免疫システムを担う細胞の種類

白血球の種類

白血球は、からだの中に侵入してきたウイルスや細菌などから、常にからだを守り続ける免疫細胞です。からだの中では多種多彩な免疫細胞(白血球の仲間達)が、緻密なチームプレーで異物と戦っています。

【樹状細胞(じゅじょうさいぼう)】

外気に触れる鼻腔、肺、胃、腸管、皮膚などに主に存在している細胞です。名前のとおり枝のような突起(樹状突起)を周囲に伸ばしています。樹状細胞は、異物を自分の中に取り込み、その異物の特徴(抗原)を他の免疫細胞に伝える働きを持ちます。実際には、抗原を取り込んだ樹状細胞は、リンパ節などのリンパ器官へ移動し、T細胞やB細胞などに抗原情報を伝えることで、それら免疫細胞を活性化させます。活性化されたT細胞やB細胞が、異物を攻撃します。

【マクロファージ】

マクロファージはアメーバ状の細胞です。からだの中に侵入してきた異物を発見すると、自分の中にそれを取り込んで消化します。また一部のマクロファージは、異物の特徴 (抗原)を細胞表面に出すことで、外敵の存在を他の免疫細胞に伝えます。 そのほか、他の免疫細胞と共同で、TNF-α、インターロイキン、インターフェロンなど、主に免疫細胞を活性化させるサイトカインという物質産生にも関与します。

【リンパ球(T・B・NK細胞)】

★ T細胞

ウイルスなどに感染した細胞を見つけて排除します。T細胞は、ヘルパーT細胞、キラーT細胞、制御性T細胞の3種類があり、それぞれ司令塔、殺し屋、クローザーの役割があります。
① キラーT細胞は樹状細胞から抗原情報を受け取り、ウィルスが感染した細胞やがん細胞にとりつき、排除する、といういわゆる「殺し屋」の働きを持っています。

②  ヘルパーT細胞は、樹状細胞やマクロファージから異物の情報(抗原)を受け取り、サイトカインなどの免疫活性化物質などを産生します。

③ 制御性T細胞は、キラーT細胞が正常細胞へ攻撃をしないよう、キラーT細胞の働きを抑制したり、免疫反応を終了に導く、野球でいう「クローザー」の役割を担っています。

④ αβT細胞(アルファベータT細胞)は、αβT細胞療法に利用される、α鎖とβ鎖からなるT細胞受容体を有するT細胞の総称です。抗CD3抗体とIL-2を使用して選択的に増殖させることが可能です。αβT細胞療法は、一般に活性化自己リンパ球療法(LAK療法)とよばれている免疫細胞療法の一種です。

⑤ γδT細胞(ガンマデルタT細胞)は、α鎖、β鎖と呼ばれる2つの糖タンパク質から構成されるT細胞受容体を持つT細胞の総称です。γδT細胞は、αβT細胞と比べると少数ですが、この末梢血中に存在するγδT細胞には、がん細胞を認識して攻撃する能力があることが明らかになっています。

⑥ ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)は、T細胞とナチュラルキラー細胞(NK細胞)の両方の特徴を持つT細胞の亜種です。NKT細胞は末梢血中T細胞のわずか0.1%程度しか存在しません。活性化されたNKT細胞は、サイトカイン(IFN-γなど)を産生したり、Fasリガンドやパーフォリン・グランザイムによるがん細胞への障害活性を示します。

★ B細胞
B細胞は骨髄に存在して、抗体を産生する免疫細胞です。血液の元となる細胞(造血幹細胞)から作られ、樹状細胞の指令を受けると、外敵や異物を攻撃する「抗体」を作り、異物の排除を手助けします。また、B細胞は、細胞ごとに作る抗体の種類が決まっています。あるB細胞が作り出す抗体に適合した外敵が出現した場合にのみ、そのB細胞は活性化して、抗体を産生します。

★ NK(ナチュラルキラー)細胞
いつもからだの中をパトロールしています。ウイルスに感染した細胞などを発見すると単独で攻撃をしかけます。T細胞とは異なり、他からの指示を必要とせず、一人で外敵や異物を攻撃できるため、生まれつき(natural)の殺し屋(killer)という名前が付けられています。

【顆粒球の役割】 
★  好中球(こうちゅうきゅう)
強い貪食作用や殺菌能力を持ち、主に細菌やカビを攻撃します。

★ 好酸球(こうさんきゅう)< 寄生虫の感染に対する免疫を担当しています。また、アレルギー反応などが起こった時に増加します。

★ 好塩基球(こうえんききゅう)
細胞内にヒスタミンなど種々の生理活性物質を含有していて、主に炎症反応に関与します。

 

免疫システムを使った治療とは

「免疫」とは何か、ご存知でしょうか。
免疫とは、体の中に入ってきた細菌やウィルスなどの外敵を排除するために、体に備わった力のことです。
例えば、風をひいたときには、鼻水やたんなどと一緒に、ウィルスを外に出そうとします。

 

がんと免疫のシステムには深い関係があることが知られています。免疫システムには免疫力を高める「アクセル」の機能と、免疫力が抑制される「ブレーキ」の2つがあり、このバランスが保たれていることが重要です。

 

実は、健康な人の体内でも1日に約5,000個ものがん細胞が発生していると言われています。しかし、全ての人ががんにかかるわけではないのは、免疫システムが働き、免疫細胞ががん細胞を攻撃するからです。がん患者さんの場合、免疫システムの「ブレーキ」が非常に強く働いているため、がんに対する免疫力が抑制されていると考えられています。
当院の免疫細胞治療は、アクセルの機能を強めることでがん細胞を攻撃しようというのが、基本的な考え方です。がんに対する免疫の働きは、単に免疫力を上げればすむものではありません。当院の免疫細胞治療は、複雑な免疫の働きをコントロールする細胞培養技術によって、がん細胞だけを選択的に攻撃することができる治療です。

 

免疫療法(免疫細胞療法)

現在、がんに対する治療技術は目覚ましく向上しています。しかし、手術・抗がん剤・放射線治療といった標準的な治療だけでは、なかなか効果が出ないこともあります。たとえば、抗がん剤治療で一時的にがんが小さくなっても、時間の経過とともに再び大きくなることの繰り返しで、「もう打つ手がありません」と主治医にさじを投げられてしまった、という患者さんに私たちは数多くお会いしてきました。患者さんにとってこれほどつらいことはありません。実は、患者さん一人ひとりにとっては、がん治療の選択肢はそれほどあるわけではないのです。

こうした状況に対して、新たな選択肢として世界的に注目を集めているのが、「免疫」を使った治療です。免疫とは、細菌やウィルスなどの外敵を排除する、体が本来もっているシステムのことです。近年、免疫システムの研究が大きく進み、新しいタイプの治療法が登場するなど、「免疫療法」は世界的に権威あるアメリカの科学誌サイエンスでも2013年の科学のブレークスルー(画期的な進展)のトップに選ばれました。いまや免疫療法は、手術・抗がん剤・放射線治療などの標準治療に次ぐ「第4の治療」として大いに注目を集めているのです。セレンクリニック東京で行っているがん治療は、樹状細胞ワクチン、なかでも免疫細胞に着目した最新の免疫細胞療法です。

 ~非特異的から「特異的」へ~

免疫療法(免疫細胞療法)の中でも、特にがんの治療を目的にした免疫療法を「がん免疫療法」といいます。
これまでのがん免疫療法では、とにかく体全体の免疫を高めようと、活性化リンパ球療法、NK細胞療法やBRM療法などが開発されましたが、いずれも進行がんに対する単独での有効性は、証明されませんでした。これらは、いわゆる「非特異的」がん免疫療法です。
21世紀に入り、抗がん剤治療では「正常細胞に影響なく、がん細胞だけを攻撃する」という「特異的」抗がん治療(分子標的薬などを使用する治療)が、医療の現場で取り入れられるようになりました。
この進歩はがん免疫療法の分野でも同様に起こりました。体全体の免疫の活性化しかできなかった非特異的がん免疫療法から、がん細胞に対して、より効果的、すなわち特異的に作用する免疫力を高める「特異的がん免疫療法」へと進化しました

 

2段階ある免疫システム

免疫システムは「自然免疫」と「獲得免疫」の2段階に分けられます。

自然免疫は、人間が生まれながらに持っている鼻水や胆によって外敵(細菌やウィルス)を物理的に排除し、かつマクロファージ、NK細胞や顆粒球によって外敵を攻撃破壊する免疫システムです。しかし、すべて外敵が自然免疫だけで排除できるわけではありません。自然免疫で抑えられなかった外敵は、体内の組織、そして細胞へ侵入していきます。そのままでは体は細菌やウィルスに侵されてしまいます。それを防ぐために発動されるのが「獲得免疫」という免疫システムです。

獲得免役は、自然免疫で止められなかった異物が、体内で「悪さ」をしてはじめて発動する免疫システムです。その働きは、まず樹状細胞が体内に入り込んできた異物に近づいていき、その情報を取ってきます。樹状細胞は、直接異物を攻撃するわけではなく、直接異物を攻撃する能力をもつ「T細胞」を刺激し、活性化することに特化した細胞です。情報をつかんだ樹状細胞は、前述のT細胞など、他の免疫細胞にそれを伝えます。これを「抗原提示」といいます。たとえるなら「これが敵だ」という指示書を免疫細胞たちに配るようなものです。免疫細胞は、血流に乗って体をめぐり、指示書に書かれた異物に出会うと攻撃をしかけます。

免疫はその昔、「二度なしの現象」といわれていました。結核や黄熱病といった感染症が流行していた時代において、一度かかると二度と同じ病気にかからないことを意味していました。

これは獲得免疫の特性をあわらしているもので、一度敵の情報を覚え込んだT細胞は、長時間その情報を忘れることなく、同じ敵が侵入するたびに排除するよう働きます。この特性をがん治療に応用したのが、当クリニックグループが提供するがん免疫療法「樹状細胞ワクチン療法」です。

最先端がん免疫療法 『樹状細胞ワクチン療法』

がん免疫療法が大きな進歩を遂げたのは、①がん免疫を司る「樹状細胞」の役割が解明されたこと、②がん細胞に発現する「がんの目印」(がん抗原)が次々と発見されたこと、の2つでした。これらによって、がん抗原を樹状細胞へ覚えさせて、体内に戻し、そしてがんを攻撃させる最先端がん免疫療法「樹状細胞ワクチン療法」が確立されました。生体内で、樹状細胞ががん細胞からがんの目印を取り込んで、それをリンパ球に伝えてがんを攻撃させる免疫システムを利用したがん治療法です

 

体全体の免疫力を高めてがんと戦う「非特異的」がん免疫療法と比較して、樹状細胞ワクチン療法は「特異的」がん免疫療法なので、より集中的にがん細胞を攻撃できると考えられています。たとえば、非特異的がん免疫療法の代表である活性化リンパ球療法と比較して、特異的がん免疫療法「樹状細胞ワクチン療法」は、「司令官(樹状細胞)を増やし、優秀な兵隊(活性化したリンパ球)を次々と育成して、敵(がん)を集中的に攻撃させる」ため、より効率的ながん治療として期待されています。

 

日比谷花壇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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