盗の疑いで平田社長を警視庁に告訴。その後、捜査二課が容疑を業務上横領に切り替えて受理。(東京新聞4月26日)

●不明株券、関西で換金されかかる
ある証券会社によると、3月15日午前、兵庫県姫路市の同社支店に「担保して預かっている株を売却したいが、可能か」との電話での問い合わせがあった。株券は3銘柄4000株。同社が株券の番号を調べたところ、所在不明の有価証券の1部と確認されたため、取引を断った。
また、別の関係者によると、3月10日には大阪府内の大手証券会社支店に男性客が訪れ、不明の株券の1部時価数千万円分を持ち込み、売却を依頼。しかし、不明株券の一部とわかり、取引は行われなかったという。(東京新聞3月17日)

●南証券と役員が告発される
金融監督庁と関東財務局は、3月14日、証券取引法(公募債の届け出、分別管理)違反の疑いで、法人としての南証券と、役職員らを警視庁捜査2課に告発、同課は受理した。
告発状などによると、南証券は昨年12月、高利回り保証をうたったグループ会社発行の社債「ハイイールド・ボンド」を証取法で定めた手続きを行わないで募集。監督庁から販売延期命令を受けたが、命令後も顧客に販売を続け、やく2億円分を売った疑い。また顧客から信託を受けた現金資産約12億円について、証取法で定められた分別口座での管理を怠って4億円分を流出させた疑い。(東京新聞)

●証券監視委の勧告
証券取引等監視委員会は、3月15日、南証券の関連会社が発行した社債「ハイイールド・ボンド」を「詐欺的商品」と断定、証券取引法違反(偽計を用いた有価証券の募集)に当たるとして、法人としての南証券と平田社長個人について行政処分するよう監督庁などに勧告した。
関連会社3社(注・南インベストメントもその一つ)には、会社としての実体がなかったり、社長が社債発行を把握していないケースもあり、集めた資金の運用もせず、社債発行元の関連会社への入金もなかった。(東京新聞3月16日)

●南証券の証券業登録が取り消される
金融監督庁と関東財務局は、3月6日に、顧客の資産保全のために、南証券の破産を申し立てていた件で、3月17日南証券の証券業登録が取り消された。(東京新聞)

●南証券の破産決定
東京地裁は、3月21日、債務超過に陥り、社長の平田が32億円分の有価証券を持ったまま行方不明になっている南証券の破産を決定した。信用調査会社の帝国データバンクによると、負債総額は預かり資産約130億円を含め180億円。(東京新聞)

●南証券事件で、監督庁と警察に不手際?
3月16日の参議院財政金融委員会で、共産党の池田幹幸議員が、質問。金融監督庁は、販売停止にした社債が販売されていることを知るのは2月21日。その後のチェックを怠った監督庁の責任は重大。また、7日午前中に東京支店長が、平田を告訴したが、愛宕署は受け取りを拒否。警察がすぐに動いていれば顧客からの財産は守れたはずと、池田議員は警察の対応を追及。(赤旗新聞3月19日)

●投資者保護基金による返還が始まる
南証券との取引で損害を受けた個人投資家に対し、「日本投資者保護基金」が4月17日から、総額30億円の返還を始める。しかし、「ハイイールド・ボンド」への投資金については、当面、返還の対象外となる。この債券の販売が帳簿に記載されておらず、証券取引法上の保護対象からはずれたため。(読売新聞4月15日)

●業務上横領容疑で家宅捜査が入る
東京地裁から破産宣告を受けた「南証券」(本店・前橋市)の平田浩一社長(34)ら複数の役員が、顧客から預かっていた約32億円分の有価証券を持ち逃げし、一部を着服した疑いが強まったとして、警視庁捜査2課は4月26日、業務上横領容疑で同社本店など十数カ所を家宅捜索、本格捜査に乗り出した。同社は、関東財務局から証券取引法違反容疑で告発されており、同課で経営実態の解明を急いでいる。(毎日新聞4月27日)

●前橋本店も家宅捜索
警視庁捜査2課は27日午後、業務上横領容疑で前橋市の南証券本店の家宅捜索を始めた。同課は26日に東京都港区の同社東京支店など十数カ所を捜索しており、今後、押収した資料を分析するとともに、行方が分からなくなっている平田社長の所在確認を急いでいる。 これまでの調べでは、平田社長は今年3月6日から7日にかけて、顧客から預かった約32億円分の株券や転換社債を東京支店から無断で持ち出し、一部を証券会社に持ち込むなどして着服した疑いが持たれている。(日経新聞4月27日)

●G&G社ニューヨーク本社は存在せず
「南証券」(本店・前橋市、今年3月破産)の平田浩一社長(34)が、投資顧問会社をニューヨーク市に設立したように装って、首都圏の投資家ら約500人に計約10億円の実体のない投資信託商品を販売していたことが2日、毎日新聞の調べで分かった。
南証券の平田浩一社長(34)が設立した「グース&グリドアイアン(G&G)社」の本社は、米国証券業協会への届け出や登記もない全くの架空会社だった。4月中旬の午後、パンフレットなどで本社所在地とされているニューヨークの超高層マンションを訪ねた。マンハッタン島北東部の高級住宅街「アッパーイースト」。本社所在地とされる部屋は46階の「46G」。ドア係は「うちは会社事務所は入居させていない」とそっけない。フロント係の男性は「だれかが住んでいるのは確かだが、会社事務所ではない」と断言した。
ニューヨーク市法務局に問い合わせたところ、G&G社という名称の商業登記簿は存在しなかった。また、米国証券業協会への投資信託会社としての届け出がなく、同市内での電話番号登録もなかった。G&G社の姿は結局、影すら見えてこなかった。(毎日新聞5月3日)

●うその「資産保全通知書」を発送
「南証券」(本店・前橋市、今年3月破産)の平田浩一社長(34)が設立したとされるG&G)社が今年3月、東京都内の弁護士事務所名を無断で使って被害者の投資家約500人に対し、うその「資産保全通知書」を発送していた。「資産保全に全力を傾注する」などと書かれており、被害の表面化を遅らせようと偽装したとみられる。
3月10日すぎ、投資家全員に港区の弁護士事務所と所属の弁護士2人の名前で「資産保全通知書」と称する書面が届いた。通知書では、南証券が裁判所から保全処分命令を受けたことを「大変迷惑をかけた」と謝罪。そのうえで、「資産の保全は下記弁護士が担当しておりますが、近日中に詳細をご報告いたす所存」などと記して、弁護士のもとで資産の保全ができているかのように装っていた。
弁護士事務所によると、G&G社の関係者が通知書が発送される直前の3月9日、顧問就任などを依頼してきたが、すべて断っていた。このため、この通知書についてG&G社に説明を求めたところ、無断で名前を使用したことを認めたという。(毎日新聞5月8日)

●G&G社の支払いがストップ
G&G社の契約を引きついだ「南インベストメント」は、実体のないペーパーカンパニー。ここが前者の契約を引き継いだことになっているが、3月に予定されていた元本や利息の支払いがストップしており、会社側との連絡が取れない状態だという。(読売新聞3月12日)

●暴力団との関係??
平田は、学生時代に国際情報誌を発行するベンチャー企業を設立したが、94年に倒産。その際、知人の名義で借金をし、赤字の穴埋めにつぎ込んでいたことが発覚し、民事訴訟を起こされたこともある(新聞記事からは誰のお金を赤字の穴埋めにつかったのか?)。その後しばらく、ビジネスの表舞台から姿を消していた。2月、読売新聞の取材に、「借金の返済に追われ、暴力団の取り立ても連日のように受けていた」と話した(記事からは、借金の取り立てがいつのことなのか断定しがたい)。(読売新聞3月12日)
主がいなくなった南証券では、幹部の一人が「社長のもとには、暴力団風の男も来ていた。そんな人がどうして証券会社の社長になってしまったのか。まったくわからない」と語った。(読売新聞3月12日)
一部報道で、事件の背景に暴力団や右翼のカゲがちらついているということに対し、同社代理人の弁護士が、新聞社に虚偽の中傷記事だとして、抗議文を送っている。南証券の不明株券は、証券業協会が事件のお触れを回しているので換金はできない。しかし、暴力団系金融機関ならいくらでもできる。そっちに持ち込む可能性が高いと、証券関係者は見ている。(実業界2000年5月号)

●南証券買収に際しての疑惑
南証券を買収した1999年3月、南証券の発行株式の総数の75%に当たる約22万株を3億7500万で譲り受け筆頭株主に納まったが、本件について大阪の広域暴力団のフロント企業から、約4億円以上の資金が平田社長に融資された。買収時には、平田は妻の姓の小川を名乗っていた。(弁護士青木達典ホームページ 4月10日掲載)(注・その後、小川夫婦は離婚し、再婚して夫婦共に平田姓を名乗る)

●G&G社の資金が南証券買収に使われたのか
南証券を買収した資金の一部がG&G社が投資家から集めた資金だった可能性も十分考えられる。(実業界2000年5月号)

●平田が持ち逃げした中にG&Gの資産は混ざっているのか
監督庁と関東財務局は、今回の検査で、消えた子ッ客の資産とG&Gの間に関係がないかどうか調べたが、検査できたのは南証券だけ。G&Gはもちろん、問題の社債を発行したグループ企業を調べることもできず、検査は暗礁に乗り上げた。平田社長は、「口座の管理担当者が病気なので、金がどこに行ったかわからない」と検査官に弁解した。(読売新聞3月12日)

●投資資金の回収見込みは
民事的には、南証券は破産手続き中であるから、管財人が債権債務を調査した結果、各債権者(つまり殆どが投資家)に配当されることになる。行方不明となっている有価証券は、すでに6分の1程度でヤミ(香港で捌かれている説あり)に沈んでおり回収は不可能と予想される。民事的には、南証券に預託した投資家は救済されないのではないかと危惧される。(弁護士青木達典ホームページ 5月2日、7日掲載)

●事件の背景にある金融行政の問題点
金融ビッグバンのため、規制緩和がなされ、私募債などについても一定規模のものは条件さえ整っていれば、自由に募集できることとなった。そのため行政当局は事後チェックしかできない。今回の南証券事件は金融行政が事後チェック型に転換したことにつけ込んだケースである。(弁護士青木達典ホームページ 5月7日掲載)
98年6月以降、各金融機関は自由に事業を展開できるようになり、問題商品も出回るようになった。金融監督庁にも金融機関からの情報が自動的に入ってこなくなった。国内では、外資系も含めて290の証券会社が営業しているが、250人の検査官しかいない同庁は、定期検査だけでも四苦八苦している。同庁幹部は「投資家の知識のなさにつけ込むような詐欺まがいの金融商品は今後も増えるとみられるが、現状ではそのすべてを把握するのは不可能」という。また、同庁には、外国企業に対する監督権限がなく、行政指導はおろか、満足な調査もできない。(読売新聞3月12日)

●個人投資家を騙すのは簡単?
証券関係者によれば「南証券の問題社債はいわばプリンストン債の個人番。簡単にいうならまったく裏付けのない私募債を安全、有利とうたって不特定多数の個人投資家に販売したもの。プロの証券マンなら詐欺まがいの販売とすぐにわかるシロモノ。でも、プリンストン債で有名企業がころりと騙されているのを見てもわかる通り、証券会社側に騙そうという気さえあれば個人投資家はひとたまりもなく騙されてしまうでしょうね」(実業界2000年5月号)

●平田浩一に逮捕状 警視庁捜査二課は 22日までに、南証券の平田浩一社長(34)が顧客の有価証券約30億円分を着服 したとして、業務上横領容疑で逮捕状を取った。同証券では顧客などの資産計約41億円余が不明で、同課は3月から失そうしている平田社長の行方を追っている。
同課のこれまでの調べで、有価証券の一部が3月中旬、平田社長と別の男によって大阪の大手証券会社に持ち込まれたほか、別の男が都内の金融会社などに「時価の三割で買わないか」と 持ちかけていたことも判明している。
(この記事は、共同通信の配信を受けた日経新聞にも掲載されたが、朝日、毎日新聞では報じられていない。毎日新聞記者によれば、逮捕状をいつ取ってもおかしくない状況にあるが、まだその事実は確認されていないという)(読売新聞 6月23日)

●行方不明の南証券社長に逮捕状
警視庁捜査2課は9月12日、業務上横領容疑で南証券の平田浩一社長(34)の逮捕状を取り、近く全国に指名手配する方針。(NHK・毎日新聞)