なぜ夫の浮気は妻にバレるか
もしも他人の考えていることがわかったら──。こんな空想をしたことのある人は多いのではないか。相手の思惑がすべてお見通しとなれば、当然、仕事も遊びも恋愛も連戦連勝で、もうこたえられない。
実はそんなマインド・リーディング、つまり「心を読む技術」が存在する。今、心理学の研究のおかげで、そのテクニックを身につけ、日々の生活の強力な武器にする人たちが少しずつ増えているのだ。
人の心を読む上で、まず大きな手がかりになるのは目だ。「目は口ほどに物を言い」という言葉の通り、本人に関するさまざまな情報を発信している窓と言っていい。
「話している相手の顔を上下に二分割して見比べると、本音と建て前がわかります。人間は口の周辺の口輪筋を自由に動かせるので、嘘でも楽しそうに笑うことができます。しかし、目の周りの眼輪筋はなかなか動かせません。
そのため、顔の下半分で無理に笑顔を作っても、上半分には負の本音が出てしまうのです。そんな『目だけは笑っていない』表情を見せる人は、嘘をついている可能性が高い。約束もよく破る。信用しない方がいいでしょう」
まばたきとは逆に、目を大きく見開くのは「覚醒欲求」のサイン。自分にとって大きな関心がある物事に出くわしたことに気づき、「目を覚ましてもっと情報を吸収したい」というスイッチが入った状態だ。
「もしも商談中に顧客が急に目を見開いたら、強い興味を持ったという意味なので、チャンスです。相手が何に関心を持ったのかを聞いて、それについて丁寧に説明していけば、取引が成立するなど、大きな利益につながる可能性が高くなります」
人は不意を突かれたとき、「目が泳ぐ」状態になる。それも上と下では意味が異なるのだという。目が上の方に泳いだ場合は、概ね良い過去のことを肯定的に回想している。
どうやら、口元では騙せても目では騙せない、というのが人間の宿命のようだ。しかも、表情から嘘を見抜く能力は男性より女性の方が高い。
ビジネス心理士協会副会長の匠英一氏によると、以前、悲しんでいるか笑っているかわかりにくい微妙な表情の人々の写真を250枚ほど揃え、実際に本人たちの感情はどのようなものだったのか、男女別の被験者に当ててもらう実験が行われた。結果は、女性の正解率93%に対し、男性は74%だったという。
「女性の方が、相手の顔の表情筋を直感的に読み解く能力が男性より優れているんです。だから夫の浮気の方が妻にバレやすいのは当たり前。一方で、夫は妻の微妙な表情を読めないので、妻が口元だけでも笑っていれば安心する。すると妻は『私の辛い気持ちがわかっていない』と怒り出すんです」
目を見て心の中がわかるのは、作り笑いをするときだけではない。佐藤氏によると、頻繁にまばたきをする人も要注意だ。作り笑いと同様に嘘をついているか、不安や猜疑心、困惑といった心理状態にあることも示しているという。
日本人が会話をしているときにまばたきする回数は、1分間に平均約37回。これが42回を超えると、正常ではない〝危険水域〟に突入する。
「安倍晋三氏や福田康夫氏は首相を辞める直前、明らかにまばたきが増えていました。私はテレビ番組で『この様子ではまもなく辞任するのではないか』と予言したのですが、二度ともズバリ当たったのです。菅直人氏も首相時代、『菅やめろ』の大合唱が起こった時期など、1分間に60回以上もまばたきをしていた。本当に動揺し、不安だったのでしょう」
嘘は下半身の動きに表れる
たとえば「あなたは女性にモテるんでしょ?」と聞かれた男性が「そんなことはありませんよ」と否定しながら目を上方に泳がせたら、それはモテた経験を思い出して、実は心の中で「YES」と答えていることを示す。
片や目が下に泳いだ場合は、どうするか思案中で、判断に迷う心理を表している。たとえば職場の会議で「○○の企画を進めておきましょうか」と提案して、上司が「そうだな。進めた方がいいか」と答えながら目を下方に泳がせたら、それは内心「やめておいた方がいいかもしれない」と考えている可能性がある。手を着けないのが無難だ。
また、目を上に向けているとき、人は視覚的なイメージを思い浮かべようとしている。その中でも、視線が左上に向いていれば過去を、右上に向いていれば未来を想起しようとしているサインだという。
だから、たとえば不動産業者が物件を売ろうとするとき、右上に視線を向けている顧客に対し「あの場所は本当に風景が素晴らしいですよ」と視覚的な美しさを強調すると、セールスの成功に結びつきやすい。
このように、目を含めた相手の表情の変化をよく見ていれば、騙されるのを防ぐことができ、成功を掴むきっかけにもなる。
しかし、誰もが最初から細かい表情筋や視線の変化に気づくとは限らない。であれば、顔ではなく、別の部位から心を読み取る方法も採ればよい。
「嘘をついて、顔の表情でごまかし通すことはさほど難しくありませんが、下半身を見られるとバレやすいものです。人は嘘をつくと、なぜか下半身の動きが不自然になる。手をぴったり膝に置き、足だけを踏み鳴らしながら話すとか、貧乏ゆすりをするとか、足首をしきりに動かすとか……。いずれも嘘のサインです」
肩の動きで好き嫌いは分かる
逆に、足を見られると人は正直になるらしい。正座をした人たちのグループと、椅子に座って足が机の下に隠れるようにしたグループの両方に「どちらがうまく嘘をつけるか」を競争させる──という実験があった。
結果は椅子組の勝ち。足を見せている正座組は、多くの人がしどろもどろになって上手な嘘がつけなかった。
嘘は下半身の動きに表れる
たとえば「あなたは女性にモテるんでしょ?」と聞かれた男性が「そんなことはありませんよ」と否定しながら目を上方に泳がせたら、それはモテた経験を思い出して、実は心の中で「YES」と答えていることを示す。
片や目が下に泳いだ場合は、どうするか思案中で、判断に迷う心理を表している。たとえば職場の会議で「○○の企画を進めておきましょうか」と提案して、上司が「そうだな。進めた方がいいか」と答えながら目を下方に泳がせたら、それは内心「やめておいた方がいいかもしれない」と考えている可能性がある。手を着けないのが無難だ。
また、心理学者の植木理恵氏によると、目を上に向けているとき、人は視覚的なイメージを思い浮かべようとしている。その中でも、視線が左上に向いていれば過去を、右上に向いていれば未来を想起しようとしているサインだという。
だから、たとえば不動産業者が物件を売ろうとするとき、右上に視線を向けている顧客に対し「あの場所は本当に風景が素晴らしいですよ」と視覚的な美しさを強調すると、セールスの成功に結びつきやすい。
このように、目を含めた相手の表情の変化をよく見ていれば、騙されるのを防ぐことができ、成功を掴むきっかけにもなる。
しかし、誰もが最初から細かい表情筋や視線の変化に気づくとは限らない。であれば、顔ではなく、別の部位から心を読み取る方法も採ればよい。
「だから妻や夫の浮気を疑っている場合は、ダイニングキッチンなどで足を隠して話し合うよりも、正座で向かい合って追及した方がいいでしょう」
「膝をあまり上げず、靴の裏を地面でこするような〝引きずり系〟で歩く人は、自信を失っていると見られます。逆に、膝が上がって足の裏をしっかり地面から離して歩く人は自信を持っている。だからビジネスの交渉で、引きずり系の歩き方をした相手が来れば、『先方は自信がないからこっちは強気で行こう』といった戦略が立てられます」
一般に、腕を組む動作は、相手との間に「壁」あるいは「ブロック」を作っているとされる。ただし、それにもいくつか種類がある。伊東氏によると、身を縮めて腕を組むのは、相手から自分を守りたい、逃げたいという意味。反対に、のけぞり気味の姿勢で腕を組むのは、相手を見下し、攻撃する用意があるという意思を示す。
座り方にも心理状態はくっきりと反映される。
「椅子に浅めに腰掛けるのは緊張している印で、仕事や初めてのデートのときなど。深く座るのはリラックスしていることを示し、親しい友人と一緒にいるときなどにそうなります。特に異性と二人だけのとき、相手が椅子に深々と座ってけだるい様子を見せたら、性的衝動の表れである可能性が高い。つまり、セックスしたい気持ちになっているということです」
また、男女間の心理が足からわかることもある。匠氏が説明する。
「カップルや夫婦が、ベンチなどに並んで座っているとします。互いに顔を見て話してはいるものの、女性のつま先を見ると、男性の方向を向いていないことがある。これは距離を置きたい、別れたいという無意識の気持ちの表れです。本当に好き同士であれば、極力近づこうとして、つま先は相手の方を向くはず。そうなっていないのだから、早晩、その二人は良くない関係になるでしょう」
ちなみに、女性がしょっちゅう髪を指にからませるようになると、それは欲求不満のサイン。「もっと私の話を聞いて」「もっと私に注意を向けて」というメッセージを発しているのだという。妻や恋人が髪をいじるようになったら、感情が爆発する前に早めに話し合いをした方がいい。
髪いじりだけでなく、しきりと身体の末端を動かすのは、欲求不満も含めてストレスを感じていることを示している。
「特に喫茶店でおしぼりを延々と巻いたり広げたり、ペン回しを繰り返したりと、指先をリズミカルに動かすのは、それによってストレスを軽減しようとしているから」
会議の席でも、ペン回しをやる人は「発言したいのにできない」という欲求不満を感じていることが多い。ペンで机をしきりに叩くのも同じ意味だ。そういう人には議長役が話を振ってあげるとよい。
「ミラーリング」で相手の懐に
人は他人との関係で、どうしても相手より優位に立ちたがるものだ。どちらが上の立場なのか、双方の意見が一致すればいいのだが、互いに「俺の方が優位だ」と考えて、食い違うこともある。では、その点に関する相手の考えをどう確認するか、
「相手に『私の身長はどのくらいだと思う?』と推定してもらうのです。仮にあなたの身長が170cmだったとして、『168cm』などと実際より低い答えが返ってきたら、相手はあなたを下に見ています。反対に『173cm』などと実際より高く言われたのであれば、相手はあなたを尊重していると考えられます」
仮に相手より優位に立てなかったとしても、毅然として振る舞えばいいのだが、中には卑屈にしか思えない態度を取る人がいる。その典型が、何かにつけて斜め下から相手をすくい上げるような視線で見上げる人。
その視線を「すくい目」と呼び、「何でも従います」という服従の意思を表すものとしている。仕事の中身よりゴマすりで引き立ててもらおうとしている人も、よくすくい目で上司を見るという。
それと対照的なのが、あごをグッと突き出して、上から見下ろすような視線を相手に送ること。これは、自分が相手より優位にいることを確認しようとする「支配欲求」の表れだ。
「麻生太郎元首相が微笑を浮かべながら、記者団に対してよくやっていたポーズです。『君より私の方が上なんだよ。最初からわかっているじゃないか』という優越感の誇示がその目的。
もし上司がそういう視線を送ってきたら、それは部下を育てようとか良い仕事をしてもらおうと思っているのではなく、手なずけて何でも言うことを聞く子分を作ろうとしているだけ。できればそういう人よりも、まっすぐに部下の目を見て、その視線に思いやりがこもっている人に助言を仰ぐとよいでしょう」
たとえば目の前に上司が座って、腕を組んだら自分も数秒後に腕を組む。コーヒーを飲んだら自分も数秒後にコーヒーを飲む。足を組んだら自分も足を組む。「うん、うん」と大きく頷いたら、自分も「うん、うん」と頷く……という具合だ。
「このように、相手をよく観察して真似を繰り返していくと、無意識のうちに相手は『こいつは俺のペースに合わせてくれているな』と思い、好感を持ってくれます。それがやがて『こいつとは相性が良い。気が合うな』というレベルにアップしていく。そうなれば、できる上司に可愛がられ、大きなプロジェクトを任せられるようになる。それで結果も出せれば、申し分ありません」
人の心を読むためのさまざまな技法。あなたも今日から始めてみますか?



