安倍元首相が銃撃されたのは、8日午前11時半頃。近鉄大和西大寺駅(奈良市)前の演説会場で台の上に立ち、自民党候補者の紹介を始めた数分後のことだった。安倍元首相の背後に銃を持った男が近寄り、直後に「ドーン」と大きな音がした。
現場から30メートルほど離れた道路を歩いていた奈良市の男性会社員(26)によると、当時、会場には数百人の聴衆が集まっていた。突如、銃声が鳴った後、3秒後くらいに、再び銃声が聞こえたという。男性は「最初は車がパンクしたのかと思った。周囲は車のクラクションの音で騒がしかったが、はっきりと聞こえる乾いた音だった」と振り返った。
現場では読売新聞記者も取材中だった。安倍元首相を銃撃したとみられる山上徹也容疑者(41)は周囲にいた警察官らに取り押さえられた。特に抵抗するそぶりはなかった。
聴衆から悲鳴が上がる中、安倍元首相の陣営関係者が「救急車、救急車」「AED」「医療関係者来てください」とどなっていた。救急車は約15分後に到着し、騒然とした中で安倍元首相は搬送された。心肺停止の状態とみられる。
安倍元首相
演説を聴いていた奈良県大和郡山市の40歳代男性は「急に道路の真ん中に男が入ってきて、近づいて銃のようなものを2発撃った。2発目で安倍さんが倒れたようだ」と心配そうに話した。すぐ近くで目撃した三重県内の男性会社員(26)は、「倒れた安倍さんは動かず、陣営の人たちがAEDを持ってきて、マッサージを始めた。体の震えが止まらない」と言葉を絞り出した。
現場近くのビル4階から演説の様子を見ていた奈良市の高校3年の女子生徒(17)は、男が歩いて近づいていくのに気がついた。1度目の発砲では安倍元首相は気づいていない様子だったが、2度目の発砲で倒れたという。「犯人は逃げる様子もなく、取り押さえられていた。銃も置きっ放しにしていた。看護師のような人が集まって、心臓マッサージを始めると、安倍さんの胸から血が出ているのが見えた。見ていて体が震え、怖かった」と話した。
殺人未遂の疑いで逮捕された山上容疑者は、調べに対し「安倍元総理大臣に対して不満があり、殺そうと思って狙った」という趣旨の供述をしているということです。
捜査関係者によりますと押収された銃は手製の銃だとみられるということです。
警察当局によりますと、当時は2発の銃声が聞こえ、安倍元総理大臣は胸と首の付近を撃たれたとみられるということです。
防衛省関係者によりますと容疑者は2005年ごろまで3年間、海上自衛隊で勤務していたということです。警察は、現在、奈良西警察署で容疑者から事情を聞いて詳しい状況を調べています。

警察当局によりますと、安倍元総理大臣について心肺停止という情報が入っていて、確認を進めているということです。
政府関係者はNHKの取材に対し「意識はなく容態はかなり悪いという報告を現場から受けている」と話しています。
演説を聞いていた関係者によりますと、安倍元総理大臣の演説が始まってから1分から2分ほどたったあとに2発の銃声が聞こえたということです。
そのあと安倍元総理大臣が倒れ、意識がない様子だったということです。
搬送時の状況は(午後1時半現在)
総務省消防庁に午後1時半の時点で寄せられている情報によりますと安倍元総理大臣は心肺停止とみられ、右のけい部に銃創や出血があり、左胸に皮下出血があるということです。
消防庁のまとめでは、
▽奈良市消防局に通報があったのは午前11時31分で、
▽救急隊などは1分後の午前11時32分に出動し、
▽午前11時36分にドクターヘリを要請しました。
そして、▽午前11時37分に救急隊などが現場に到着し、
▽到着から17分後の午前11時54分に現場から安倍元総理大臣を搬送しました。
その後▽午後0時9分にドクターヘリに引き継ぎ、
▽午後0時20分にドクターヘリは搬送先の医療機関に到着したということです。
現場には▽指揮隊2隊と▽消防隊2隊、▽救助隊1隊、▽救急隊1隊が出動していました。
現場は

奈良市の大和西大寺駅は近鉄奈良線と京都線が交わる奈良市の中心の駅の一つです。駅前のロータリーは、選挙の際、多くの候補者などが演説を行う場所としても知られています。
目撃の女性 「2発目撃たれた瞬間に倒れた」
発砲が起きた当時、近くにいたという女性は「安倍元総理は普通に演説していたが後ろから男の人がきた。1発目はとても大きな音だけが聞こえて人が倒れるということはなかったが、2発目が撃たれた瞬間に安倍元総理が倒れた。周りの人たちが大勢集まって心臓マッサージなどをしていた。男は上がねずみ色のTシャツで、下は黄土色のズボンという服装に見えた。男は逃げる様子もなく、その場にとどまっていて銃はその場においていた。そのあと周りを取り囲んだSPとみられる人たちに取り押さえられた」と話していました。
現場近くの男性 「花火のような音」
発砲が起きた当時、現場の近くにいたという男性は、「花火のようなドーンという音が2回した。犯人と思われる人はピストルよりも大きい何かを抱えていて、走ってきた警備関係者5人ほどに取り押さえられていた。びっくりしました」と話していました。
目撃の女性 「ヘルメット姿の男が近づき2発撃った」
当時、演説を聞いていたという奈良市に住む50代の女性は、「演説を見ていたらヘルメット姿の男が安倍元総理大臣に近づいてきて銃を2発撃った。銃は、拳銃というよりも大きなもののようだった。撃った瞬間に安倍元総理大臣は倒れていた。男はすぐに取り押さえられたが、その後、関係者が『医療関係者はいないか』と周りに呼びかけていて、AEDが運ばれてきた。その後、救急車で搬送されていた。まさか自分の目の前でと思い、 びっくりした」と話していました。
現場の自民党関係者 「男は逃げるそぶりもなく」
現場で安倍元総理の横に立っていた自民党関係者の男性は報道陣の取材に対し、「男は、10メートルほど離れて撃ってきました。花火のような音がしました」と当時の様子を話しました。その上で「目の前で起きたことで、まだ呆然としています。信じられません。撃った男は静かに近づいてきて、逃げるそぶりもありませんでした」と話していました。
【時系列】
岸田首相 首相官邸に到着 【午後2時半】

安倍元総理大臣が銃撃されたことを受け、岸田総理大臣は、急きょ、遊説先の山形県から東京に戻り、午後2時半にヘリコプターで総理大臣官邸に到着しました。
岸田首相 まもなく首相官邸に到着 【午後2時半前】
政府関係者によりますと、岸田総理大臣は、現在、ヘリコプターで総理大臣官邸に向かっていて、まもなく到着する見通しで、その後、記者団の取材に応じることにしています。
安倍派幹部が奈良に 【午後1時50分ごろ】
自民党安倍派は、会長代理を務める塩谷元文部科学大臣と、事務総長を務める西村前経済再生担当大臣が奈良県に向かっています。現地で情報収集を行うとともに、今後の対応を検討するということです。
安倍元首相事務所に萩生田経産相ら 【午後1時すぎ】
衆議院第一議員会館にある安倍元総理大臣の事務所には、午後1時すぎに萩生田経済産業大臣が入り、安倍氏の秘書らと情報収集にあたりました。また、安倍内閣で内閣官房参与などを務めた荒井広幸・元参議院議員や総理大臣補佐官などを務めた今井尚哉氏なども出入りしています。
自民党奈良県連 銃撃当時の状況を説明【午後1時ごろ】

自民党奈良県連は、午後1時ごろから堀井巌 参議院議員らが奈良市内の事務所で記者会見を行いました。
この中で堀井議員は午前11時10分ごろから、参議院選挙の奈良選挙区に立候補している自民党候補者の街頭演説を行っていて、安倍元総理大臣は午前11時19分ごろに到着したということです。その後、しばらく集まった聴衆に手を振るなどしていましたが、午前11時29分ごろに応援演説を始めたと説明しました。そして、その直後の午前11時半ごろ、発砲があったということです。
また、「安倍元総理大臣が話している時に突然、大きな音が2回鳴り、その後、安倍元総理大臣が倒れた。救護の人たちが心臓マッサージをしていたが、受け答えをしている様子は、私が見ている範囲ではなかった」と述べました。
その上で、「民主主義を根底から脅かす暴挙で決して許されない。安倍元総理大臣の回復を祈る」と述べました。
当時の状況について、街頭演説に立ち会っていた堀井議員は自民党奈良県連の記者会見で「聴衆は両脇の歩道にいた」と述べました。その上で、安倍元総理大臣らが演説を行っていた背後は車を駐車していたため、聴衆が立たないようにしていたことを明らかにしました。そして「演説の時は皆、同じ方向を向いていた」と当時の状況を説明しました
また、安倍元総理大臣が演説に訪れることは、きのう午後に決まったと説明しました。その後、地元の支持者らに日程を周知していたということです。現場ではスタッフ15人が演説を聴きに来た人の整理にあたっていたということです。


