「ステージ4の膀胱がんの肺への転移」と診断されたことを公表した。2018年に膀胱がんの全摘手術を受けていた。抗がん剤治療のため、6日から1カ月入院する。兵庫県芦屋市の松本クリニック・松本浩彦院長が病気について解説する。
◇ ◇
小倉智昭さんが膀胱がんで手術を受けられ、今度は肺に転移して、ステージ4の段階にあるということを公表されました。
これは全ての「がん」に当てはまることですが、他の臓器に転移があれば「ステージ4」になります。ステージ4が最も進行して悪化した段階と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
ステージの判定は、がんの大きさや広がり『T』、リンパ節転移の有無『N』、他臓器への転移『M』、という3つの要素を組み合わせて行います。原発巣が小さくてもリンパ節転移がなくても、他の臓器に転移していれば即座にステージ4です。
ステージ4だからといって「処置なし、打つ手なし」ということではありません。ただし、他臓器に転移しているということは、体中のどこにがん細胞があってもおかしくないので、まずは抗がん剤で全身的に治療する必要があります。それがステージ4の意味です。
今回の小倉さんのように肺に転移していても、それが小さなものであれば、抗がん剤や放射線治療、場合によっては手術、さらに今では粒子線治療や免疫療法、遺伝子治療など様々な治療法がありますので、状況に則した治療が行われます。肺にあっても元は膀胱がんですから、膀胱がんに効く抗がん剤が使われるはずです。
◇松本浩彦(まつもと・ひろひこ) 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。
産直野菜コーナー
癌のステージ4ってどういう状態?
癌と戦うためには、体が今どのような状態にあるのか?について正しく理解しておくことが重要です。
ステージ4と診断された場合、体の中では何が起きているのでしょうか。
癌にはステージがあります。ステージとは病期とも呼ばれ、どれくらい体の中で癌が進行しているのか?を示す基準のこと。ステージ0、または1から始まります。 治療法を検討する中では、そのステージの中で最も効果的とされている方法を実践することになるのです。
同じステージでも合併症や年齢、体調などの関係によっても最適な治療法は異なります。
ステージはどのようにして判定されるのか?というと、主に癌の広がりや大きさ、リンパ節への転移があるか、他の臓器への転移があるかといった診断の後にステージが決定されます。
それぞれのステージの特徴
ステージ0はまだ癌が上皮と呼ばれる部分に止まっており、リンパ節に転移していない状態のことを指します。
ステージ1は広がった腫瘍が筋肉の層までに止められており、リンパ節に転移していない状態のこと。ステージ2は筋肉の層を越えて広がってはいるもののリンパ節へ転移していない状態のこと。またはリンパ節への転移が小さくあるものの腫瘍が広がっていない状態のことを指します。ステージ3は腫瘍が筋肉の層を越えているだけでなく、リンパ節への転移も見られる状態のことです。
それではステージ4とはどういった状態なのかというと、ステージの最終段階となります。臓器の壁を越えて周りの血管や他の臓器にも転移している状態です。どの癌にかかったのかによって細かいステージ分類は異なるのですが、一般的にはこのような分類となります。
治療の難しさ
ご紹介した通り、ステージ4とは非常に深刻な状態にあるといえるでしょう。複数の部位に癌が存在している状態のことでもあるため、問題となっている箇所を1つだけ切除したとしても大きな状態の改善は見込めません。
何度も手術を繰り返す結果になるため、基本的にはステージ4で手術を行うことはないのです。しかし、ステージ4と診断された場合には100%手術ができないわけではありません。転移した先が手術しやすい部位だったり、安全に取り除けることが確認された場合には手術を行うこともあります。
また、ステージ4だったとしても治療法が残っていないわけではありません。基本的には手術ではなく抗癌剤を用いた治療を行うことになります。抗癌剤を使うことにより全身に薬を届け、転移した先々の腫瘍に働きかけることができるのです。
抗癌剤治療がうまくいき腫瘍が小さくなった場合、そのタイミングを見計らって手術を検討することも可能となっています。ステージ4と診断されても選択できる治療法はいろいろあるので、担当医師と相談しながらどのような治療法を取り入れていくのかについてよく検討してみましょう。
例えばこちらではステージ4の大腸癌に関する治療について書かれています。
ステージⅣの大腸癌の場合は、癌の部分を取り除くだけでは、他の臓器に転移した癌がまだ残っている状態なので、すべての癌が取り切れたことにはなりません。一般に大腸癌では、肝臓や肺に転移した癌も、それらが手術で切除することが可能であれば、積極的に手術を行います。何回かに分けて手術を行うこともしばしばあります。癌を手術ですべて取り切ることができれば、約40%の人では完治が期待できます。ただし、転移のある場所・数や、その時点での身体の症状などに応じて、手術以外の治療法(化学療法や放射線療法など)がすすめられる場合もあります。
確かに治療が難しい段階に入っているのは間違いありません。しかし、もしも現在の病院で治療法がないと判断された場合にもセカンドオピニオンなどで別の選択肢を与えてくれる病院や医師が見つかるかもしれないので、希望を捨てないようにしましょう。
ステージ4といってもすべての人が同じ状態ではなく、人によって選択できる治療法や用意されている選択肢は異なります。
ただ、ステージ4の中でも末期まで状態が悪化していたり、体力的に化学療法も難しい状態になると緩和ケアが優先されることもあるでしょう。できる限り、この段階になる前に選択可能な治療法についても医師とよく話し合って検討してみてくださいね。
がん治療の基礎を学ぼうがんの三大療法
がんの告知を受けた方に示される治療方法は、基本的に「手術療法」「薬物療法」「放射線療法」の3種類があり、これを三大療法と呼んでいます。日本では、これまで手術ががん治療の中心にありましたが、近年は薬物療法や放射線療法が進歩し、がんの種類やステージ(病期)によっては手術と変わらない効果が認められています。
さまざまな検査を行いながら、"どの治療方法がその人のがんにもっとも効果を期待できるか"を、医師は探っていきます。検査結果に加え、その人の年齢や性別、環境や希望なども考慮して総合的に判断し、治療方法が提案されます。場合によっては、2つ以上の治療を組み合わせる(集学的治療)こともあります。
- 手術
- 薬物療法
- 放射線治療
手術療法

がんの病巣を切除し、その臓器の周辺組織やリンパ節に転移があれば、一緒に切り取ります。早期のがんや、ある程度進行しているがんでも、切除可能な状態であれば、手術療法が積極的に行われます。がんのかたまりが一気に取れることと、検査ではわからないごく小さな転移(微小転移)がなければ完治の可能性が高いことがメリットです。しかし、体にメスを入れるため、創部(キズ)の治癒や全身の回復にある程度時間がかかり、切除した部位によっては臓器や体の機能が失われることもあります。
こうしたデメリットを小さくするために、最近は、切除する範囲をできるだけ最小限にとどめる方法(縮小手術)や、内視鏡(小型カメラ)を使った腹腔鏡下手術、胸腔鏡下手術など、体への負担(侵襲)を少なくする手術の普及が進んでいます。
- 【問題点】
-
- 創部(キズ)の治癒と全身の回復に時間がかかる
- 臓器を切除することによって、臓器や体の機能が失われることがある
- ごく小さな転移(微小転移)は治療できない
- 手術不能な場所にできたがんには適応しない
- 【対応】
- 縮小手術、内視鏡下手術、腹腔鏡や胸腔鏡での手術によって体への負担(侵襲)を小さくすることが可能
薬物療法
主に、抗がん剤によってがん細胞を死滅させたり、増殖を抑えたりする治療方法です。抗がん剤の投与方法は、点滴や注射、内服です。血液を通して全身をめぐるため、ごく小さな転移にも効果があります。一方、脱毛、吐き気、倦怠感、しびれ感など、副作用の症状や、肝臓や腎臓、造血器官などへの障害が避けられず、患者さんにとってつらい治療になりがちなのが難点です。
しかし、吐き気などの副作用をやわらげたり抑えたり、白血球の減少を抑える薬の開発などによって、日常生活に支障がない程度に、症状を軽くできるようになってきています。また最近は、がん細胞だけに作用する分子標的治療薬の開発が進み、実用化されているものが増えています。
このほか、乳がんや子宮がん、前立腺がん、甲状腺がんなど、ホルモンが密接に関わっているがんに対しては、「ホルモン療法(内分泌療法)」がよく行なわれます。特定のホルモンの分泌や作用を抑制することで、がん細胞の活動を抑えて腫瘍を小さくしたり、転移や再発を抑えたりします。
- 【問題点】
-
- がん細胞以外の健康な細胞にも悪影響を与えるため、さまざまな副作用があらわれる可能性がある
- がんの種類によっては抗がん剤の効果があらわれにくい
- 高額な薬を長期にわたって使用する場合もある
- 【対応】
- 副作用を小さくする薬で、痛みや辛さをやわらげることが可能
放射線療法
がんの病巣部に放射線を照射して、がん細胞を死滅させる局所療法です。治療前の検査技術や照射方法の進歩によって、がんの大きさや位置を正確に測り、その部分だけに集中的に照射することが可能になって、効果は格段に向上しています。
また、体の外側から放射線を照射する「外部照射」だけでなく、放射線を出す物質を密封した針やカプセルを病巣部に挿入する「密封小線源治療」、放射性物質を注射や内服で投与する「放射性同位元素内用療法」があります。照射する部位によっては、一時的に皮膚や粘膜の炎症症状などの、副作用があらわれることもあります。
放射線療法に使われる放射線としてよく知られているのはX線ですが、このほか、粒子線を使う陽子線治療や重粒子線(炭素イオン線)治療も実用化が進んでいます。
- 【問題点】
-
- 放射線の影響により、照射部分の炎症症状などの放射線障害があらわれる
- めまいなどの全身症状があらわれることもある
- 密封小線源治療、放射性同位元素内用療法では、一部、行動の制限が必要


