ご訪問ありがとうございます
ある日の患者さんとのやり取りです。
「先生、調子悪いんです。熱があって、のどが痛くて、咳が出て。あ、そうそう、最近眠れないのよね。だからか頭痛や肩こりもひどくて。忙しすぎるからかしら?ストレスで食べ過ぎて太っちゃって。糖尿病も心配だわ。糖尿病の家系だしね。」
患者さんがおっしゃいました。
患者さんのお話はまだまだ続きます…。
とりあえず、たくさんの情報ありがとうございます。
患者さんの症状など
診断に結び付く情報はとても大切なので
お話しいただくことはとても重要です。
ですが、この患者さんの場合は情報が多すぎでした。
頃合いを見計らって
「いろいろお困りのようですね。」
このようにお返事します。(症状の宝石箱や!なんて言っては怒られますよね。)
ですが、患者さんからの情報が多すぎて
これでは何から進めて差し上げたらよいかが決まりません。
もう一度改めてお訊ねします。
「今日、受診された一番困った症状はどれですか?」
「そうね。のどの痛みかな。飲み込むのもつらいのよね。」
と、患者さんは答えられました。
「では、熱やノドの痛み、咳を中心に診察や診断を進めますね。」
…診察の結果
扁桃に白苔(白い膿)が付いていて
急性化膿性扁桃炎と診断、治療しました。
「ほかのお困りの症状は症状が治まったらじっくり診察や検査をしましょう。今日は点滴をして、お薬を処方しますからね。それを飲んで、のど越しの良いものを食べてしっかり休んでくださいね。」
ということにしました。
お困りの症状を言ってくださるのは
診断に不可欠で大変ありがたいのですが
あれもこれもと多すぎると
何に焦点を絞って診察や検査をしたらよいかがわかりにくくなります。
医師は、問診をで得た情報を
・重篤性(重症か軽症か)
・緊急性(急ぐか急がないか)
で優先順位をつけて詳しい情報をお訊ねしたり
診察、検査を進めていくので
より重症でより緊急なものから優先して
対処するようになります。
その様なわけで、とりあえずは言っていただくとしても
医師の判断で情報として
参考にするものは限られる場合があるのだ
ということを、知っておいていただきたいなと思います。
ですので、お困りの症状のすべてを
一度に解決できないことがあります。
そこも、ご了解いただけたらありがたいです。
ですが、ご本人が大したことはないと思っている症状の中に
重要な疾患のサインが隠れていることがあるので
とりあえずは、ご自身の中での症状のひどい順など
優先順位の高いものから
お話しいただくのが良いと思います。
医師のほうでお話を聞きながら、考えられる病気を想定し
質問や診察、検査を行っていきますので。
だから、「どうせ診てくれないから言わない。」
なんて言わないでくださいね。
患者さんからの症状などの情報は医師にとっての
宝石箱ですから!ということで
ご理解いただいて、ご協力お願いできたらなと思います。