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ある思い出
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毎朝 元気の源を頂いている何時もの通勤農道では田植えが終わり
頼りなげに見えていた稲の苗も田圃の土壌にすっかりと根を張り
若武者の如くピンッと真っ直ぐに天に向かって伸び頼もしげに
風になびいています
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日に日に成長していく苗を眺めるのは何よりもの喜びです
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米と言う字は 八十八と書きます
収穫を迎えるまでお百姓さんは田圃を這い回り八十八もの工程を
愛情を持って遂げる事により初めて美味しい米の収穫が望めるのです
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本物のおにぎりを食べた事が有りますか?
お母さんが愛情をこめて握ってくれた「おにぎり」勿論美味しいですし
本物です
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私が若かりし頃のある晩秋 富山の友人を訪ねた時彼のお母さんが
丹精を込め収穫したばかりの天日干の籾をわざわざ玄米に挽いて
白米にし昔ながらの釜戸と刃釜で炊いた炊き立てのご飯を
おにぎりにして出してくれました
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農家としての最高のもてなしで迎えてくれたのです
荒塩でにぎっただけのシンプルなものでしたが 余りにもの美味しさと
お母さんの心からの「おもてなし」に涙を流しながら頂いたことを
思い出しています
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母親としての限りない愛と優しさ
そして農耕民族である日本人としての誇りをそこに見たのです
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お母さんの最愛の息子はその後大学教授となりますが これからと
言う時に病に倒れ若くして亡くなってしまいます 掛け替えのない
友人を亡くしこの世の無常と言うものをつくづくと思い知りました
お母さんを見送ってから亡くなったのがせめてもの親孝行・・・
<3月18日“加賀百万石”で書いた亡くなった富山の友人の事です>
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シトシトと降る雨は ただ眺めているだけで人の心を色々な場所へ
いざなってくれるのです
・・・ただそれだけの事です
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