「究極に甘い焼き芋」は、自宅でも作れるのか

さて、焼き芋の基本はデンプンの糖化で、科学的なポイントは2つ。
1つ目は「糊化」。
焼き芋の甘さはデンプンが2段階に変化して起きる。
まずデンプンが加熱されて糊化デンプンに変化する。この変化が起きるのが60度からスタートし、加熱とともに進む。
次に糊化したデンプンにアミラーゼという酵素が作用し、麦芽糖に変化させる。
これが甘味と蜜の正体だ。
アミラーゼが活性化する温度は60~70度で、80度を超えると活性が急減し、90度でほぼ作用しなくなる。
つまり60~70度で長時間加熱してやれば、デンプン→糊化デンプン→麦芽糖の変化が限界まで起きるはずだ。
60~70度で長時間加熱といえば、炊飯器の保温機能である。
ということで、さっそく炊飯器にサツマイモを放り込み、6時間保温してみた。

次にアルミホイルで包んで石焼にする。
石は金魚用の底砂(298円)を買ってきた。
100円ショップの砂で十分。
厚手の鍋に敷き、とろ火で1時間。余分な水分を飛ばし、甘味を凝縮させる。

あれ? 蜜がないぞ……おいしくない。
──おーいそこの嫁、ちょっとこれ味見、どうだ?
別のやり方があるはずだ

水から加熱したのが良くなかったのかもしれない。
内部まで温まるのに時間がめっちゃかかったのだ。
今度はお湯に入れて6時間。
石で焼く時間も2時間に延長だ。
どうだ?

うーん、だめだ。糊化してない。
全然、まったく糊化してない!
ボソボソでおいしくない。
……蜜はどこだ!
試行錯誤の連続
ここからが大変だった。
煮ては失敗、焼いて失敗、炊飯器をサツモイモに占拠され、夕飯はうどんとピザとラーメンである。
すまぬ、家族。

そして最後の最後(5回目くらいか?)、もはやこれまで!
最後にある方法を試してみた。
アルミホイルを開けてみると……

やった!
蜜だ! とろとろだ!
うまいぞ! 甘いぞ! とろとろだぞ!
どうやら、「糊化」がポイントだった。
糊化しないとアミラーゼが働かない。
だから最初に「いかに芋全体を糊化させるか」が分かれ目だったのだ。
私のやり方は以下。
【秘伝】焼き芋の甘み成分を最大化する方法 ver.1.5
- アルミホイルで包んだサツマイモを1~2時間、石で焼く(火は超とろ火で)。熱くなりすぎるようなら火を止めて余熱を使う。
- 触ってみて、全体がやわらかくなったら、糊化完了。焼いたサツマイモを70度前後のお湯と一緒に炊飯器に入れ、保温で4時間。ここでアミラーゼにより蜜を製造。
- お湯から出し、再び石で焼く。この時、アルミホイルは開けておき、水分が外へ逃げるようにする。様子を見ながら1~2時間、低温で焼く。ようやく身から蜜が染み出た。
究極に甘い焼き芋の作りかた
まずは、ご覧あれ!

この艶、このやわらかさ、このとろけ具合。
こんな焼き芋を見たことがあるだろうか?

そして、この蜜!
焼き芋がまるで大学芋のように蜜にまみれ、内側から蜜がしたたり落ちている!
あまりの糖度に、冷凍してもシャーベットのように食べられる。
ねっとりと口の中で溶け、小布施の栗かの子さえ負けるかもしれない、上品な甘み。
焼き芋の概念をひっくり返す、ただの焼き芋をスイートポテト以上に甘くしてしまった

