日本における「墓じまい」とは、使用していない墓地を撤去し、遺骨を移動させることを指します。これは、継承者不在、後継者の高齢化、あるいは都市部への移住など様々な理由で増えている現象です。墓じまいの手順は以下の通りです。
- 墓地の確認: 所有権や使用権がある墓地であるかを確認します。
- 遺骨の扱い: 遺骨をどのように扱うかを決定します。納骨堂への移動、合葬墓への移動、散骨、自宅への持ち帰りなど、様々な選択が可能です。
- 関係者の同意: 家族や親族の同意を得る必要があります。
- 墓石の撤去: 専門業者に依頼して墓石を撤去します。
- 墓地の復旧: 墓地を元の状態に戻す作業を行います。
相場は地域や業者、墓石の大きさ、墓地の条件などによって変動しますが、一般的には数十万円から数百万円程度が目安です。具体的には、以下の費用が考えられます。
- 墓石の撤去費用: 10万円から30万円程度
- 遺骨の移動費用: 納骨堂や合葬墓への移動であれば5万円から20万円程度
- 墓地の復旧費用: 数万円から数十万円程度
これらに加えて、新しい納骨場所の費用や、散骨にかかる費用が別途必要になる場合があります。
墓じまいは複雑な手続きが伴うため、専門の業者に相談することをおすすめします。また、自治体によっては墓じまいに関する補助制度がある場合もあるので、事前に確認しておくと良いでしょう。
お墓じまいとは、墓石を撤去し、墓所を更地にして使用権を返還することです。
お墓に納められているご遺骨を勝手に取り出して別の場所に納骨したり、廃棄したりすることは法律のもとできません。行政手続きが必要です。その後に新しいお骨の納骨先をご用意するまでを含めてお墓じまいと考えられることがほとんどです。
近年、地方の過疎化や少子化などの影響もあり、継承する方がいない無縁墓が増えています。
また「子どもに負担をかけたくない」、「お墓が遠方にありお墓参りが難しい」、「夫婦それぞれの実家のお墓を守るのが大変」など供養に関する価値観の変化から、お墓じまいを検討する方が増加しています。
1.親族間で相談し、事前に同意を得る
お墓じまいをする際は、後にトラブルにならないよう、親族間で事前に同意を得ておくことが重要です。費用負担やお墓じまい後のお骨の供養方法についてなど相談が足りないとトラブルになる事例があります。
2.改葬に必要な手続きや書類を確認する
自治体によって改葬の手続きが異なるため、現在の墓地所在地の役所で改葬に必要な手続きや書類を確認します。各自治体のホームページでも確認可能です。
お墓じまいと同義にされることも多い、「改葬」について、意味を解説いたします。
改葬とは、現在の墓所からご遺骨を取り出し、別の墓所に納骨をすることを言います。お墓のお引越しともいわれます。 ご遺骨を別の場所に納骨する際は、事前に行政手続き行い、「改葬許可証」を取得する必要がございます。
お墓じまいと改葬は1セット?
墓石を撤去した後に、取り出したご遺骨を改めて供養(納骨)する必要がございます。 そのため、お墓じまいと改葬は同時に考える必要があります。
3.墓地管理者へ改葬の意志を伝える
墓地管理者にお墓じまい・改葬の意志を伝え、「埋蔵証明書(埋葬証明書)」の発行を依頼します。
※埋蔵証明書(埋葬証明書)…現在の墓地にご遺骨が納骨されていることを証明する書類。(「改葬許可証」取得の為必要です。)
代々檀家としてお世話になった寺院墓地のお墓じまいの場合には、のちにトラブルにならないよう、事情や理由を丁寧に伝えることが大切です。
墓地管理者は、寺院墓地の場合はご住職。公営・民間霊園の場合は霊園管理事務所。共同墓地の場合は墓所の管理組合が設置されていたり、地域住民により当番制になっていたりする可能性があります。
※墓地管理者が不明な場合は、墓地所在地の自治体の役所に問い合わせをし、対応を確認するとよいでしょう。
埋蔵証明書は無料から。自治体により異なります。
【お布施費用・離檀料相場…無料~20万円】
基本的には普段の法要の金額と同額程度で問題ないとされていますが、寺院によって異なります。
寺院墓地の場合は離檀料が発生する可能性もございます。地域やお付き合いの度合いによって異なりますが、通常の法事・法要等で包む金額の2〜3倍程度が目安と言われているようです。
離檀料は法律で決まりはなく、支払いの義務はございませんが、今までお世話になったお礼の気持ちとしてお渡しするのが慣例です。
なお、墓所の使用権を返還しても、永代使用料は返還されません。ご注意ください。
4.新しい納骨先を決める
お墓じまい後のご遺骨の新しい納骨先について検討します。ご遺骨は勝手に廃棄したりすることは法律のもとできないためです。近年、永代供養が人気があります。
永代供養とは、供養料を事前に一度支払えば、寺院などでご遺骨を預かり、文字通り「永代にわたって」供養してもらえることをいいます。宗旨・宗派に関係なく申込みが可能であることが多い他、身内や後継ぎのいない方でも申込み可能であることが特徴です。
新しい納骨先と契約を完了し永代使用許可書を得た後に、新しい納骨先に「受入証明書」の発行を依頼します。
※受入証明書…他の墓所から取り出したご遺骨の受け入れを証明する書類。(「改葬許可証」取得の為必要です。)
【費用相場…5万円~250万円】
納骨タイプなどにより異なります。はせがわでは無料相談・見積り可能です。
5.改葬許可証を取得する(行政手続き)
現在の墓地所在地の自治体(役所)から「改葬許可申請書」を取得し、必要事項を記入します。
※改葬許可申請書…改葬許可証発行の為に、改葬申請者や埋葬者等の情報を記載する書類。
※改葬許可証…ご遺骨を現在埋葬・収蔵している墓地から他の墓地へ移す際、必要となる書類。現在の墓地所在地の自治体より発行されます。
改葬許可申請書は役所で直接受け取るか、自宅まで郵送を依頼できる場合もあります。また、自治体によってはホームページから印刷することも可能です。
改葬許可申請書に、埋蔵証明書(埋葬証明書)と受入証明書を添えて、墓地所在地の役所へ提出すると「改葬許可証」が発行されます。
~改葬に必要な書類と発行依頼先~
ご遺骨を散骨する場合や手元供養として納骨しない場合、改葬許可証は不要ですが、自治体によって対応が異なるため、役所に確認されることをおすすめいたします。
【費用相場…数百円~1,500円】
改葬に必要な「埋蔵証明書(埋葬証明書)」「受入証明書」「改葬許可証」発行には数百円~1,500円程度必要です。
6.墓石の閉眼供養(魂抜き)、ご遺骨の取り出し
墓石解体・撤去の前に法要を実施いたします。お墓の魂抜きである閉眼供養です。事前にご住職にお墓の閉眼供養を依頼する必要があります。
【閉眼供養相場…3万円~10万円】
お寺様へ要相談。
7.墓石の撤去・解体工事、使用権の返還
ご遺骨の取り出しは自身で行うことも可能ですが、かなりの力仕事になるため、墓石の解体工事を担当する石材店に依頼するのが通例です。
事前に石材店から墓石の撤去・解体工事の見積もりを取得し、依頼先の決定、日時の打ち合わせをしておきます。寺院墓地によっては石材店が指定されている場合もあるため、事前にご住職に確認しましょう。
基本的には、墓石だけでなくお墓の基礎(土台)も解体し、更地に戻してから墓地管理者に返還します。お墓が遠方の場合は閉眼供養と同日に実施するのがおすすめです。ご住職、石材店と事前に時間の相談をしておく必要があります。
【費用相場…20万円~】
「墓石の処分にかかる費用+区画を更地にする費用」で1㎡あたり10万円〜15万円程度の費用が必要です。 さらにお骨の取り出しを石材店に依頼する際は、別途作業料(3万円~5万円程度)が発生いたします。
工事機材が入れない墓所の場合(通路幅が狭い、山奥にある等)、作業を人力で進める必要があるので料金が割高になることがあります。
また、費用が安すぎる場合も、注意が必要です。墓石は産業廃棄物として適切に処理する必要がありますが、過去には違法業者による不法投棄のトラブルも発生しています。
このようなトラブルを回避するためにも、基本的には解体工事の実績が豊富な石材店に依頼しましょう。 はせがわでは、無料でお見積り可能です。
お骨が浸水していたり、汚れが付着している場合、衛生的観点から洗骨を行う必要がある場合もございます。費用目安1万円~3万円程度。
ご遺骨が土葬されており、お骨の原形が残っている場合は、再火葬が必要です。費用目安3万円程度。
8.ご遺骨の受け入れ先に納骨
ご遺骨の受け入れ先(新しい納骨先)に納骨日程を事前に相談して決定し、必要に応じて、住職に法要依頼をしておきます。納骨時に、墓地管理者に「改葬許可証」を提出します。
【法要相場…3万円~10万円】
お寺様により異なります。
3つのトラブル対策
1.親族間で事前に同意を得る
お墓じまいは、上記で解説した通り、一般的には数十万円の費用が発生します。あとから、誰が費用を払うべきか議論にならないよう、事前に話し合いましょう。
また継承する方がいるのに、本当に取出し不可の樹木葬でいいのかなど、新しい納骨先についても親の子を想う気持ちだけでなく、子が親を想う気持ちも検討して決めることが望ましいと言えるでしょう。
2.墓所管理者にはお礼の気持ちを
お墓事情については、様々なケースがあります。しかし、今までお世話になった墓地管理者に向けては、お墓じまいを考えている事情や理由を丁寧に伝えることが大切です。
3.不法投棄されないようお墓のプロにご相談も
「墓石の処分にかかる費用+区画を更地にする費用」で1㎡あたり10万円〜15万円程度が相場です。墓所の地形やお骨の状態でも、費用は変わります。そのため、費用が安すぎる場合は、注意が必要です。
墓石は産業廃棄物として適切に処理する必要がありますが、過去には違法業者による不法投棄のトラブルも発生していますはせがわでは、弊社では各種法令(廃掃法・墓埋法)に則り行います。