「〇〇時の電車で帰るからね」
帰り時間を伝える所などはとても律儀で、私達家族も安心して長男の帰りを待ちました。
ところが帰ってきた長男は、心配そうな顔をしています。聞くと、ハピラインとIR。違う路線を使うから、スマートICOCAが上手に使えなかったようです。乗り換えの時は、同じホームに電車が着ても、一度改札を出てから乗り換えなければならくて、そのことをわからなかった長男は、そのまま改札を通さずに帰りの電車に乗ったそうです。
長男はその日のうちに、スマートICOCAを直そうとしていました。しかし、もう時間は遅く、今から駅に行くことは難しい状況でした。
私達の様子を見ていた主人が
「明日駅に行って、素直に話してこい!」
と、言います。私はなんとか無理をすれば、行けるから行こうと思っていましたが、主人は、
「自分で説明して、その分の料金を払えば大丈夫だから。乗り換えのことを知らなかったのは、長男だろ。」
と、私にまで厳しく言います。私は諦めて、長男にも(素直に言えば、大丈夫だから)と伝えました。
一晩寝て気持ちが落ち着いたのか、長男は昨日のような心配した様子はなく、
「まあ、駅員さんに話してくるから」
とだけ言って家を出ました。長男が行って、しばらくしたら主人が、
「あいつ、大丈夫かな…」
と、話してきます。やっぱり主人も心配だったんだわ。それでも、あえて社会勉強と厳しくしなければならなかったお父さんの愛情なんだわと、主人の思いに気が付きました。
「素直に話しておいでって見送ったから、大丈夫やって。」
今度は逆に、長男を信じて私が主人に話しました。
帰ってきた長男は、にこにこした笑顔で、駅での様子を話してくれ、私たち夫婦はほっと一安心です。「素直が何よりや」と長男を褒めました。
十分に愛された子どもは、人が生まれながらに持っている力を発揮し、社会に出ればそこでまたいろいろな恩愛を受けてルールを学んでいきます。これから先も子どもを信じて良い芽をのばしていけるような親になりたいです。